『江ノ島エスカー』(ASIAN KUNG-FU GENERATION)の音域

★なm2F[み]おとのm2G#–m2G[か]な]た]にひ[び]く声 揺れるエスm1G#[カー]【ラストサビ[転調₊1]】

　まず、『江ノ島エスカー』についてです。この楽曲は、２００８年にリリースされたシングル『転がる岩、君に朝が降る』のカップリング曲として初リリースされます。アルバムとしては、同じ年にリリースされたアルバム『サーフ ブンガク カマクラ』に初収録されました。
　同アルバムには、シングル『藤沢ルーザー』をはじめ、『腰越クライベイビー』、『由比ヶ浜カイト』、『稲村ヶ崎ジェーン』など江ノ島電鉄の駅名の入った楽曲が１０曲収録されております。アルバムは、出荷ベースで１０万枚のセールスを記録し、日本レコード協会よりゴールド認定がなされております。

　さて、『江ノ島エスカー』はカップリング曲としてリリースされ、アルバムでは３曲目に収録されました。アルバムは、２０２３年に１５曲（１５駅全て）が収録された『サーフ ブンガク カマクラ(完全版)』として再リリースされます。新曲５曲が収められ、既存曲の１０曲は再レコーディングされました。完全版のアルバムの発売に伴い、『江ノ島エスカー』のミュージックビデオも制作され、アジカンの公式チャンネルで公開されております。


　『江ノ島エスカー』はアッパーなバンド曲です。頭サビで歌メロが始まり、Aメロサビと展開します。Cメロを経てラストサビでは転調がなされ、キーが１つ上がります。全体的にシンプルな構成であり、何度か聞いているうちに自然と口ずさめるようになるのではないかと思います。作詞作曲はボーカル＆ギターの後藤正文さん、編曲はASIAN KUNG-FU GENERATIONによりなされました。
　ちなみに、『江ノ島エスカー』神奈川県藤沢市の江の島にある上り専用の有料エスカレーターの名前ですが、歌詞については江ノ島全体の風景を切り取られています。

　『江ノ島エスカー』の音域的な特徴についてです。同曲は男性の音域としてはやや高め（一部高め）で歌メロが作られております。低音域には余地があるため、一般的には少しキーを下げた方が歌いやすいのではないかと思います。
　同曲は最低音がmid1Dですが、これは歌い出しの瞬間的な音です。そのため、Aメロでもmid2Dやmid2Eを含むなど中高音域が多いです。高音域が滅茶苦茶に高いわけではないですが、mid2D～mid2G辺りが比較的多い中高音寄りの楽曲になります。

　ちなみに、女性が同曲を歌唱する場合、通常はキーを上げた方が歌いやすいです。今回は、低音域に厳密にこだわらなければ、女性が原曲キーで歌唱することも不可能ではないと思います。ただ、やはり、やはりキーを上げた方が女性の音域が活きやすいです。一つの目安ですが、原曲から３つ程度キーを上げてみて下さい（高音域が得意な女性はもう少し上げてもよい）。



　最後に『江ノ島エスカー』の音域についてですが、【地声最低音】mid1D(D3)～【地声最高音】hiA(A4)で歌メロディーが構成されております。一般的な男性の音域としてはやや高め（一部高め）です。以下、見ていきます。

　まず、地声最低音mid1DはAメロなどで登場します。今回のmid1Dは歌えるに越したことはないですが、歌い出しの音であるため、音程がズレたとしてもそこまで目立たないと思います。高音域が非常に得意な男性などはキーを上げるのも選択肢です。

　次に、地声最高音hiAはCメロで登場します。登場回数は１回のみですが、mid2Gとのコンボです。また、ラストサビでは転調が行われ、mid2G#が４回程度登場します（いずれもmid2Gとコンボ）。このhiA,mid2G#辺りは男性の音域としては高めです。そのため、一般的な男性は少しキーを下げた方が歌いやすいのではないかと私は推測しております。一つの目安ですが、原曲キーから１～２つ程度下げてみてください。


　『江ノ島エスカー』は低音域に余地があり、キー下げは可能です。今回の最低音mid1Dは歌い出しの音であるため、見た目よりもキーを下げやすいと思います。歌い慣れた人であれば、ある程度自分の得意な音域に調整することができそうです。一方、ビギナー向けの調整も一応は可能と思いますが、人によっては一部歌いにくい部分が出てくるかもしれません。その辺りは留意しておいてください。
　今回の楽曲はメロディー自体は分かりやすく、リズムもそこまで難しくはありません。そのため、音域がマッチするのであれば、練習曲にはよいと思います。

　『江ノ島エスカー』を原曲キーで歌唱する場合、mid2D～mid2G#(hiAは１回)といった中高音域をしっかり歌いこなせる力が求められます。今回はAメロ辺りもmid2D,mid2Eが含まれます。mid2Gが９回、mid2G#は４回程度登場します。
　こうしたことを踏まえると、「標準よりやや高め～ある程度高音域が得意な男性」などが原曲キーにマッチしやすいと私は判断しました。



【まとめ】

①高音域が滅茶苦茶に高いわけではないが、全体的に中高音寄り
②Aメロもそれなりに中音域が見られ、サビは中高音がより増える