こんにちは。今回は米津玄師さんの『馬と鹿』(2019)を取り上げたいと思います。よろしくお願いします。

 ※米津玄師さんの音域について、当ブログではこれまでに、『アイネクライネ』『爱丽丝(アリス)』『打上花火』(DAOKO×米津玄師)『打上花火』(米津玄師ソロver.)『馬と鹿』『orion』、『かいじゅうのマーチ』『恋と病熱』『春雷』『Nighthawks』『ナンバーナイン』『灰色と青 ( + 菅田将暉)』『飛燕』、『LOSER 』『ピースサイン』、『砂の惑星』米津玄師作詞作曲『パプリカ』(Foorin)『パプリカ』(米津玄師セルフカバー)『Flamingo』『フローライト』、『メトロノーム』『マトリョシカ』を取り上げています。興味を持たれた方は参考にどうぞ。


『馬と鹿』(米津玄師)、Uma to Shika(Kenshi Yonezu)


【地声最低音】mid1C(C3)  

★冷めきれないままのm1C[こ]ころで
★一つ一つ無くした果てに m1C[よう]やく残ったもの


【地声最高音】hiA#(A#4)  ※曲全体で1か所

★君じゃhiA#地[な]m2G#[きゃ]m2G[駄]m2F[目]だと(ラストサビ)


【裏声最高音】hiA#(A#4) 

★行hiA#裏[こう] はm2F[な]m2G[も]m2G#[咲]G[か]F[い]内に



【補足】mid2Fmid2G#の注意箇所

★こm2G[れ]m2F[が あ]F[じゃ]G[な][れ]ば(サビ)
★何とm2F[呼]ぶのか僕は知らm2G[な][かっ]
★ただひm2F[と]m2G[つ]だけ張り裂G[け]m2G#[る][く]F[ら]いに
m2F#[い]m2F[た]みは消えなm2G[い]m2G#[ま][ま]でいい

★晴m2F[れ]m2F#[間][を]結えばまだつm2F[づく][~]m2G(Cメロ)
m2F#[い]m2F[た]みは消えなm2G[い]m2G#[ま]F[ま]でいG[い](ラストサビ)

『馬と鹿』(米津玄師)









 まず、『馬と鹿』についてです。この楽曲は2019年に、シンガーソングライターの米津玄師さんがリリースしたシングル作品です。テレビドラマ『ノーサイド・ゲーム』の主題歌として書き下ろされました。作詞作曲は米津玄師さんが行っております。
 『馬と鹿』は米津玄師さんのYouTube公式チャンネルでMVが公開され、2019年9月現在で、およそ1300万回もの再生回数を記録しています。MV公開から10日での記録ですので、非常にハイペースです。
 
 『馬と鹿』のサウンドについてです。まず、本作のアレンジは、米津玄師さんとともに、『海の幽霊』も担当した坂東祐大さんによりなされています。そうしたこともあり、バンドサウンドとともに、オーケストラの音色が非常に印象的な作品になっています。素人目には、オーケストラのアレンジについて、英国の代表的なロックバンドRadioheadの『Burn The Witch』を想起させてるような箇所が見られると思いました(使用されている楽器などを含め、厳密には異なると思うのですが)。
 個人的に好きだと思った場面は、サビの終わりの直後に登場するギターとオーケストラのフレーズです。知識が不足しているゆえに、具体的な指摘は出来ないのですが、どことなくRPGのサウンドなどで使われてもおかしくないようなイメージが想起されました。短いフレーズですが非常に耳に残っています。
 
 歌詞についてです。まず、タイトルの『馬と鹿』ですが、「馬鹿」という言葉が想起されます。歌詞の中には「バカ」という言葉は直接出てきませんが、サビで歌われるフレーズ「あまりにくだらない願いが消えない」はタイトルの意味を連想させると思います。私なりの解釈ですが、「どこか愚かさを帯びたような願いや夢であっても、無骨に貫いていきたい」という意味合いが込められているのだと思います。タイアップの『ノーサイド・ゲーム』にあるように怪我が付き物であるラグビーの世界なども強く思い起こさせられます。
 個人的に好きだと感じたフレーズはCメロの「行こう 花も咲かないうちに」という箇所です。具体的には述べられていませんが、「冬の季節」、「種や芽の時期」といったニュアンスが込められていると思います。全体として、ゴツゴツして、傷だらけ、土臭い歌詞全体の中で、一つ美しいものを想起させられました。



 さて、最後に『馬と鹿』の音域についてですが、【地声最低音】mid1C(C3) ~【地声最高音】hiA#(A#4) 、【裏声最高音】hiA#(A#4)でメロディーが構成されております。大よそ、一般的な男性の音域の範囲内なのですが、1か所あまり一般的でないキーが含まれています。以下、細かく見ていきます。

 まず、AメロBメロではそこまで高いキーは登場しません。逆に高音域が得意な人は低音部が少しきついかもしれません。まずは、確実に音程が取れることを目標にしておくと良いと思います。歌い慣れてくると、音の強弱なども適切になり、低音部であっても上手さを感じる発声が出来ると思います。

 通常のサビ・Cメロは地声の最高音がmid2G#です。各サビで2回ずつ登場します。このmid2G#辺りの音階は男性ボーカルの一つのボーダーラインになり、地声で発声するのが難しくなり始める音階でもあります。ある程度歌い慣れている人であっても地声では難しい場合もありますので、状況によってはキーを下げるということも考えてください。

 一方で、サビの高音部ではmid2Fmid2G辺りのキーが多く登場します。この辺りは一般的な男性であれば届きうる音階です。ただ、普段歌い慣れていない人はスムーズな発声が損なわれる場合が多いです。しっかり声を出し慣れて歌いこなせるようにしたい音階です。少しずつ慣れていってください。

 さて、地声最高音hiA#についてですが、この音階は一般的な男性にとっては出しやすい音階ではありません。また、オリジナルのニュアンスを考えると、裏声で処理するのはあまり適切ではないように私には感じます(演奏スタイル、アレンジなどにより当然異なります)。
 このhiA#ですが、楽曲全体で1か所ですので、頑張ってチャレンジしてみてください。ある程度歌い慣れた人であれば、出る可能性もあります。ただ、やはり一般的なキーではありませんので、無茶な練習やノドに負担を掛け過ぎる練習は避けるべきです。
 ミュージシャンの経歴などを音域の面から見てみると、「キャリアが確立された時期」の方が「活動初期」に比べて、キーが高くなるような方も見られます。長い期間をかけることで高い音も出やすくなることがありますので、根気や努力というものも重要なのではないかと思います。時間をかけて、歌の練習をしていきたいです。