『さらば』(キンモクセイ)の音域（執筆途中）/ アニメ『あたしンち』OP曲

　まず、『さらば』についてです。この楽曲は、２００２年にロックバンド・キンモクセイによりリリースされたシングル作品です。アルバムとしては、同じ年に発表された『音楽は素晴らしいものだ』に初収録されました（アルバムと同時発売）。同アルバムには、大ヒット曲『二人のアカボシ』（過去記事）をはじめ、『七色の風』、『僕の行方』といったシングル曲が収められております。


　さて、『さらば』は、けらえいこさんの同名漫画を原作としたテレビアニメ『あたしンち』のオープニングテーマとしてタイアップが付き、約3万枚のCDセールスを記録しました。アニメについては、２００２～０４年までは金曜の19:30の枠で全国放送されていたため、当時放送を見ていた人の知名度は非常に高いのではないかと思います（当時アニメの平均視聴率も12.5%と高い）。


　『さらば』はアップテンポのバンド曲です。ホーンセクションなども導入されており、全体的に明るく切ないバンドサウンドになっています。歌メロはいわゆるヨナ抜きの５音階を中心に作られており、その辺りも曲のカラーに繋がっています。
　歌メロはAメロ(もしくはサビ)とBメロのシンプルな構成です。そのため、メロは比較的覚えやすく、またリズムなども取りやすそうです。作詞作曲はボーカル＆キーボードの伊藤俊吾さん、編曲はキンモクセイによりなされました。


　『さらば』の音域的な特徴についてです。同曲は男性の音域としては標準的（一部はやや高め）のレンジで歌メロが作られております。一般的な音域の男性が原曲キーで歌唱することも可能ですが、場合によっては少しキーを調整するのもよさそうです。
　同曲は、中高音としてはmid2D～mid2G#等が登場しますが、全体でみるとmid2D辺りが多いです。低音域については、mid1D,mid1E等が登場し、特にmid1E～mid1G辺りが多いです。際立って低いというわけではないですが、低音域を安定的に歌うことも重要になります。発声は地声ベースでありますが、サビの象徴的な場面で裏声が使われております。

　女性が同曲を歌唱する場合、通常はキーを上げた方が歌いやすいです。今回は低音がmid1D,mid1E等が見られるため、原キーだと女性にはかなり低いです。一つの目安ですが、原曲キーから３～６つ程度上げてみてください。



　最後に『さらば』の音域についてですが、【地声最低音】mid1D(D3)～【地声最高音】mid2G#(G#4)、【裏声最高音】hiB(B4)で歌メロディーが構成されております。一般的な男性の音域と比べ、標準的（一部やや高め）です。以下、見ていきます。

　まず、地声最低音mid1Dは主にBメロで登場します（mid1D#とのコンボ）。今回はmid1Eなども比較的多く、特にBメロは中低音寄りです。大よそ一般的な男性の音域の範囲内ですが、「高音域が非常に得意な男性」などはキーを上げてもよいかもしれません。

　次に、地声最高音mid2G#はラストサビで登場します。登場回数は１回のみです。このmid2G#に次ぐ地声高音としては、mid2Gがピークとなる場面が全体で７回程度登場します。こうした点を考慮すると、大よそ一般的な男性の音域の範囲内といえます。そのため、一般的には原曲キーでの歌唱がマッチしやすいですが、人によっては少しキーを下げるのもよさそうです。


　『さらば』は低音域に余地があり、キー下げは可能です。歌い慣れた人であれば、ある程度自分の得意とする音域に調整することができそうです。ただ、今回の楽曲は音域がそれなりに広いため、ビギナーなどは一部歌いにくい部分が出てくる可能性もあります。キー調整しても歌いにくい場合は別の易しめの曲と並行して練習してください。
　今回の楽曲はメロディーは分かりやすく、リズムなども比較的取りやすいです。音域がマッチするのであれば練習曲やカラオケにも向きやすそうです。

　『さらば』を原曲キーで歌唱する場合、mid2D～mid2G#(裏声はhiAやhiB)といった中高音域をしっかり歌いこなせる力が求められます。サビではmid2Gなどが登場しますが、全体でみるとmid2D当たりの頻度が高く、mid2E～mid2G#が求められる場面は少なめです。低音についてはmid1Eなどが多いです。
　こうした点を考慮すると、「標準的～高音域が得意な男性」などが原曲キーにマッチしやすいと私は分析しました。


【まとめ】

①歌メロはサビ(or Aメロ)とBメロから構成されシンプル
②音域は広め。低音が意外と重要になる
③原キーだと「標準的～高音域が得意な男性」などに合いそう
④歌メロはシンプルでカラオケ向き。おススメ