なお、今回の楽曲は地声最高音や裏声最高音の区別がしにくく感じました。音程表記・音域はほぼ合っていると思いますが、地声裏声の区別については、やや曖昧です。その点も踏まえて拝読ください。
『スパークル』(幾田りら)、Sparkle( Lilas Ikuta)
【地声最低音】mid1G#(G#3)
★落っm2G#[こち]てくような 心m1G#[地]がしたのは【Aメロ】
★崩れていくものばかhiA#–hiB裏[り[が] あたm1G#[ま]を1G#[め]ぐるめぐる
★君m1G#[が]い[と]お[し]く思うのはわた[し]じゃ[な]い[か]もと【Bメロ】
【地声最高音】hiD#(D#5) ※サビで登場
★ひとひらのhiD#地–hiC#[こ]いの]hiB[け]つまつB[は]【サビ】
★hiB[き]みhiC#[の]横顔 いhiD#地–C#[とお]し]く]C#–hiD#[な[っ]て]ぇ
※裏声でも悪くなさそう
【裏声最高音】hiE(E5) ※ラストサビ
★全部君hiD#–hiE[か[ら]も]hiC#–D#[ら[え]て]ぇ良かった
【補足】hiA#(一部略)~hiD#を含むフレーズ一覧
★きhiD#裏–hiC#–hiB[ら]め]いて]消D#–C#[え]て]っ[た]【サビ】
★浮かhiA#–hiB[ん[だ]二文字が駆けめぐる 声に出来ず
★いhiA#–hiB[つ[だっ]て]止められるはずの恋に 夢を見続A#–B[け[て]は]【Dメロ】
★覚めないでと願ってしまう 曖昧も怖いも握りhiA#–hiB[締[めて]ぇ]
まず、『スパークル』についてです。この楽曲は、2022年に女性シンガーソングライターの幾田りらさんによりリリースされたシングル作品です。配信限定のシングルであり、2023年3月にリリース予定のアルバム『Sketch』に収録が見込まれております。同アルバムには、当ブログでも取り上げた『Answer』(過去記事)なども収録が見込まれております。
さて、『スパークル』はABEMA『今日、好きになりました。蜜柑編、卒業編2022』の主題歌として書き下ろされました。同番組は、同じく幾田さんの『ロマンスの約束』や当ブログで取り上げたMrs. GREEN APPLEの『ブルーアンビエンス (feat. asmi)』(過去記事)なども主題歌となっております。ネット番組にもかかわらず、多くのミュージシャンが抜擢されているので、番組の勢いを感じます。
『スパークル』はタイアップと楽曲の質も相まって、ストリーミングなどを中心に大きくヒットします。2023年の1月には再生回数が1億回を突破しました。YOASOBIはAyaseさんの『夜撫でるメノウ』(過去記事)も同じく1億再生を記録しております。YOASOBIの2人はユニットにとどまらず、ソロでも目覚ましい活躍をしています。
『スパークル』はスローな切ないポップナンバーです。頭サビでメロが始まり、AメロBメロサビと展開します。今回は幾田さんのソロ曲ということもあり、メロも比較的ゆったりと作られており、ボーカルの表現を活かしやすいです。また、複雑な展開なども行われず、シンプルかつ親しみやすいです。この辺りが、YOASOBIの作品とは異なる部分だと思います。
同曲の作詞作曲は幾田りらさん、編曲は中野領太さんによりなされました。中野さんはアニソンや声優の楽曲なども多く手がけております。また、東海オンエアやジャニーズグループの作品なども手掛けております。
『スパークル』の音域的な特徴についてです。同曲は女性の音域としては高め(もしくは明確に「高い」)のレンジで歌メロがつられています。そのため、通常はキーを下げた方が歌いやすいのではないかと思います。
同曲はAメロBメロが比較的低く、サビで大きく盛り上がります。そのため、高音域が求められるのはサビに限定されますが、その分、場面ごとにメリハリを付けた表現が求められます。 同曲のサビでは裏声が多用されております。私自身は、今回は裏声と地声の区別がしづらかったのですが、裏声が器用に出せる方は、上手く地声と裏声を使い分けるとよいです。サビでの幾田さんの裏声は地声感が強いので、おそらくヘッドボイス(「強い裏声」ともいわれる)を上手く駆使しているのではないかと私は推測しております。
最後に『スパークル』の音域についてですが、【地声最低音】mid1G#(G#3)~【地声最高音】hiD#(D#5)、【裏声最高音】hiE(E5)で歌メロディーが構成されております。一般的な女性の音域と比べ、「高め」もしくは明確に「高い」です。以下、見ていきます。
まず、地声最高音hiD#はサビで登場します。今回は地声と裏声の区別がしにくかったので、hiD#については裏声でもよいかもしれません。ただ、裏声を使うにしても、地声と裏声の器用な使い分けが不可欠となります。
幾田さんはサビの高音でも発声が明瞭に歌唱されています。そうした原曲のような表現に近づきたい場合、一般的な女性よりも高いレンジが求められるのではないかと思います。一般的な女性の場合は、通常キーを下げた方が歌いやすそうです。一つの目安ですが、原曲キーから2つ程度下げてみてください。
『スパークル』は低音域に余地があり、キー下げは可能です。そのため、ある程度歌い慣れた人であれば、自分の得意なレンジに調整することができそうです。一方、同曲は音域がやや広いため、ビギナーなどの場合、もしかしたら一部歌いにくい部分が出てくるかもしれません。
『スパークル』を原曲キーで歌唱する場合、高音についてはhiB~hiD#(裏声hiE)といったレンジを歌いこなせる力が求められます。同曲はAメロBメロはそこまで高くないのですが、サビでは高音域の頻度が一気に上がります。そのため、「(ある程度)高音域が得意な女性」が原曲キーに合いやすいと私は判断しました。hiD#を裏声で統一して発声するのであれば、もう少し低いレンジに女性にも合うかもしれません。
『スパークル』はしっとりしたスローナンバーであり、ボーカルの良さが活きやすいです。幾田さんは、THE FIRST TAKEでも同曲を披露されておりますが、そちらの方がボーカルの表現がより聞き取りやすいと思います。興味を持たれた方はチャレンジしてみてください。