『胸の煙』( ずっと真夜中でいいのに。 ) の 音域

　まず、『胸の煙』についてです。この楽曲は、２０２１年に音楽ユニット・ずっと真夜中でいいのに。によりリリースされたアルバム『ぐされ』に収録されております。同アルバムには、『お勉強しといてよ』(過去記事)、『正しくなれない』(過去記事)、『勘ぐれい』(過去記事)といったシングル曲が収録されております。２０２３年現在、ずとまよのフルアルバムとしては最も大きなCDセールスを記録しました。

　ちなみに、このアルバムがリリースされるにあたり、ずとまよはNHKでのテレビ出演を果たしております。その際、照明を落とし、フロントマンのACAねさんの顔が映らないように演出されておりました。近年は、歌い手やバンドが顔見世せずに活動することも多くですが、この時の演出は私自身も非常に印象に残りました。

　さて、『胸の煙』はアルバム１曲目に収録された四つ打ちのダンサブルナンバーです。ストリングスやピアノが用いられており、切なさが強調されております。詳細は後述しますが、シングル曲などと比べると、ボーカルの高音が控えめになっております。そうしたこともあり、ノリの良いバンド曲でありながら、どこか落ち着いた印象もあります。同曲は作詞作曲をボーカルのACAねさん、編曲を100回嘔吐さんとZTMYの共同でなされております。

　『胸の煙』の音域的な特徴についてです。同曲は女性の音域としてはやや高め～高めのレンジで歌メロが作られております。低音域に余地があるため、一般的な女性は少しキーを下げた方が歌いやすそうです。
　同曲はhiA#の登場回数が多いため、標準～やや高めの音域位の女性だと少し体力的に辛くやりやすいかもしれません。ただ、ずとまよの作品としては比較的高音域が控えめであるため、「ずとまよの人気曲は高すぎて歌えない」という人にも一定のチャンスがありそうです。
　ちなみに、男性が同曲を歌唱する場合、通常はキーを下げた方が歌いやすいです。一方、高音域が非常に得意な男性だと、もしかしたら原曲キーでの歌唱も叶うかもしれません。ただ、全体的に地声hiA#辺りがかなり高頻度で登場するため、高音域が得意な男性であっても通常はキーを下げた方が、より合いやすいと思います。



　最後に『胸の煙』の音域についてですが、【地声最低音】mid2A#(A#3)～【地声最高音】hiD#(D#5)、【裏声最高音】hiF#(F#5)で歌メロディーが構成されております。一般的な女性の音域と比べ、やや高め～高めです。以下、見ていきます。

　まず、地声最低音mid2A#は全体を通して登場します。この辺りは女性の音域の範囲内ですが、女性曲としてはやや高音寄りな印象です。そのため、低音域だけを見ても、体力的に少し辛くなりやすそうだと私は推測しました。逆に、ある程度高音域が女性だと全体を通して楽しく歌えるレンジかもしれません。

　次に、地声最高音hiD#については、2番Bメロで登場します。登場回数は1回程度です。hiD#辺りは女性の音域としては高いですが、登場回数が1回だけので、場合によっては裏声で歌ってもよいかもです。
　hiD#に次ぐ地声高音としてはhiC#が全体で５～８回程度登場します。この辺りは女性の音域としてはやや高く、通常は少しキーを下げた方が歌いやすそうです。一つの目安として、原曲キーから１つ程度下げてみてください（原キーがマッチする人も多いと思います）。


　『胸の煙』は低音域に余地があり、キー下げは可能です。歌い慣れた人であれば、ある程度自分が得意なレンジに調整することができそうです。一方、同曲は音域自体はある程度広いため、ビギナーの場合はもしかしたら難しい部分が出てくるかもしれません。もしキー調整を行っても難しいと感じた場合は、別の易しめの楽曲と並行して練習してください。
　『胸の煙』を原曲キーで歌唱する場合、hiA#～hiC#辺りをしっかり歌いこなせる力が求められます。この辺りは女性の音域の範囲内～やや高めです。今回は特にhiA#辺りが非常に多くみられます。そのため、相対的に高音感があります。これらを踏まえると、「標準よりやや高め～ある程度高音域が得意な女性」などが原曲キーに合いやすいと私は判断しました。

　『胸の煙』はずっと真夜中でいいのに。の作品の中では高音域がやや控えめです。そのため、標準よりは高いのですが、ずとまよの作品としては取っ付きやすい部類なのではないかと思います。ずとまよの人気曲が高いと感じた方は、この曲を試してみるのもよさそうです。


　『胸の煙』はノリの良いバンド曲であり、カラオケなどでも歌いやすいと思います。音域面でもずとまよ作品の中では取っ付きやすいので、興味を持たれた方はチャレンジしてみてください。