なお、同曲は、記事のリリース時点ではミュージックビデオが公開されておりませんが、12月13日の0時より公開が予定されております。動画は添付しておきますが、視聴できるのは13日の0時以降になると思います(ストリーミングでは既に配信されており、大きな人気を獲得しております)。
『残響散歌』(Aimer)、Zankyou Sanka(Aimer)
【地声最低音】mid1G#(G#3)
★m2G#[誰]が袖に咲く幻m1G#[花] ただそこに愛を落とした【Aメロ】
★光も痛みも怒りも全部抱き締めて m1G#[選]ばれなければ 選べばいい【Bメロ】
【地声最高音】hiC#(C#5) ※曲全体で2回
★m2G#[どん]なに[く]らい[感]情も [どん]なに[な]がい[葛]hiB[藤]hiC#地[も]【サビ】
※地声の高音域としてはhiBの登場回数が多いです。
【裏声最高音】hiD#(D#5) ※Bメロとサビで多い
★hiD#–hiC#[ぎ]ん[しゅ]の]月hiB[を]hiA#[添]えて【Bメロ】
★hiB[こ]hiA#[え]よ轟hiD#[け] B[よ]A#[る]のその向D#[こう]へ【サビ冒頭】
【補足】mid2G#(一部略)~hiBを含むフレーズ一覧
★派hiA#–m2G#[手]に[色を]溶[かす]hiB[よう][に]【Aメロ】
★m2G#[あん]なにG#[遠]くの[けし]きまで 響きわhiB[た]hiA#[れ]【サビ】
★歌とhiB[散]hiA#[れ] 残m2G#[響]
まず、『残響散歌』(ざんきょうさんか)についてです。この楽曲は、2021年に女性歌手のAimerさんによりリリースされたシングル作品です。現在は配信限定のシングル作品ですが、2022年に初頭には、『朝が来る』との両A面シングルCDとしてのリリースも予定されております。
『残響散歌』は吾峠呼世晴さんの同名漫画を原作としたテレビアニメ『鬼滅の刃「遊郭編」』のオープニングテーマ曲として書き下ろされました。『鬼滅の刃』はど大きな社会現象を巻き起こした作品で、原作コミック全23巻の累計発行部数が1億5000万部に達する大ヒット作となっております。同アニメの主題歌についても、LiSAさんの『紅蓮華』(過去記事)、『炎』(過去記事)が爆発的なヒットを記録し、多くの賞を受賞しております。
Aimerさんは、LiSAさんからバトンを引き継ぎ、鬼滅の主題歌を担当することとなります。人気アニメの主題歌ということもあり、ストリーミングランキングなどでは既に大きな反響を呼んでおります。
ちなみに、Aimerさんは2021年にレーベルを移籍しており、SME RecordsからSACRA MUSICへと所属が変わっております。どちらも同じソニーミュージック系のレーベルですが、SACRA MUSICはLiSAさんやReoNaさん、FLOWといったアニメソングなどを多く担当する歌手が所属し、Vtuberの月ノ美兎さんも在籍しております。
さて、『残響散歌』はアップテンポのバンドナンバーです。原作アニメが「遊郭」という花街を舞台としているということもあってか、バンド曲でありながら、ピアノやホーンセクションが目立っており、どこか煌びやかな印象を受けます。作詞はAimerさん、作曲は飛内将大さん、編曲を飛内さんと、玉井健二さんによりなされております。Aimerさんの作品ではお馴染みの2人であります。
『残響散歌』の歌メロについては、AメロBメロサビといった形で作られております。ただ、2番以降は、AメロBメロ⇒間奏⇒Bメロ⇒ラストサビという展開をします。これまでのJ-POPで多く見られた形と比較すると「2番のサビ」が省略されている分、演奏時間が3分超と短くなっております。
当ブログでも何度か言及しておりますが、近年のJ-POPでは、2番で「AメロBメロサビという1番と同じ展開」を繰り返さずに、ラストサビと融合したような展開をする作品が増えていおります。最近でもサカナクションの『プラトー』(過去記事)、マカロニえんぴつの『なんでもないよ、』(過去記事)などがそうした展開をしております。
