『Utopia』(04 Limited Sazabys)の音域

★hiA[壮]大そうだ [抗]hiC#[え]hiB[な]hiA[い]m2G#[しめ]い

★許hiA[され]m2G#[ない 重いよろ]hiB[いか]hiA[けて]【サビ】

★hiA[何度ま]m2G#[ち]がう みm2C#[ら]いを
★(吹き付ける風 役目があると )hiC#[確]かC#[に]hiB[聴]hiA[こ]えた

　まず、『Utopia』（ユートピア）についてです。この楽曲は、2018年に4人組ロックバンド・04 Limited Sazabysによりリリースされたアルバム『SOIL』（ソイル）に収められております。同アルバムは、フォーリミの最新フルアルバムであり、自己最高位の2位を記録しております。シングル曲としては、『My HERO』(過去記事)、『Squall』(過去記事)が収められております。
　『Utopia』はアルバム曲でありますが、フランス人漫画家トニー・ヴァレントさんの同名漫画（バンド・デシネ）を原作としたテレビアニメ『ラディアン』のために書き下ろされました。フランスは、漫画が盛んな国の1つであり、「バンド・デシネ」と呼ばれ、広く知られております。ヴァレントさんの『ラディアン』は、バンド・デシネの中でも日本風のスタイルが取り入れられた冒険ファンタジーであります。

　『Utopia』はアップテンポのバンドナンバーであります。歌メロはAメロBメロサビという流れが2コーラス続き、ラストに特別なサビが展開されてます。演奏時間は3分程度と短く、密度が濃いです。全体としてテンションが高く、その分、ボーカルの持久力も求められる作品となっております（後述）。作詞はベース＆ボーカルのGENさん、作曲は04 Limited Sazabysによりなされております。編曲はフォーリミとakkin（アッキン）さんとの共同でなされております。akkinさんは多くのバンドや歌手をプロデュースしておりますが、とりわけONE OK ROCKのサウンドプロデュースで知られております。

　『Utopia』の音域的な特徴についてです。上の鍵盤画像などを見ても分かりますが、同曲は男声としては相当高いレンジで歌メロが作られております。レンジ的には、ヘヴィメタルなどと近似しますが、GENさんのボーカルはより制御されております。一般的な男性の場合はキーを下げた方が歌唱しやすいと思います。高音が苦手な方などは1オクターブ下の方が歌唱しやすいかもしれません。音域的には、女性の方が原曲キーで歌いやすい作品ではないかと私は分析しております。


　最後に『Utopia』の音域についてですが、【地声最低音】mid2C#(C#4)～【地声最高音】hiE(E5)で歌メロディーが構成されております。一般的な男性の音域よりもかなり高いです。以下、見ていきます。

　まず、地声最低音mid2C#ですが、サビやBメロで登場します。一般的に男性ボーカルの作品でこのmid2C#が最低音になることは非常に少なく、X JAPANなどヘヴィメタル系の作品などで見られる程度です。男性としては極めて高いです。
　地声最低音というのは、最高音とともに楽曲の難易度などに影響を与えます。当ブログでも、「地声最低音でlow音階などが多く登場する楽曲」に特に注目が集まりやすいです。一方で、あまり日が当たりにくいですが、今回のような「地声最低音が高めの作品」も難易度が高くなりやすいです。目安として、「mid1F以上の男性曲」になると、曲全体で中高音域が多く登場し、スタミナが削られる作品が増えていきます。

　さて、地声最高音についてですが、hiEがラストのサビで1回だけ登場します。また、同曲はhiA～hiC#といった高音域が曲全体で頻出しますので、男声としては極めてキーが高いです。一般的な男性の場合はキーを下げた方が歌唱しやすいです。ただ、歌いやすいレンジに合わせるためには大きなキー調整が必要になるため、もしかしたら歌唱に違和感を感じる人も多いかもしれません。

　『Utopia』は音域自体はそこまで広くなく、キー調整はしやすいです。ただ、同曲はレンジ的には女性の声域に近く、キー調整をしても違和感を感じられる方が多いと思います。キーを調整するにしてもある程度歌い慣れた高音域が得意な人向けの楽曲であると私は分析しております。

　『Utopia』を原曲キーで歌唱する場合、先にも述べたようにhiA～hiC#といった高い音階を歌いこなすことが要求されます。同曲はAメロ冒頭からhiAが登場し、曲全体を通して全てのフレーズにhiA以上の音階が含まれます。そのため、男声としては相当に高いレンジになります。当然、スタミナも必須であります。
　原曲キーで歌唱する場合は、どちらかといえば女性の方が合いやすいかもしれません。同曲はキー自体は非常に高いのですが、ボーカルのGENさんの歌声は非常に制御されており、メロディアスです。その点で、女性などにも合いやすいのではないかと私は分析しました。

　『Utopia』は原曲キーで歌唱するのは非常に大変な作品でありますが、カラオケなどでは盛り上がりやすいと思います。女性も含め、興味を持たれた方はチャレンジしてみてください。