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『ネイティブダンサー』(サカナクション)の音域と感想

 こんにちは。今回はサカナクションの『ネイティブダンサー』(2009)を取り上げます。サカナクション3枚目のオリジナルアルバム『シンシロ』に収録され、ベストアルバムの『魚図鑑』にも収められています。よろしくお願いします。
 
 サカナクションは当ブログでは以前に、『新宝島』『アイデンティティ』、『バッハの旋律を夜に聴いたせいです。』『多分、風。』を取り上げました。興味を持たれた方は、そちらもどうぞ。


『ネイティブダンサー』(サカナクション),Native Dancer (Sakanaction)
2009年1月21日発売【アルバム『シンシロ』収録】

『ネイティブダンサー』(サカナクション)










【地声最低音】mid1B(B2)

★その時はどこかで 雪が降るのを待つ「さ」(Aメロ)



【地声最高音】hiA(A4)    ※サビ部分で頻出です

★あ [わい)日に僕らは揺れた ただ揺れた そういう気になって


 『ネイディブダンサー』は2009年の作品です。この楽曲辺りからサカナクションの知名度は徐々に上昇していった印象です。楽曲の再生回数もレコード会社のyoutube公式チャンネル、サカナクションの公式チャンネルを合算して1600万回を超えています。また、この頃にバンドは活動の拠点を札幌から東京に移しております。

 サカナクションはエレクトロサウンドとロックを融合したサウンドが特徴的ですが、この『ネイティブダンサー』についてはエレクトロ側、シンセサイザーの音が非常に象徴的です。また、個人的には2番のAメロ冒頭に突然現れるドラミングが耳に残りました。
 
 歌詞についてですが、「思い出は立ち止まったまま、冬の花のよう」という言葉に象徴されています。「季節は移り代わってゆくのに、昔のことを何度も思い出し、立ち止まったままでいる主人公の姿」が映し出されます。歌詞の全体にわたり、「思い出」、「思い出す」といったフレーズが繰り返されるのが印象的です。また、思い出にすがり、立ち止まった自分のことを「いつだって最後方」と表現しています。

 また、「思い出」と同じく象徴的に描かれているのが、「雪」という言葉でしょう。「冬の花」というのは恐らく雪のことを意味していると思います。「立花(りっか)」という言葉があるように、雪の結晶のことを花と比喩することは、サカナクション以外のクリエイターにも頻繁に用いられます。漫画家山岸涼子さんの作品『舞姫 テレプシコーラ』では「篠原立花(ユキ)」という名の主人公が登場します。
 
 タイトルの『ネイティブダンサー』というのは冬に舞い降りる雪のことを表わしていると思います。歌詞のサビ部分に「淡い日に僕らは揺れた ただ揺れた そういう気になって 思い出のように降り落ちた ただ降り落ちた そう雪になって」とあります。自分の心情、季節が立ち止まったまま「最後方」という立ち位置を「ただ降り落ちる雪である」と表現しています。非常に詩的だと思います。

このように『ネイティブダンサー』の歌詞は極めてネガティブであります。一方で、サウンドアレンジ、リズムパターンなどはそのネガティブさを感じさせない心地よさがあります。





 さて、『ネイティブダンサー』の音域についてですが、地声最低音mid1B(B2)~地声最高音hiA(A4)  でメロディーが構成されています。全体として、サビ以外は非常に低音域を中心にメロディーが展開されます。

 この楽曲ではサカナクションのボーカル山口一郎さんは比較的淡白な発声を行っていると思います。この楽曲はどちらかといえば、サウンド面に趣向を凝らしており、メロディー自体はそんなにエモーショナルな展開があるわけではありません。カラオケなどで歌う際もそうした面を意識してみるといいと思います。大きく盛り上がる楽曲ではないと思いますが、軽快なテンポが心地よい楽曲です。

 一方で、歌に非常に自信のある方は、ボーカルラインに自分なりの個性や抑揚、フェイクなどを乗せてみるのも良いかもしれません。原曲の表現とは大きく異なりますが、そうしたチャレンジは歌の表現力を磨くのにも良いと思います。ジャズ系のミュージシャンによく見られる表現です。日本で有名なポップミュージシャンではaikoさんが他者の楽曲をカバーする際に、そうしたアレンジを頻繁に行っていた記憶があります。

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