『Future is Yours』(サンボマスター)の音域

　まず、『Future is Yours』（フューチャー・イズ・ユアーズ）についてです。この楽曲は、２０２３年にロックバンド・サンボマスターによりリリースされたシングル作品です。この記事を執筆時点ではCDをはじめシングル作品のみで、１１月にリリース予定のフルアルバム『ラブ&ピース!マスターピース!』への収録が見込まれております。
　ちなみに、現在サンボマスターはデビュー２０周年であり、ベストアルバムのリリースや全国ツアーなど様々な企画が行われております。

　さて、『Future is Yours』はアニメ映画『しん次元! クレヨンしんちゃん THE MOVIE 超能力大決戦 〜とべとべ手巻き寿司〜』の主題歌として書き下ろされました。今回のクレヨンしんちゃんの映画はシリーズ初の3DCG映画となっております。同シリーズの映画作品としても最大のヒットを記録中だそうです。
　ちなみに、『Future is Yours』のミュージックビデオは「もしもサンボマスターのメンバーが少年時代から知り合っていたら」というコンセプトで制作されており、そうした点も魅力の１つです。


　『Future is Yours』はアッパーなバンド曲です。頭サビで歌メロが始まり、AメロBメロサビと展開します。３人のバンドサウンドが主体となった元気のいい作品であり、前向きな歌詞にも勇気づけられます。作詞作曲はボーカル＆ギターの山口隆さん、編曲はサンボマスター自身によりなされました。

　『Future is Yours』の音域的な特徴についてです。同曲は男性の音域としては高いレンジで歌メロが作られております。低音域に余地があり、一般的な男性はキーを下げた方が歌いやすいです。
　同曲は曲全体を通してmid2F#以上の中高音が多く登場します。反面、mid1F#などの低音域も意外と多く、低音～高音まで安定した歌唱が不可欠になります。

　同曲を女性が歌唱する場合についてです。今回は低音域としてmid1F#やmid2Aがコンボとなったメロが意外と多く登場します。そのため、低音域が得意な女性は原キーでも歌唱可能だと思いますが、通常は少しキーを上げた方が歌いやすいのではないかと私は推測しております。今回は、音域自体が広めの作品であるため、力量が求められます。



　最後に『Future is Yours』の音域についてですが、【地声最低音】mid1E(E3)～【地声最高音】hiC#(C#5)で歌メロディーが構成されております。一般的な男性の音域と比べ、高いレンジで歌メロが作られております。以下、見ていきます。

　まず、地声最低音mid1Eは1番のAメロで登場します。登場回数は1回のみですので、あまりこだわらなくてもいいかもしれません。この他に、今回はmid1F#辺りが比較的多く登場します。この辺りは一般的な男性の音域の範囲内です。ただ、女性が原キーで歌唱する場合、低く感じやすい人も多くおられると思います（女性の場合、キーを上げてもよさそう）。

　次に、地声最高音hiC#はBメロやDメロ、ラストサビで登場します。登場回数は6回程度で、Dメロが特に高いです。この他の地声高音としては、hiBが４回程度、hiAが１５回程度登場します。こうしたことを踏まえると、男性の音域としてはかなり高く通常はキーを下げた方が歌いやすいと思います。一つの目安ですが、原曲キーから３～4つ程度下げてみてください（これでもそこそこ高い）。


　『Future is Yours』は低音域に余地があり、キー下げは可能です。歌い慣れた人であれば、ある程度自分が得意なレンジに調整することができると思います。ただ、今回は最高音がhiC#であるため、一般的な男性が歌いやすいレンジにするには大きなキー調整が必要になります。そのため、人によっては違和感などを感じやすいかもしれません。
　同曲はメロディー自体は分かりやすく、音域が合う人であればカラオケなどでも歌いやすいと思います。ただ、低音～高音までそれなりに広く、安定した歌唱が求められます。

　『Future is Yours』を原曲キーで歌唱する場合、mid2F#～hiC#といった中高音域をしっかり歌いこなせる力が求められます。いずれも地声高音であり、全体的に登場頻度が高いです。また、低音域もmid1F#が多く登場し、メロの上下が目立ちます。
　こうしたことを踏まえると、「高音域が（非常に）得意な男性」などが原曲キーに合いやすいと私は判断しました。今回は音域的には女性に近いのですが、mid1F#やmid2Aなどがやや多いため、少し歌いにくいかもしれません。あえて言えば、「標準よりやや低めの音域の女性」などは原キーがマッチする可能性があります。


【まとめ】

①原キーだと「高音域が非常に得意な男性」向け。
②女性は「標準よりやや低めの音域の女性」が合う可能性がある(低音が少し歌いにくそう)。
③全体的に中高音寄りだが、低音も気を抜けない（アップダウンが激しい）
④メロディー自体は分かりやすく、カラオケ向き（音域はそれなりに広い）