『口癖』(Mr.ふぉるて)の音域 [ 2018年の楽曲]

　まず、Mr.ふぉるて（ミスター・ふぉるて）について少し説明します。Mr.ふぉるては2017年に結成された4人組ロックバンドです。2018年に、今回取り上げる『口癖』がSNS上などで大きな話題を呼び、10代を中心に広く知られるようになりました。2021年末にはメジャーデビューを果たします。
　今年に入って、初のフルアルバムをリリースし、全国ツアーなども組まれました。バンドの平均年齢は21～22歳と若く、今後の活躍が期待される若手のバンドです。


　さて、『口癖』（くちぐせ）についてです。この楽曲は、2018年に4人組ロックバンドMr.ふぉるてによりリリースされたシングル作品です。同曲は、Mr.ふぉるてのオリジナル曲1作目であり、バンドの知名度の上昇に大きく貢献しました。フィジカルとしては、会場限定のCDシングルとしてリリースされたのみですが、Mr.ふぉるての作品でも特に知られた楽曲の1つといえます。
　同曲は、Mr.ふぉるてのYouTube公式チャンネルでミュージックビデオが公開されており、2022年6月現在、約360万回の再生回数を記録しております。若手のバンドとしては異例の再生回数といえると思います。

　『口癖』はアップテンポのバンドナンバーです。年齢から逆算すると、リリース当時の平均年齢は18歳程度だと思いますが、バンドとしてのクオリティーの高さに驚かされます。歌メロについては、AメロBメロサビといった形で作られております。ただ、Aメロ⇒Bメロ⇒サビと盛り上がっていくというJ-POP感というよりは、楽曲全体で力強さが感じられます。上に表記してある音域一覧などからも想像できますが、ボーカルも曲全体を通して高めのレンジが多く登場します。

　『口癖』の音域的な特徴についてです。同曲は、男性の音域としては高めのレンジで歌メロが作られております。一般的にな男性の場合は、通常はキーを下げた方が歌いやすいです。同曲は楽曲全体を通してmid2F～mid2G#辺りが多く登場し、その分スタミナが求められます。そうした点でも原キーが大変だといえます。
　ちなみに、『口癖』は全体で2回程度mid1D#を含むフレーズが登場します。そのため一般的な音域の女性が歌うにはやや辛いといえます。ただ、同曲は、曲全体のほとんどのフレーズでmid2F以上が含まれております。そのため、「標準よりやや低めの音域の女性」などには意外と取っつきやすいかもしれません。



　最後に『口癖』の音域についてですが、【地声最低音】mid1D#(D#3)～【地声最高音】hiA#(A#4)で歌メロディーが構成されております。一般的な男性の音域と比べると高めです。以下、見ていきます。

　まず、地声最低音mid1D#についてはAメロの最初で1回ずつ登場します。この辺りは一般的な男性の音域の範囲内でありますが、若干低いレンジになります。ただ、登場頻度は高くないので、そこまで気にならないのではないかと思います。
　mid1D#は女性にとってはかなり低いレンジになります。ただ、今回は曲の中で低音域が登場する場面は限られますので、Aメロの一部を除けば、意外と女性にも歌えるかもしれません。音域的には、「標準より低め～やや低めの音域の女性」などがより合いやすいと思います。

　一方、地声最高音hiA#についてはサビ等で登場します。ただ、今回のhiA#についてはやや特殊であり、mid2G#が裏返るような形でhiA#が登場しております。そのため、もしかしたら、カラオケの機種によってはmid2G#が最高音になっているかもしれません。
　こうした歌い方は歌手の個性であり、最高音の音程を正確に真似るのが難しいです。私個人の感覚ですが、地声最高音mid2G#で歌唱しても、楽曲全体でよい表現が出来るのではないかと感じました。
　ただ、地声最高音がmid2G#としても、今回の『口癖』は曲全体でmid2F～mid2G#辺りが頻出します。そのため、一般的な男性の音域にとっては高く、通常はキーを下げた方が歌いやすいといえます。一つの目安ですが、原曲キーから２つ程度下げてみてください（カラオケでいうと♭２）。


　『口癖』は低音域に若干の余地があり、キー下げは可能です。歌い慣れた人であれば、自分の得意なレンジに調整することができると思います。一方、ビギナーについては、キーを下げ過ぎると低音域が少し歌いにくくなったり、一部不都合が生じる可能性があります。
　ただ、今回は低音域が登場するのはごく一部です。よって、「Aメロの一部は曖昧でもいいので、それ以外は頑張る」というように練習に強弱を付けるのもよいと思います。

　『口癖』を原曲キーで歌唱する場合、mid2F～mid2G#辺りの中高音域を安定して歌いこなせる力が求められます。同曲は、楽曲全体を通して中高音域が頻出であり、ある程度高音域が得意な男性でもスタミナが不可欠です。よって、原キーだと「（ある程度）高音域が得意な男性」などが合いやすいです。また、「標準より低め～やや低めの音域の女性」などもマッチしやすいのではないかと私は分析しました。

　『口癖』はアップテンポのバンド曲であり、カラオケなどでも歌いやすいと思います。興味を持たれた方はチャレンジしてみてください。