なお、今回は私個人としては裏声と地声の区別が難しく感じました。地声最高音はhiBとしておりますが、もしかしたらhiDも地声と感じる方もおられるかもしれません。その辺りも踏まえてご拝読ください。
『星月夜』(由薫)、Hoshizukiyo(Yuuka)
【地声最低音】mid1F#(F#3)
★m2A[子ど]もの頃見上m2E[げ]た A[夜]の空に思2E[っ]た【Aメロ】
★あm2F#[の]ひとつ一つに m1F#[誰]かの願いがこもっている
【地声最高音】hiB(B4) ※全体で12回程度
★ただあhiA–hiB^地–hiC#裏[なた[に]会[い]た])[い]【サビ】
【裏声最高音】hiD(D5) ※サビで多い
★あhiC#裏–hiD^–hiB–hiA[な[た]の]なま]えを]【サビ】
★いhiC#裏–hiD-^B–C#[の[る]よう]にそ[っと]
★hiC#–hiD^-B[な[ん]ど]も] 抱きhiC#–hiB[しめ]て]いるよ
【補足】mid2G~hiAを含むフレーズ一覧
★ほm2G#–hiA[し[降るよ]る[に])【サビ】
★悴んだ手にぬくもり 目を閉じて、その先m2G[へ]【Cメロ】
まず、『星月夜』(ほしづきよ)についてです。この楽曲は、2023年に女性歌手の由薫(ゆうか)さんによりリリースされたシングル作品です。この記事を執筆している時点で最も新しいシングルであり、アルバムには未収録です。配信限定のシングル曲としてリリースされました。
由薫さんは、2022年にONE OK ROCKのギタリストToruさんのプロデュースの下、『lullaby』でメジャーデビューを果たします。シングルのリリースとともに着実に知名度を上げ、2023年には初のドラマ主題歌を手掛け、知名度が飛躍的に上昇、ミュージックステーションなどの音楽番組への出演も果たしました。最近、特に勢いのある女性歌手の1人であり、今後の活躍が期待されます。
さて、『星月夜』はテレビドラマ『星降る夜に』の主題歌として書き下ろされました。楽曲の質も相まって、大きなヒットとなり、ストリーミングランキングなどもでも上位に位置しております。この楽曲で初めて由薫さんを知ったという方も多いのではないかと思います。
『星月夜』はピアノやストリングスなどが基調となったスローナンバーです。歌メロはAメロサビCメロと展開します。最近のJ-POPとしてはシンプルな構成です。ただ、意外とメロのリズムが取りにくく、見た目以上に難しい楽曲なのではないかと思います。楽曲をしっかり聴き込んで慣れておきたいところです。
同曲の作詞は由薫さん、作曲はToruさん、編曲はToruさんとakkinさんの共同でなされました。akkinさんはワンオクのプロデュースで知られております。私自身は、クレジットを見るまでakkinさんがアレンジに加わっていることに気づけませんでした。
『星月夜』の音域的な特徴についてです。同曲はおおよそ一般的な女性の音域の範囲内で歌メロが作られております。よって、歌い慣れた人であれば、一般的な女性でも原曲キーでのチャレンジはしやすいといえます。
一方、同曲はサビを中心に裏声が多用されております。私個人としては、この裏声の発声が難しく感じられました。地声のような裏声(ヘッドボイス)など器用な発声が不可欠になります。そうした点で音域以上に力量が要求される作品だと感じました。
ちなみに、男性が歌う場合、通常はキーを下げた方が歌いやすいと思います。高音域が得意な男性はだと原曲キーでも歌うことが可能かもしれませんが、原曲のニュアンスなどを考えると少しキーを下げた方がマッチしやすいのではないかと私は推測しました。
最後に『星月夜』の音域についてですが、【地声最低音】mid1F#(F#3)~【地声最高音】hiB(B4)、【裏声最高音】hiD(D5)で歌メロディーが構成されております。一般的な女性の音域の範囲内です。以下、見ていきます。
まず、地声最低音mid1F#はAメロで登場します。このmid1F#は女性の音域の範囲内ですが、若干低い音階になります。登場回数は多くはないですが、高音域が得意な女性などは少しキーを上げてもよいかもしれません。
次に、地声最高音hiBについてはサビで登場します。登場回数は12回とやや多いです。このhiBは女性の音域の範囲内ですが、慣れていないとスムーズな発声が損なわれやすいです。ただ、比較的克服しやすい音域ですので、少しずつ練習を重ねてください。
今回は地声最高音がhiBということもあり、一般的な女性でも原曲キーでチャレンジしやすいのではないかと推測されます。ただ、hiBとhiAが連続する場面ですので、見た目より高音感があるかもしれません。高音域が苦手な方は少しキーを下げてるのも良さそうです。
同曲はサビで裏声が多用されております。私なりの解釈ですが、「地声感の強い裏声(ヘッドボイス)」や「ファルセット」など裏声でも様々使い分けがなされており、そうした点で器用な発声が不可欠となります。
『星月夜』は低音域に若干の余地があり、キー下げは可能です。同曲は地声レンジがそこまで高くないので、ある程度歌い慣れた人であれば、自分が得意なレンジに調整することができると思います。一方、同曲は器用な裏声が用いられており、慣れてない人にはサビの高音域が難しいのではないかと推測されます。そうした点を考慮しても歌い慣れた人向けの楽曲です。
『星月夜』を原曲キーで歌唱する場合、mid2G~hiBといった地声高音をしっかり歌いこなせる力が求められます。今回はサビの裏声が特徴的な楽曲ですので、器用な裏声の発声も不可欠になります。ただ、地声同様に裏声の得意なレンジにも個人差がありますので、高音域が得意な女性は裏声の部分を地声で歌ってもよいのではないかと思います。
こうしたことを踏まえると、同曲は「標準よりやや低め~標準的な音域の女性」などが原曲キーにマッチしやすいのではないかと私は判断しました(裏声の位置など原曲のニュアンスに沿う形で判断しております)。先述のように、高音域が得意な女性はキーを上げたり、もしくは裏声の場面を地声で歌うなどしてもよいと思います。
『星月夜』はスローナンバーであり、ボーカルの良さが活きやすいです。また、メロディーもよく、上手く歌いこなせると楽しいのではないかと思います。興味を持たれた方はチャレンジしてみてください。