『分かってないよ』(Wurts)の音域 [2021年の作品]

　まず、Wurts（ワーツ）さんについて少し説明します。Wurtsさんは、2021年に本格的に音楽活動を開始した男性シンガーソングライターです。作詞作曲編曲のみならず、映像やデザイン自ら手掛けているそうです。2021年3月に初のEP作品『檸檬の日々』をリリースしました。

　Wurtsさんが大きな注目を集めたのは、2021年の5月頃であります。元々はTik tokでサビのみ投稿されていた『分かってないよ』が配信でリリースされ、Billboard JAPANの新人アーティストを対象としたチャートHeatseekers Songsや、LINE MUSICなどで上位にランクインし、一躍知名度が上昇しました。
　また、2021年8月には『リトルダンサー feat. Ito (PEOPLE 1)』がトヨタ自動車のCMソングとして起用され、大きな話題を呼びます。また、男性シンガーソングライターのVaundyさんが「Wurtsは売れるぞ」(Twitterの発言より引用)とつぶやいており、人気のアーティストなどにも絶賛されております。12月には、初のアルバム『ワンス・アポン・ア・リバイバル』のリリースが予定されております。


　さて、『分かってないよ』（わかってないよ）についてです。この楽曲は、2021年に男性シンガーソングライターのWurtsさんによりリリースされたシングル作品です。配信限定のシングルであり、2021年12月にリリースされるアルバム『ワンス・アポン・ア・リバイバル』にも収録が予定されております。

　『分かってないよ』は先にも述べたように、当初はTik tokで大きくバズった作品であります。元々は、サビのみを公開しておりましたが、それが100万回を超える再生回数を記録します。その後、フル配信された楽曲に関して、YouTube公式チャンネルで公開された音源とMVの再生回数がそれぞれ400万回を超えており、Tik tok以外の媒体でも多くの人気を集めました。『TikTok流行語大賞2021 』にも、『分かってないよ』がノミネートされており、若者を中心に今年を代表するヒット曲となっております。

　近年はTik tokでのバズり具合がヒット曲につながることが増えており、ここ１年程度でもユイカさんの『好きだから』(過去記事)、あたらよの『10月無口な君を忘れる』(過去記事)、和ぬかさんの『寄り酔い』(過去記事)といった楽曲がヒットしました。『香水』(過去記事)がヒットした瑛人さんのように、紅白歌合戦に出場する歌手なども登場しております。


　『分かってないよ』の声域的な特徴についてです。同曲はアップテンポのバンドナンバーとなっておりますが、声域的には大よそ一般的な男性の声域の範囲内で作られております。その中でもAメロBメロでは比較的低めのレンジが多く登場し、サビでは地声mid2F#辺りの中高音が登場します。
　最近のJ-POPの男性曲と比較すると、やや低音寄りであり、チャレンジしやすいです。どちらかといえば、低音が得意な人の方が合いやすく、逆に高音域が非常に得意な人には歌いにくいかもしれません。
　ちなみに、『分かってないよ』はロック系の曲になりますが、Wurtsさん自身は必ずしもロックを中心とした作風というわけではなく、R&Bっぽいものやヒップホップのようなものも見られます。ただ、いずれもやや気だるげな声質というのは共通するのものではないかと思います。


　最後に『分かってないよ』の音域についてですが、【地声最低音】mid1B(B2)～【地声最高音】mid2F#(F#4)、【裏声最高音】hiA(A4)で歌メロディーが構成されております。一般的な男性の声域の範囲内といえます。以下、見ていきます。

　まず、地声最低音mid1BについてはBメロで登場します。このほかにmid1DがAメロ等で多く見られ、男性としてはやや低いレンジになると思います。高音域が得意な男性は若干歌いにくいかもしれません。また、女性なども原曲キーでは非常に歌いにくく、キーを上げた方がいいと思います。

　一方、地声最高音mid2F#はサビで登場します。具体的には、【m2E[そ]ば[に]m2F#[居]hiA裏[たい]F#[なん][て]こと言われても】の部分であります。ここは、hiAの裏声がコンボとなっておりますので、無理に地声mid2F#にこだわらなくてもよいと思います。逆に地声感を出しすぎようとすると、hiAの裏声が出しにくくなります。そのため、慣れない人などはmid2F#を裏声気味に歌ってもよいと思います。

　『分かってないよ』を原曲キーで歌唱する場合、mid2F#,mid2F辺りが地声の高音域として必要になります。この辺りは一般的な男性の声域の範囲内といえますが、高音域が苦手な人やビギナーなどはスムーズな発声が損なわれやすいレンジでもあります。場合によってはキーを下げてもよいと思います。ただ、他のJ-POPの楽曲と比べると、努力が比較的報われやすいと私は分析しました。
　逆に、声が非常に高い男性には歌いにくいレンジかもしれません（女性なども含む）。そうした方はキーを上げた方が歌いやすいです。

　『分かってないよ』は低音域に若干の余地があり、キー下げは可能です。ただ、低音部は全体として低いレンジが続きますので、大きなキー下げには不向きといえます。その点は留意しておいてください。歌い慣れた人であれば、キーを下げてもよいと思いますが、ビギナーなどは歌いにくく感じられるかもしれません。

　『分かってないよ』はAメロBメロなどの低音が低く、慣れない人などには歌いにくく感じられるかもしれません。ただ、Wurtsさんのような低音の発声が出来ると、mid1B、mid1A辺りの比較的低めのレンジでも克服しやすくなります。私自身も低音域を歌う際は、Wurtsさんのようなやや気だるげでガラガラしたようなニュアンスで歌うことが多いです。個人差はありますが、低音域を歌う際は、Wurtsさんの真似をするような意識で練習してみてもよいと思います。

　『分かってないよ』は低音域がやや低いですが、比較的高音域が苦手な方でもアプローチしやすいレンジで歌メロが作られております。また、アップテンポのロック曲であり、カラオケなどでも歌いやすいです。興味を持たれた方はチャレンジしてみてください。