なお、今回は全体で3回ラップパートが挿入されており、その辺りの音域調査が困難を極めました。ただ、ラップについては音程にこだわり過ぎるのもよくないと考え、今回の記事はほとんど割愛しております。その点を踏まえて記事を拝読ください。なお、ラップパートを含めると、2番のラップで最低音mid1F、地声最高音hiD#が登場します(ただ、ここは音程にそこまで厳密でなくてもよい)。
また、ボーカルのikuraさんの高音は裏声か地声か見分けにくい場面があります。恐らく、今回はhiD辺りが地声と裏声の境目だと思うのですが、地声最高音なども大よその目安と考えてください(後でミスが見つかり修正するかもしれません)。
『アイドル』(YOASOBI)
【地声最低音】mid1F#(F#3)
★あm2G#–hiB[そ[び]に[行]くならm1G#[ど]こに行く1G#[の]【Aメロ】
★m1G#[い]つか1G#[ほ]んとうm1F#–G#[に]なる[こ]と] 信じhiD#裏[て]る【ラストサビ前】
【地声最高音】hiC#(C#5) ※ラストサビで登場
★(等身大でみんなのこと) ちゃんhiA#–hiC#地–C[と[あ]い]し[たい]か[ら]【ラストサビ[転調₊1]】
★hiC#地[今日]もうそhiC#–hiD#–hiF[を[つ[く]の
※通常サビではhiC
【裏声最高音】hiF#(F#5) ※ラストサビで1回
★わたしhiC#地–hiC[は]そう]欲[張C#–hiD#–hiF#–F[り[な[アイ]ドル]【ラストサビ[転調₊1]】
※通常サビではhiF
【補足】hiB~hiFを含むフレーズ一覧
★今日m2G#–hiB[な[に]食[べ]た? 好[きB[な]本は? 【Aメロ】
★m1G#[好き]なタイプは? 相手は? m2G#[さあ]こ[たhiD#裏[え]て]
★誰かhiB–hiA#[を]好]きになることなんて 私分かB[ら]な]くてさ【Bメロ】
★また一人堕ちる またm2G#[好]き[に]さ[せhiA#[る]
★誰よりも強いhiA#[君]以[外]はhiC–hiD#地[認め[ない]【2番ラップ】
★誰かhiC–hiB[に]愛]されたことも 誰かのこと愛C[し]た]ことも【ラストBメロ[転調₊1]】
☆ない そんhiB–hiA#{な]わ]たしの嘘が【ラストBメロ[±0]】
★いつかhiA#地–hiF裏[きっ[と]全]部[手F[に]入]れ[る]【ラストサビ[転調₊1]】
★hiC#–hiD#[いつ[か]ほ[ん]とう[に]hiF[な]る[日]をねD#[がっ]て]
★君とhiC#[きhiD#–hiF[み[に]だ[け]は言[え]ずにいたけど
★これはhiC#[ぜhiD#–hiF[っ[たい]う[そ])hiC[じゃ]ない 愛してる
※ラストBメロは1番Bメロよりも半音高く(₊1)、☆のところで転調し同じキーに戻る
まず、『アイドル』についてです。この楽曲は、2023年に2人組音楽ユニットYOASOBIによりリリースされたシングル作品です。この記事の執筆時点では配信限定のリリースであり、アルバムなどには未収録です。YOASOBIは、これまではシングルやEPでのリリースが主ですので、もしかしたら今後、EPなどの形式でリリースされるかもしれません。
『アイドル』は赤坂アカさんと横槍メンゴさんの同名漫画を原作としたアニメ『【推しの子】』のオープニングテーマとして書き下ろされました。YOASOBIは小説を原作として楽曲を書き下ろすスタイルをとっておりますが、今作は原作者の赤坂さんが書き下ろした小説『45510』を原作として音楽制作がなされました。私自身、原作漫画を途中まで視聴しているのですが、『45510』は主人公の母が所属したアイドルグループB小町に焦点を当てております。
さて、『アイドル』はアニメの人気と楽曲の質も相まって、多くの再生回数を獲得しております。リリースから10日程度でありながら、既にYouTubeチャンネルでの再生回数が3400万回を超えており、これまでにない爆発的な人気です。
『アイドル』はアッパーなデジタルポップナンバーです。イントロはなく、ラップのような歌い出しからメロが始まり、AメロBメロサビと展開します。ラストサビでは転調が行われ、キーが1つ上がります。
同曲はラストサビ以前にも複雑な転調が行われるなどしており、耳馴染みしやすい楽曲であるにも関わらず、音程が取りにくいです。また、歌い出し~ラストサビまで間奏がほぼ無く、歌メロが続きます。そのため、体力的にもかなりしんどい作品となっております。3度登場するラップも場面ごとに表現が異なっており、歌いこなすのが非常に大変そうな楽曲です(ちなみに、1回目のラップと3回目のラップではキーも違います)。
