『堕天』(Creepy Nuts)の音域 /『よふかしのうた』OP曲

　まず、『堕天』（だてん）についてです。この楽曲は、２０２２年に２人組音楽ユニットCreepy Nutsによりリリースされたシングル作品です。アルバムとしては、同じ年にリリースされた『アンサンブル・プレイ』に初収録されました。同アルバムには、『パッと咲いて散って灰に』、『2way nice guy』、またYOASOBIとのコラボ曲として話題になった『ばかまじめ』(過去記事)などが収められております。

　さて、『堕天』はコトヤマさんの同名漫画を原作としたテレビアニメ『よふかしのうた』のオープニングテーマとして書き下ろされました。漫画『よふかしのうた』は、Creepy Nutsの楽曲『よふかしのうた』から由来しており、そうした縁もあり、アニメの主題歌に起用されました。
　アニメと楽曲の質も相まって、『堕天』はストリーミングでも上位にランクインしました。また、Creepy NutsのYouTube公式チャンネルで公開されたミュージックビデオは２０００万回を超える再生回数を記録しております（２０２３年８月現在）。


　『堕天』はアッパーなヒップホップナンバーです。歌メロはAメロBメロサビと展開、全体的にテンションが高く、多くの人にとって親しみやすいのではないかと思います。ヒップホップということもあり、韻を踏んだ歌詞が印象的です。Creepy Nutsの特徴でもありますが、メロとメロの間隔が短い場面が多く、息継ぎなどが大変そうにも感じました。

　『堕天』の音域的な特徴についてです。同曲は男性の音域と比べ、高め（体感的には明確に「高い」といってもよいかも）のレンジで歌メロが作られております。低音域には余地があるため、一般的な男性はキーを下げた方が歌いやすそうです。
　同曲の最低音はmid1D#ですが、全体でみると低音は高めです。そのため、相対的に中高音域の割合が高く、mid2D#～mid2G#といったレンジが頻出します。息継ぎのしにくさとも相まって、体力の消耗が激しくなりやすい楽曲なのではないかと私は推測しております。場合によっては、複数人でパート分けして歌うのもよいかもしれません。

　ちなみに、女性が同曲を歌唱する場合、通常はキーを上げた方が歌いやすいです。ただ、今回は低音域が比較的高めですので、「標準より低い音域の女性」などは原曲キーが合う可能性があります。その辺りは各々実際に歌唱してみてください。



　最後に『堕天』の音域についてですが、【地声最低音】mid1D#(D#3)～【地声最高音】hiA#(A#4)、【裏声最高音】hiA#(A#4)で歌メロディーが構成されております。一般的な男性の音域と比べ、高めです。以下、見ていきます。

　まず、地声最低音mid1D#はAメロで登場します。ただ、このmid1D#については瞬間的ですので、重要度はそこまで高くないと私は分析しております。このmid1D#以外ではmid1F#辺りが少ないながら登場します。低音は全体してmid1G#辺りが比較的多いです。図で示すよりも低音は高い印象です。

　次に、地声最高音hiA#はサビで登場します。登場回数は各サビ１回ずつ、計３回程度です。このhiA#以外の場面では、Bメロやサビなどでmid2G#が非常に多く登場します。こうしたことを踏まえると、男性の音域としては高めであり、一般的にはキーを下げた方が歌いやすいといえそうです。一つの目安ですが、原曲キーから２つ程度下げてみてください。


　『堕天』は低音域に余地があり、キー下げは可能です。ある程度歌い慣れた人であれば、自分の得意なレンジに調整することができそうです。また、音域的にはビギナー向けの調整も可能だといえます。
　ただ、今回の楽曲はメロが非常に速く、息継ぎなどもしにくい作品です。そうしたことを考慮すると、ビギナーには向きにくい楽曲なのではないかと私は推測しました。また、歌い慣れた人であっても、歌詞やリズムなどはしっかり覚えておいた方がよいです。

　『堕天』を原曲キーで歌唱する場合、高音域はmid2D#～hiA#といった中高音域をしっかり歌いこなせる力が求められます。とりわけmid2D#～mid2G#辺りは登場頻度が高く、息継ぎも大変なことからスタミナが不可欠になりそうです。
　こうしたことを踏まえると、「標準より高め～高音域が得意な男性」などが原曲キーにマッチしやすいと私は判断しました。また、「標準より低い音域の女性」などももしかしたら原曲キーが合う可能性があります。


　『堕天』はノリの良いラップナンバーであり、カラオケでも歌いやすいと思います。個人的には歌詞のフレーズや世界観も非常に耳に残りました。興味を持たれた方はチャレンジしてみてください。