『残響散歌』の声域的な特徴についてです。同曲は、大よそ女性の声域の範囲内(もしくはやや高め)で歌メロが作られております。ただ、高音域では、hiC#に次ぐ高い音階としてhiBがAメロサビで多く登場します。そのため、高音域を1曲しっかり歌いこなすためのスタミナが求められるといえます。また、裏声と地声の行き来が多く、そうした点でも器用な発声が求められます。
同曲は声域面では滅茶苦茶にキーが高いというわけではないですが、やはりAimerさんの持つ独特な声質というものが唯一無二であることを強く感じます。
Aimerさんは日本でも人気の高い歌手ですが、海外のリスナーからも多くの支持を得ております。これはアニメの主題歌を多く担当しているというだけでなく、この独特な声質というものが多くの人を惹き付けているのではないかと私は考えております。
最後に『残響散歌』の音域についてですが、【地声最低音】mid1G#(G#3)~【地声最高音】hiC#(C#5)、【裏声最高音】hiD#(D#5)で歌メロディーが構成されております。一般的な女性の声域の範囲内(もしくはやや高い)です。以下、見ていきます。
まず、地声最高音hiC#はサビで1回ずつ登場します。回数としては曲全体で2回程度と多くないです。ただ、上述のように、同曲はAメロやサビでhiBの登場回数がやや多いです。hiC#やhiBはおおよそ一般的な女性の声域の範囲内といえますが、歌い慣れていないとスムーズな発声が損なわれやすいです。よって、高音域が苦手な方やビギナーなどは少しキーを下げてもよいと思います。
同曲では、サビやAメロ等で裏声のhiD#辺りが登場します。そのため、地声と裏声の器用な歌い分けが要求されます。その点でもしっかり歌い慣れておく必要があります。
『残響散歌』は低音域に若干の余地があり、キー下げなどは可能です。ある程度歌い慣れた人であれば、自分の得意なレンジに合わせることもできます。私なりのイメージですが、ビギナー向けの調整もある程度可能なのではないかと思います。一部、やや歌いにくい部分は出てくるかもしれませんが、練習曲としても悪くないのではないかと私は分析しました。ただ、先にも述べたように、同曲は裏声が一部で多く登場しますので、慣れていないとその辺りが少し難しく感じられるかもしれません。
『残響散歌』を原曲キーで歌唱する場合、hiC#やhiB辺りをしっかり歌いこなせる力が求められます。また、裏声と地声との器用な使い分けなども必要不可欠です。先にも述べたように、同曲はAメロ辺りからhiBが登場するなど、比較的中高音域が多いです。最後に息切れしないように、ペース配分や持久力の保持なども大切だと思います。
同曲は、地声の高音域がhiC#,hiB辺りであり、J-POPの女性曲としては滅茶苦茶には高くないです。ただ、Aimerさんの抑揚の付け方など表現面まで追求しようとすると、やはり力量が必要になります。Aimerさんは歌声に対して吐息が多く含まれており、高音域でも刺々しさが少ないです。音域以外の表現面でも参考になる点も多いのではないかと思います。
最近は「男性でも女声曲を歌いたい」という人が多いようです。この『残響散歌』については、高音域が非常に得意な男性などは、原曲キーでもチャンスがあるのではないかと私は考えております。男性でこのレンジを歌唱すると、高音域がかなりシャープになり、ロック色がかなり強くなるのではないかと思います。Aimerさんのような発声を追求したい場合は、キーを下げた方が歌いやすいです。
『残響散歌』はアップテンポのバンド曲であり、人気アニメの主題歌ということもあり、歌いたい人が多いのではないかと思います。Aimerさんのような表現をするのは大変ですが、音域的にはある程度アプローチしやすいです。興味を持たれた方はチャレンジしてみてください。