『夜撫でるメノウ』(Ayase)の音域 [2019年の作品]

★あの頃は子供m2D[だ]ったねと 割り切るにm1C[は]【Bメロ】
☆傷付m1C–m1A#[き[す]ぎ]たC[よ]ね

★涙があm2F[ふれ]hiA#地–hiA[てし]ま]m2G[う][よ]【ラストサビ】

★最後のこm2F[と]hiA#地–hiA[ば]に][な]るけど　m2G[あ][り]がとね

【補足】mid2D#～mid2Gを含むフレーズ一覧

★終電m2D[は]もうないよ　m1C[こ]れからD[どう]しようかなm2F裏{んて]【イントロ】
★終点なんてないの 明日のことなんてm2G裏[ほ]m2F[ら]
★思い出のm2G裏[な]かに溺れるm2F裏[ま]えに この場D–m2D#[所[で]さ]よなら【Bメロ】

★きm2F[み]に[と]ど[け]と[こ]のm2G[あ][いを]【サビ】
★こm2D–m2D#[とば[にの]m2F[せる][毎]日を

★君は今何をかm2D–D#[ん[が]m2F[え][てい]る[の]【2番Aメロ】
★わm2F[ざ]m2G[と]らしくしG–F[お]れ[た]空気
★すm2F[こ]m2D#–D[し]い]きが震える
★上手くつm2D[た]えD–D#[ら[れ]m2F[な][かっ]た[か]ら【2番Bメロ】

　まず、『夜撫でるメノウ』（よるなでるメノウ）についてです。この楽曲は、2019年にYOASOBIのコンポーザーであるAyaseさんによりリリースされたボカロ作品です。その後、同年にリリースされたEP作品である『幽霊東京』にセルフカバーバージョンが収録されました。

　『夜撫でるメノウ』のセルフカバーは、元々は先述のCDとYouTubeのみでか視聴できませんでした。しかし、Tik Tokで話題にあり、YouTubeで楽曲の再生回数が2000万回を超えるような人気を獲得するようになり、2021年の末に配信やストリーミングでもリリースされるようになります。Spotifyでは2022年1月現在、1100万回、YouTubeでも3000万回近い再生回数を記録しております。ボカロ曲としても、YouTubeで150万回以上、ニコニコ動画でも殿堂入りを果たすなど人気の楽曲となっております。

　Ayaseさんといえば、人気音楽ユニットYOASOBIの作詞作曲アレンジなどで目覚ましい活躍をされております。ただ、元々はハードコアバンドDavinci（ダヴィンチ）の作詞作曲ボーカルとして活躍されておりました。影響を受けたミュージシャンとしてマキシマムザホルモン、英国のロックバンドBring Me the Horizonなどを列挙されております。今回の『夜撫でるメノウ』はかつてのバンドとは違ったアプローチになりますが、元ボーカル担当ということもあって、声の良さが印象に残りました。


　『夜撫でるメノウ』はエレクトロなポップナンバーです。DavinciやYOASOBIの作品と比べると、やや落ち着いたアレンジとなっております。ボーカルについても高音域で裏声が用いられるなどし、切なさが強調されております。
　歌メロについては、冒頭で歌イントロ(もしくはCメロ)が登場し、AメロBメロサビと展開します。メロディアスな歌メロでありますが、反面で韻が強調されるなどヒップホップのような要素もあります。そのため、歌唱の際は、音程のみならずリズム感なども求められます。


　さて、『夜撫でるメノウ』の音域的な特徴についてです。同曲は、一般的な男性の音域よりも高めのレンジで歌メロが作られております。そのため、通常は少しキーを下げた方が歌いやすいです（一部裏声を用いるのもよいです）。ただ、低音域が男性曲としてやや低く、キー下げなどは行いにくいです。音域自体が広いため、歌い慣れておく必要はあります。
　ちなみに、初音ミクのバージョンだと、地声最高音がhiCとなります。同曲は女性にとっては音域が広く、どことなくYOASOBIのアルバム曲などと近い部分があります。高音域が滅茶苦茶に高いというわけではないですが、器用な裏声の発声が求められるなどするため、やはり歌い慣れた女性向けです。



　最後に『夜撫でるメノウ』の音域についてですが、【地声最低音】mid1A#(A#2)～【地声最高音】hiA#(A#4) 、【裏声最高音】hiA#(A#4)で歌メロディーが構成されております。一般的な男性の音域よりも高めです。以下、見ていきます。

　まず、地声最低音mid1A#についてはBメロで登場します。登場回数は１～2回と多くはありません。ただ、同曲はmid1Cなども比較的多く、低音域が強調されております。低音域が苦手な男性は少し歌いにくいかもしれません。
　また、女性などにとってはかなり低いです。女性の場合は、Ayaseさんのバージョンではなく、初音ミクのボカロバージョンの方が合いやすいです。ただ、初音ミクのバージョンでも最低音がmid1D#となるため、低音が苦手な方は少ししんどいかもしれません。

　次に地声最高音hiA#については、ラストサビで2回登場します。ここはhiAとコンボになっており、男性としては高めです。よって、一般的な男性の場合は、キーを下げた方が歌いやすいです。目安としてですが、原曲キーから１～２つ程度下げてみてください。
　同曲のラストサビhiA#の部分は、「通常のサビでは裏声」で歌われております。よって、高音域が得意でない男性はラストサビも含め裏声hiA#で歌うのもよいです。同曲はキーを下げる余地が少ないです。よって、後者の方法が可能であれば、そちらの方が原曲キーで歌えるという点でもよいかもしれません。


　『夜撫でるメノウ』は音域自体が広く、低音部分もあまり余裕がありません。そのため、通常はキーを下げにくいと言えます（高音域が得意な人がキーを上げるのはよい）。歌い慣れた人が少しの調整をすることは可能だと思いますが、ビギナーなどには練習曲で使いにくい楽曲といえます。その点は留意しておいてください。

　『夜撫でるメノウ』を原曲キーで歌唱する場合についてです。まず、①ラストサビの高音を地声で歌う場合は、hiA#やhiAが必須になります。一方で、②通常サビと同じく、ラストサビも裏声で歌う場合、mid2G辺りが安定的に歌える力が求められます。もし、①のケースの場合は、「高音域がある程度得意な男性」の方が合いやすいです。一方で、②のケースは「一般的な音域の男性（もしくは少し高めの男性）」が合いやすいと思います。
　同曲は、YOASOBIの作品と同様に、サビでは裏声が多く用いられております。そのため、裏声と地声の滑らかな使い分けが必要不可欠です。そうした面でも力が求められます。また、先述しておりますが、同曲は韻を踏んだリズミカルなメロも特徴的です。そのため、リズム感なども必要です。それらを踏まえて練習に励んでください。
　私なりのイメージですが、難易度としては滅茶苦茶には難しくなく、カラオケなどでもチャレンジしやすいのではないかと思います。すぐに歌いこなせなくても、努力が報われやすい作品であると私は分析しました。

　『夜撫でるメノウ』はカラオケなどで盛り上がる類の楽曲ではありませんが、難易度がそこまで高いわけではなく、挑戦しやすい楽曲です（音域が広いため、ビギナー向けではないです）。興味を持たれた方はチャレンジしてみてください。