『あなただけ見つめてる』( 大黒摩季 ) の 音域

　まず、『あなただけ見つめてる』についてです。この楽曲は、１９９３年に女性シンガーソングライターの大黒摩季（おおぐろまき）さんによりリリースされたシングル作品です。アルバムとしては、１９９４年のアルバム『永遠の夢に向かって』に初収録されました。同アルバムには、『白いGradation』、『夏が来る』などのシングルが収められており、１６０万枚のCDセールスを記録しました。

　さて、『あなただけ見つめてる』は井上雄彦さんの同名漫画を原作としたテレビアニメ『SLAM DUNK』のエンディングテーマとしてタイアップが付きました。アニメの人気や楽曲の質も相まって、同曲は１２０万枚を超える大ヒットを記録し、日本レコード協会よりミリオン認定がなされました。１９９４年の年間CD売上ランキングでも８位にランクインしております。大黒さんを代表する楽曲の１つです。

　ちなみに、この頃は「ビーイングブーム」といわれるJ-POPのヒット現象が起こっていた時期でもありました。B’zやZARD、WANDS、T-BOLAN、大黒摩季さんといったレコード会社ビーイングに所属する歌手がシングル売上ランキングで上位を独占しておりました。今回の楽曲のタイアップ先となった『SLAM DUNK』についても、ビーイングの歌手が主題歌を多く担当し、WANDSの『世界が終わるまでは』(過去記事)、ZARDの『マイフレンド』(過去記事)、BAADの『君が好きだと叫びたい』(過去記事)といったヒット曲を多く生み出していきました。


　『あなただけ見つめてる』はミドルテンポのデジタルポップです。打ち込みが主体となったダンサブルなポップです。歌メロは頭サビで始まり、AメロBメロサビと展開します。また、歌詞については、自分らしさを捨ててまで恋人に合わせてゆく女性がテーマとなっております。歌詞内容がかなり凄まじく、大黒さんの友人をモデルに書かれたそうです。作詞作曲は大黒摩季さん、編曲は葉山たけしさんによりなされました。

　『あなただけ見つめてる』の音域的な特徴についてです。同曲は女性の音域としては高いレンジで歌メロが作られております。低音域には余地があるため、一般的な女性はキーを下げた方が歌いやすいです。　
　同曲は、全体としてhiA～hiC#といった中高音域が非常に多く登場します。そのため、体感的に高く感じやすく、終盤にはhiEなど高い音が複数回登場します。最低音もmid2Bと比較的高く、そうして点でもある程度高音域が得意な女性向けの楽曲になります。



　最後に『あなただけ見つめてる』の音域についてですが、【地声最低音】mid2B(B3)～【地声最高音】hiE(E5)で歌メロディーが構成されております。一般的な女性の音域としては高いです。以下、見ていきます。

　まず、地声最低音mid2BはAメロで登場します。このmid2Bは女性曲の最低音としてはやや高く、相対的に中高音域が多く登場し、スタミナも要求されうることが示唆されております。今回の『あなただけ見つめてる』についてもそうした傾向が当てはまります。

　次に、地声最高音hiEはラストサビで登場します。登場回数は３回程度です。このhiEに次ぐ高音としては、hiC#がピークとなる場面が全体で２５回程度登場します。こうしたことを踏まえると、女性の音域としては高く、通常はキーを下げた方が歌いやすいです。一つの目安ですが、原曲キーから２つ程度下げてみてください。


　『あなただけ見つめてる』は低音域に余地があり、キー下げはしやすいです。歌い慣れた人であれば、ある程度自分が得意なレンジに調整することが可能だと思います。一応ビギナー向けの調整も可能だと思いますが、終盤は高い音が登場するため、一部歌いにくい部分が出てくるかもしれません。
　同曲はメロディー自体は比較的分かりやすいです。一方、リズムが若干取りにくい部分があるため、原曲を聴き込んでおきたいです。ただ、最近の曲と比べると分かりやすいと思うので、音域が合うのであれば、カラオケなどでも歌いやすいと思います。

　『あなただけ見つめてる』を原曲キーで歌唱する場合、hiA～hiEといった中高音域をしっかり歌いこなせる力が求められます。とりわけ、hiA～hiC#辺りが全体的に多く、ある程度高音域が得意な女性でもスタミナが求められます。
　こうしたことを踏まえると、「ある程度～非常に高音域が得意な女性」が原曲キーにマッチしやすいと私は判断しました。最低音が高く、中高音寄りの曲であるため、相対的に高音域が得意な人が有利です。


【まとめ】

①全体的に中高音寄りで、終盤は特に高くなる（高音域が得意な人が有利）
②原キーだと「ある程度～非常に高音域が得意な女性」向け
③メロディーなどは最近の曲と比べると覚えやすい
④歌詞がかなり独特