『会いたくて』(Ado)の音域

★下hiC[手くそ]hiF[な]hiE[こ][とば]に乗[せ] D[は]C[こ]ぶよ【Cメロ】

★くしゃくしゃにhiA[わ]hiA#[ら][っ]た顔も 少し寂し[そ]うな顔も【Cメロ】

★いつもそばhiA[で]君の横A[で]見hiD裏[て]hiC[い][た]くて
★わhiC[がまま]hiD裏[な][あ]いを

　まず、『会いたくて』（あいたくて）についてです。この楽曲は、2021年に女性歌手のAdoさんによりリリースされたシングル作品です。配信限定のシングルであり、アルバムなどには現在のところ収録されておりません。
　同曲は、赤坂アカさんの同名漫画を原作とした実写映画『かぐや様は告らせたい 〜天才たちの恋愛頭脳戦〜 ファイナル』のために書き下ろされました（今週末の8月20日に公開予定です）。作詞作曲は、女性シンガーソングライターのみゆはんさん、編曲をロキ（過去記事）等で知られるボカロPのみきとPが担当しております。
　『かぐや様は告らせたい』は、2021年8月現在も週刊ヤングジャンプで連載されており、シリーズ累計発行部数は1650万部を突破している人気作品となっております。同雑誌の看板漫画の1つといってよいと思います。

　『会いたくて』はストリングスなどが印象的なバラードナンバーです。Adoさんの作品はこれまで作詞作曲陣をボカロＰの方が務めており、全体として癖の強い作品が多かった印象です。一方で、この『会いたくて』は展開などがストレートであり、これまでのAdoさんにはあまり見られなかった王道感があります。歌メロについては、AメロBメロサビ取った形で作られており、全体として馴染みやすい展開がなされます。Aメロ⇒Bメロ⇒サビと盛り上がっていく展開であり、ドラマや映画などには合いやすいのではないかと思います。
　同曲の歌詞については、自分の思いを伝えられない主人公が描かれております。この辺りは、漫画やアニメの展開ともリンクするのではないかと感じました。

　『会いたくて』の音域的な特徴についてです。同曲は、大よそ女性の声域の範囲内、もしくは少し高いレンジで、歌メロが作られております。同曲は、Aメロでは低音部分が多く登場し、サビではhiDが複数回ずつ登場します。そのため、低音も高音も気が抜けないような形になっております。パートごとにメリハリがある分、持久力の調整はしやすいですが、キー調整の融通は利きにくいです。


　最後に『会いたくて』の音域についてですが、【地声最低音】mid1F(f3)～【地声最高音】hiD(D5)、【裏声最高音】hiF(F5)で歌メロディーが構成されております。一般的な女性の声域の範囲内、もしくは若干高いです。以下、見ていきます。

　まず、地声最低音mid1Fについては、Aメロで登場します。ここは、mid1Gとのコンボとなっており、登場回数も多めです。女性などはキーの低さを感じやすいのではないかと思います。高音域が非常に得意な方はキーを上げる選択肢もあり得ると思います。

　一方、地声最高音hiDについては、各サビで2回ずつ登場します。曲全体で8回です。この辺りは女性としてはやや高めなのですが、Adoさん自身は声をかなり張って歌唱しておりますので、ロックやソウルなどを含め歌い慣れている女性は歌唱可能なのではないかと思います。ただ、高音域が苦手な方は無理をなさらず、キーを下げてもよいと思います。また、原曲の表現にこだわらないのであれば、hiDを裏声で歌唱するというのもよいと思います。

　『会いたくて』は音域自体が広めであり、キー調整の融通は利きにくいです。一般的には、「高音域が得意な人がキーを上げる」、「微調整としてキーを1つ下げる」といった調整が想定されるのではないかと思います。そのため、『会いたくて』は歌い慣れた人向けの楽曲であり、ビギナーや声の低い人などには手を付けにくい作品ではないかと私は分析しております。もし、キー調整しても難しいと感じた場合は、別の易しめの作品と並行して練習してください。

　『会いたくて』を原曲キーで歌唱する場合は、地声でhiDがしっかり歌いこなせることが試されます（原曲の表現にこだわらければ、裏声を使ってもよいです）。また、Adoさんは要所要所で裏声を多用しておりますので、その辺りもよく聞いて、地声や裏声などの表現を使い分けてください。Adoさん自身の表現自体も学びが多いと思います。

　『会いたくて』は音域自体が広く、その点で難しい点が多いです。ただ、リズムや歌メロなどは比較的親しみやすく、その点では、これまでのAdoさんの作品群と比較してもアプローチしやすいです。興味を持たれた方はチャレンジしてみてください。