『Silent Jealousy』(X JAPAN)の音域

　まず、『Silent Jealousy』についてです。この楽曲は、１９９１年にX JAPANによりリリースされたシングル作品です（リリース時の名義はX）。元々はアルバム『Jealousy』の１曲でしたが、シングルカットされました。アルバム『Jealousy』は１１０万枚を超えるCDヒットを記録し、日本レコード協会よりミリオン認定がなされました。同バンドのオリジナルアルバムとしては最も大きなセールスを記録しています。

　『Silent Jealousy』はアルバムからのリカットシングルでありながら、３０万枚近いCDヒットを記録。１９９１年に初出場した紅白歌合戦でも同曲が披露されました。ファンからも高い人気の１曲であり、同バンドの代表的な楽曲の１つです。

　『Silent Jealousy』はアップテンポのバンド曲です。イントロは寂しげなピアノで始まりますが、途中から荒々しいバンドサウンドへと変化し、X JAPANらしいシンフォニーメタルが展開されます。演奏時間は7分と長く、1番終了後の間奏もかなり長尺です。ボーカルは体力を温存しやすいですが、男声域としてははかなり高いため、その点で力量（適正）が求められます。作詞作曲はフロントマンであるYOSHIKIさん、編曲はバンドによりなされました。


　『Silent Jealousy』の音域的な特徴についてです。同曲は男性の音域としてはかなり高いレンジで歌メロが作られております。一般的な男性にとってはキーを下げた方が歌いやすいといえます。
　同曲はAメロ～サビまでで中高音域が多く登場します。ただ、Aメロの中高音はmid2E～mid2G#辺りまでであり、hiA以上が多く見られるBメロサビが特に高いといえます。音域的には女声域に近似するため、男性よりもむしろ女性の方が合う人が多いかもしれません。男性だと「高音域が得意（or非常に得意）な人」向けです。

　女性が同曲を歌唱する場合、一定数原曲キーがマッチするという人もおられると思います。個人差があるため、人によってはキーをいくらかキーを調整した方がよりマッチします。ボーカルのToshIさんとは異なるニュアンスの歌唱になるかもしれませんが、音域的に女性の方が合いやすい曲です。



　最後に『Silent Jealousy』の音域についてですが、【地声最低音】mid2B(B3)～【地声最高音】hiC#(C#5)で歌メロディーが構成されております。一般的な男性の音域と比べ、かなり高いです。以下、見ていきます。

　まず、地声最低音mid2BはAメロとBメロで登場します。この辺りは男性の音域の範囲内ですが、男性曲の最低音としてはかなり高いです。最低音がmid2Bの男性曲は、ほぼ「一般的な男性にとっては高音が高い曲」となります。今回の『Silent Jealousy』についても明確にこの傾向が当てはまります。

　次に、地声最高音hiC#はサビで登場します。登場回数は全体で１２回程度です。このhiC#に次ぐ地声高音としては、hiBがピークとなる場面が全体で４６回程度（フレーズとしては２０回超）登場します。このため、男性の音域としては高く、通常はキーを下げた方が歌いやすいです。一つの目安ですが、原曲キーから４つ程度下げてみてください（これでも結構高いです）。


　『Silent Jealousy』は低音域に余地があり、キー下げは可能です。歌い慣れた人であれば、ある程度自分の得意なレンジに調整することができると思います。今回の楽曲は音域自体はそこまで広くないため、キー調整自体はかなり行いやすい曲といえます。一方、同曲は男性曲としてはかなり高い曲であるため、一般的な男性が歌いやすい音域に合わせるためには多くのキー調整が必要になります。そのため、違和感などを感じる人も多そうです。
　同曲はメロディー自体は比較的わかりやすく、音程などもつかみやすいです。一方、Aメロ等では英語詞が多く、テンポも速めです。そのため、歌詞などはしっかり覚えておきたいです。

　『Silent Jealousy』を原曲キーで歌唱する場合、mid2G#～hiC#といった中高音域をしっかり歌いこなせる力が求められます。今回はBメロやサビを中心にhiA～hiC#等が多く、男性曲としてはかなり高いです。低音域についてはmid2Bであり、こちらもかなり高いです。
　こうしたことを踏まえると、「高音域が非常に得意な男性」が原曲キーに合いやすいと私は判断しました。また、原曲とは異なるニュアンスになるかもしれませんが、「女性」で原曲キーが合う人が多そうです（「標準よりやや低め～高音域が得意な女性」など）。


【まとめ】

①Bメロサビが特に高いが、全体的に中高音寄り（音域は狭く中高音頻出のメロ）
②原キーだと「高音域が非常に得意な男性」に合いそう
③音域的には女声域に近く、「標準よりやや低め～高音域が得意な女性」などが合いそう
④メロは分かりすいが、速い英語詞があるので歌詞を覚えておきたい