『相思相愛』(aiko)の音域　『名探偵コナン 100万ドルの五稜星』主題歌

　まず、『相思相愛』についてです。この楽曲は、２０２４年に女性シンガーソングライターのaikoさんによりリリースされたシングル作品です。現在は配信限定のシングルですが、５月上旬にCDシングルとしてのリリースが予定されております。この記事を執筆時点で最も新しいシングル曲であるため、アルバムには未収録です。

　さて、『相思相愛』は、青山剛昌さんの同名漫画を原作とした映画『名探偵コナン 100万ドルの五稜星（みちしるべ）』の主題歌として書き下ろされました。映画の人気と楽曲の質が相まって、同曲は既にストリーミングランキングで上位にランクインしております。
　コナンの劇場版シリーズは近年特に興行収入が伸びており、それに伴い主題歌への注目も高くなっています。２０２３年には、主題歌となったスピッツの『美しい鰭』(過去記事)がその年を代表するヒット曲の１つとなりました。


　『相思相愛』はスローなバンド曲です。頭サビで歌メロが始まり、AメロBメロサビと展開します。劇場版コナンの主題歌はエンディングに流れることもあってか、全体的にしっとりした落ち着いた印象です。
　同曲の作詞作曲はaikoさん、編曲はトオミヨウさんによりなされました。トオミヨウさんはあいみょんさん、aikoさんなどをはじめ数多くのミュージシャンの作曲編曲に携わっています。最近だと、米津玄師さんの『さよーならまたいつか！』（過去記事）にも携わり話題になりました。


　『相思相愛』の音域的な特徴についてです。同曲は大よそ一般的な女性の音域の範囲内で歌メロが作られております。ただ、J-POPの女性曲としてはやや高音が控えめであるため、高音域が得意な女性などはキーを上げてもよさそうです。
　『相思相愛』はAメロBメロサビと歌メロが盛り上がっていき、中高音域としてはmid2G#～hiB（裏声はhiC#まで）などが登場します。また、低音域としてはmid1G#,mid2Aなどが多く見られます。こうした特徴から、メロのアップダウンが激しく、低音～高音まで正確な音程が求められます。低音の登場回数などを考慮すると、「高音域が得意な女性」などは少しキーを上げた方がマッチしすいと私は推測しました。

　男性が同曲を歌唱する場合、通常はキーを下げた方が歌いやすいです。一つの目安ですが、原曲キーから４つ程度下げてみてください。今回は最高音自体がそこまで高くないため、「高音域が非常に得意な男性」などは原キーでの歌唱も可能です。ただ、aikoさんの歌唱ニュアンスなどを考慮すると、「高音域が得意な男性」でもいくらかキーを下げた方がより歌いやすくなるのではないかと私は推測しています。



　最後に『相思相愛』の音域についてですが、【地声最低音】mid1G#(G#3)～【地声最高音】hiB(B4)、【裏声最高音】hiC#(C#5)で歌メロディーが構成されております。一般的な女性の音域の範囲内です（J-POPの女性曲としては高音がやや控えめ）。以下、見ていきます。

　まず、地声最低音mid1G#はAメロで登場します。また、同曲は全体的にmid2A-mid2B等が登場し、特にAメロで多いです。こうしたことから、低音域の頻度が高い曲であると私は分析しました。「高音域が得意な女性」などはいくらかキーを上げた方が歌いやすい可能性があります。

　次に、地声最高音hiBはサビやBメロで登場します。登場回数は全体で７回程度です。hiBに次ぐ地声高音としては、hiAがピークとなる場面が全体で３１回登場します。hiA-hiBは一般的な女性の音域の範囲内ですが、歌い慣れていない人だとスムーズな発声が損なわれる可能性があります。ただ、比較的克服しやすい音階でもありますので、少しずつ練習を重ねてください。「高音域が苦手な女性」などはhiBについて裏声を上手く使うのもよさそうです。


　『相思相愛』は低音域に余地があり、キー下げは可能です。歌い慣れた人であれ、ある程度自分の得意なレンジに調整することができると思います。また、今回は地声音域がそこまで広くないため、ビギナー向けの調整もある程度可能なのではないかと私は推定しております（低音が若干歌いにくくなる可能性はある）。
　同曲はメロディー自体は比較的わかりやすく、リズムなども取りやすそうです。一方で、メロのアップダウンが意外と激しいため、正確な音程コントロールが要求されます。スローナンバーですので、低音～高音まで丁寧な歌唱を心掛けたいです。

　『相思相愛』を原曲キーで歌唱する場合、mid2F#～hiB（裏声はhiB-hiC#）といった中高音域をしっかり歌いこなせる力が求められます。hiBはBメロやサビででみられますが、J-POPの女性曲としてはやや高音が控えめです。一方、低音についてはmid2A-mid2B等が多く、意外とアップダウン激しいです。
　こうした点を考慮すると、「標準より低め～標準より高めの音域の女性」などが原曲キーに合いやすいと私は判断しました。「高音域が得意（or非常に得意な）女性」についてはキーを上げた方がより歌いやすくなる可能性があります。


【まとめ】

①AメロBメロサビと盛り上がる。高音はJ-POP女性曲としては控えめ
②原キーだと「標準より低め～標準より高めの音域の女性」などに合いそう
③「高音域が得意な女性」などはキー上げ推奨
④親しみやすいメロで歌の良さが活きやすい
⑤低音が意外と多く、メロの上下が激しい（低音～高音まで安定して歌いたい）