『Over』(Mr.Children)
【地声最低音】mid1D(D3)
★何も語らないm1F[き]みのひとm2D#[み]の奥に愛をさm1D[が]しても【Aメロ】
【地声最高音】mid2G#(G#4) ※各サビ2回(全体で8回)
★今となれば 顔m2F[の]わり[に]小[さ]m2G[な]m2G#[む]ねや【サビ】
【裏声最高音】hiA#(A#4) ※サビで登場
★ 愛しm2F–m2F#[て[た]の]にこm2G–hiA#[こ[ろ]変わhiA–A#[り[を]【サビ】
【補足】mid2D#(一部略)~mid2F#を含むフレーズ一覧
★m2F[夕焼け]m2D#[に]舞う雲 あんな風にF[なれた][な]らF[い][いな]【Cメロ】
★いつm2F[も]m2F#[考え過][ぎ]て失F#[敗してき][た]か[ら]ぁ[あ] Wow wow [wow]
まず、『Over』(オーバー)についてです。この楽曲は、1994年に4人組ロックバンドのMr.Childrenによりリリースされたアルバム『Atomic Heart』(アトミック・ハート)に収められております。アルバムの最後に収録されており、フィナーレを飾る作品となっております。同アルバムは、ミスチルのブレイクのきっかけとなったシングル『CROSS ROAD』、1994年で最大のヒットシングルとなった『innocent world』(過去記事)も収められております。
Mr.Childrenは1993年にリリースされたシングル『CROSS ROAD』でブレイク、翌年の『innocent world』の人気バンドの仲間入りを果たします。その中で、アルバム『Atomic Heart』はバンドがブレイクしてから初のフルアルバムとなりました。同アルバムは、ミスチルのCD作品では最高売上のアルバムであり、また、男性アーティストのオリジナルアルバムのCD売上としては、2021年12月現在までにトップです(ベストアルバムなどを含めると、B’zやGLAYなどが上位になります)。
『Over』はスローテンポのバンドナンバーです。イントロのフレーズなどが印象的です。全体としてメロディーが非常にいいです。歌メロについてはAメロサビCメロで構成されており、シンプルです。作詞作曲は櫻井和寿さん、編曲は小林武史さんとMr.Childrenによりなされております。
『Over』は失恋がテーマになった歌詞内容になっております。Mr.Childrenはブレイク前は恋愛などをテーマにした楽曲が非常に多かったのですが、ヒット曲の『CROSS ROAD』やアルバム『Atomic Heart』以降は、「自分らしさ」「社会と自分との関係性」などが精神的な有り様が歌詞のテーマとして強くなっていきます(そうした中に社会風刺的なものも含まれていきます)。
そうした歌詞の変化の途上で、この『Over』については、ブレイク以前の空気が残った作品といえるかもしれません。アルバム曲でありながら、ファンなどからも人気が高く、ベストアルバムの『Mr.Children 1992-1995』にも収められております。
『Over』の声域的な特徴についてです。同曲は、一般的な男性の声域よりもやや高いレンジで歌メロが作られております。通常、男性の場合は少しキーを下げた方が歌いやすいかもしれません。
ちなみに、同曲は、ライブではアコースティックギターで弾き語られたこともあるそうです。原曲キーから3つ下げる(♭3)と、ちょうど弾き語りやすいシンプルなコードになります。地声最高音もmid2F程度になるので、高音域が得意ではない方はおススメです。
最後に『Over』の音域についてですが、【地声最低音】mid1D(D3)~【地声最高音】mid2G#(G#4)、裏声最高音】hiA#(A#4)で歌メロディーが構成されております。一般的な男性の音域よりもやや高めです。以下、見ていきます。
まず、地声最低音mid1DはAメロで登場します。この辺りは一般的な男性の声域の範囲内といえます。高音域が得意な男性は、やや低く感じられるかもしれません。また、女性にはかなり低いレンジとなります。女性、または高音域が非常に得意な男性などは、キーを上げてもよいと思います。
一方、地声最高音mid2G#はサビで登場します。曲全体では8回程度でやや多いです。このmid2G#辺りは一般的な男性の音域のボーダーともいえるレンジであり、歌い慣れた人でもスムーズな発声ができなくなりえます。場合によっては、キー下げてもよいと思います。目安としてですが、原曲キーから1~2つ程度下げてみてください(♭1~2)。
『Over』は低音域に若干の余地があり、キー下げなどは可能です。歌い慣れた人であれば、自分の合いやすいレンジに調整することもできると思います。一方、ビギナー向けの調整も可能といえば可能ですが、キーを下げ過ぎると若干低音が歌いにくくなるかもしれません。
同曲は、メロディーが美しく、リズムなどもそこまで難しくはありません。音域の面では難しい部分もありますが、練習曲としても悪くないと思います。音域が広いと感じる場合は、「Aメロは不明確でもいいから、サビは頑張る」というように、パートごとに練習の強弱をつけてもよいと思います。
『Over』を原曲キーで歌唱する場合、mid2F~mid2G#辺りの中高音域をしっかり歌いこなせる力が求められます。アルバム曲ということもあり、最近の曲と比べると滅茶苦茶には高くないと思います。ただ、私なりのイメージですが、このmid2F~mid2G辺りがしっかり歌えると、カラオケなどでJ-POPの作品を歌うのが楽しくなるのではないかと思います。バンドでいえば、BUMP OF CHICKENやRADWIMPSなどはこのレンジと近く、レパートリーも増えていきやすいです。
『Over』は活動初期の甘酸っぱいミスチルの空気が残るラブソングであり、カラオケなどでも歌いやすいと思います。また、現在のミスチルにみられる字余り的でリズムが取りにくいといった難しい部分も少ないです。興味を持たれた方はチャレンジしてみてください。
コメント
調査ありがとうございます。かなり前に自分がリクエストさせて頂いた曲かもしれません。
失恋ソングなのに明るくて軽やかなメロディや、青臭い男性像を表現した歌詞、ダブルミーニングをもたせたタイトルなど、ミスチルの中でもかなり完成度の高い曲として、ファンから人気が高いのも納得できますね。
かたおかさんコメントありがとうございます。
確かにこの曲、どっぷり暗いというわけではなく
「切ない」くらいの曲調で、
主人公の心情としてもマッチしますよね。
ベストアルバムに入ってるのもうなずけます。