『バグ』(かいりきベア)の音域

　まず、『バグ』についてです。この楽曲は、2022年にボカロPのかいりきベアさんが『プロジェクトセカイ カラフルステージ！ feat. 初音ミク』のために提供した楽曲です。スマホゲーム『プロジェクトセカイ』で登場するユニット【25時、ナイトコードで。】に書き下ろした楽曲でありますが、同時に初音ミクを使用したボカロ曲としてもリリースされております。

　『バグ』はリリースから1か月程度しか経過しておりませんが、すでにボカロバージョンが450万回超、【25時、ナイトコードで。】のバージョンは1000万回近い再生回数を記録しております。非常に速いペースで再生数が伸びており、2022年を代表するボカロ曲となりうる作品だといえると思います。
　ちなみに、【25時、ナイトコードで。】は宵崎奏（CV:楠木ともり）、朝比奈まふゆ（CV:田辺留依）、東雲絵名（CV:鈴木みのり）、暁山瑞希（CV:佐藤日向）の4人を主要メンバーとした音楽ユニットです。ボカロPからの提供曲、既存のボカロ曲のカバーなどをリリースしております。


　さて、『バグ』はアップテンポのデジタルポップナンバーです。AメロBメロサビと展開します（Bメロ⇒サビで転調）。ラストサビは、最初が通常サビより半音低く（♭１）、途中から通常サビと同じ高さに戻ります。私個人としては好きな展開です。演奏時間は2分弱と短いです。
　『バグ』はボカロ曲らしく、息継ぎがしにくい楽曲であります。そのため、一人で歌うのは非常に大変かもしれません。場合によっては、原曲のように複数人で歌唱することも選択肢に入れてみて下さい。

　『バグ』の音域的な特徴についてです。同曲はボカロ曲としてリリースされたということもあり、女性としてはかなり高いレンジで歌メロが作られております。低音域に余地がありキー下げは可能ですが、それを考慮しても高音域が得意な人向けだといえます。
　先述しておりますが、同曲は息継ぎが難しく、その点での難しさもある楽曲です。今回は音楽ユニット【25時、ナイトコードで。】のために書き下ろされておりますが、複数人で歌唱した方が良いかもしれません。



　最後に『バグ』の音域についてですが、【地声最低音】mid2A#(A#3)～【最高音】hiF#(F#5)で歌メロディーが構成されております。一般的な女性の音域と比べてかなり高いです。以下、見ていきます。

　まず、最高音hiF#については、サビの後半やDメロで登場します。登場回数自体は多くありませんが、【しhiF–hiF#[ず[め]ユ[メ]ユ]メ】のように短いフレーズに繰り返し見られます。このhiF,hiF#辺りは女性としてはかなり高いレンジですので、通常はキーを下げた方が歌いやすいです。一つの目安ですが、原曲キーから３～４つ下げてみて下さい（♭３～４）。


　『バグ』は低音域に余地があり、キー下げは可能です。ただ、同曲は元々音域が広く、高音域が非常に高い作品です。そのため、歌い慣れた人であっても難しい部分が出てくるかもしれません。キーを調整するにしてもある程度高音域が得意な人向けの楽曲になると私は分析しました。

　『バグ』を原曲キーで歌唱する場合、hiF,hiF#といった高音域を歌いこなせる力が求められます。この辺りは女性としてはかなり高いです。また、同曲は息継ぎがしにくい作品であり、そうした点も難易度を高くしております。一応、「高音域が非常に得意な女性」などが原曲キーでの歌唱に合いやすそうです。ただ、そうした人であってもスタミナが要求されるしんどい楽曲だと思います。


　『バグ』は最近特に話題のボカロ曲の一つでありますが、歌いこなすのは非常に大変な作品です。ただ、そうした楽曲だからこそ、歌いこなせた時の達成感はこの上ないものなのかもしれません。興味を持たれた方はチャレンジしてみて下さい。