『アイドル』の音域的な特徴についてです。同曲は女性の音域としては高めのレンジで歌メロが作られております。一般的な女性は少しキーを下げた方が歌いやすいと思います。
一方、同曲はサビなどを中心に裏声が多用されております。そのため、器用な裏声と地声の使い分けは不可欠です。ボーカルのikuraさんは裏声でも歌詞がしっかり聞き取れるような絶妙な発声で歌唱されております。
同曲は地声最高音だけを考えるとそこまで高いというわけではありません。ただ、裏声でhiD以上の高音が多く、また息継ぎもしにくいことから、地声最高音hiC#の曲としてはかなり高音感があるのではないかと私は推測しました。転調も多く、ラップパートも複雑であるなど、難易度は非常に高いです。
最後に『アイドル』の音域についてですが、【地声最低音】mid1F#(F#3)~【地声最高音】hiC#(C#5)、【裏声最高音】hiF#(F#5)で歌メロディーが構成されております。一般的な女性の音域と比べ、高いです。以下、見ていきます。
まず、地声最低音mid1F#はラストサビ前のBメロで登場します。登場回数は1回程度です。このmid1F#以外ではAメロなどでmid1G#が比較的多いです。高音域が非常に得意な女性だと一部の低音が歌いにくいかもしれません(そうした方はキーを上げてください)。
次に、地声最高音hiC#はラストサビで登場します。正確な回数は数えていないのですが、今回は裏声のhiFとコンボになっている場面もあります。こうしたことから、一般的な女性は少しキーを下げた方が歌いやすいのではないかと私は推測しました。一つの目安ですが、原曲キーから1~2つ程度下げてみてください。
同曲は裏声hiD~hiF辺りが多用されています。そのため、地声高音hiA~hiC#などを土台として、安定した裏声発声が求められます。地声最高音hiC#の曲としてはかなり高音感がある楽曲だと思います。
『アイドル』は低音域に余地があり、少しであればキー下げは可能です。そのため、歌い慣れている人であれば、自分の得意なレンジに調整することが可能そうです。
一方、同曲はそもそもの難易度が高く、キー調整をしても歌いこなすのが非常に大変な作品です。具体的にはラップパートでは微妙な音程の違いがあったり、1回目と3回目のラップでもキーが異なっています。ラップだけを取り出しても、難しい場面が多いです(2番ラップは息継ぎが大変)。
ちなみに、同曲のラストサビ前のBメロは、1番のBメロよりもキーが1つ高くなっています。しかし、途中で転調し、1番Bメロとキーに戻ります。それにもかかわらず、ラストサビは通常のサビよりもキーが1つ高いレンジで展開されます。そうしたことがあるため、音程の正確さは絶対的に不可欠です(反面、ラップパートは音程にこだわり過ぎない方がよい)。全体として覚えておくことが多く、非常に大変な楽曲です。
『アイドル』を原曲キーで歌唱する場合、hiA~hiC#といった地声高音を安定して歌いこなす力が求められます。ここだけを見ると、女性域としてはそこまで高くないのですが、同曲は裏声hiD~hiF辺りが多用されているため、安定した裏声発声が求められます。地声最高音hiC#の曲としては高音感があります。
また、同曲の歌メロは【1番からラストサビ】まで間奏なく続き、体力的にもかなりしんどいです。これらを踏まえると、「高音域が(非常に)得意な女性」が原曲キーに合いやすいと私は判断しました。ボカロ曲などが得意な女性にはマッチするのではないかと思います。個人的には複数人でボーカルを担当するのもよさそうだと感じました(『アイドル』というタイトルなので、そうした想定をしてるのかもしれません)。
『アイドル』は非常に親しみやすいポップですが、全体的に必要となるテクニックや覚えることが多く、体力も不可欠です。ただ、既に今年を代表するような人気曲であり、歌いこなせると非常に気持ちがよいのではないかと思います。興味を持たれた方はチャレンジしてみてください。
コメント
いつも拝見しています。
推しの子のエンディングのメフィスト(女王蜂)も調査して頂けると嬉しいです。
よろしくお願いします。
リストアップしておきます。
OPに負けず、こちらもいい曲ですよね。
ああ、呪術廻戦だけじゃなくて推しの子ももう完結するのか…寂しいですね。
赤坂さん、横倉さん、ありがとうございました。
良い作品でしたね。私は一時多忙だったこともあって
途中で読むのを止めてるのでまた見返したいです
ラスサビ前の低音(mid1F#)でむせたことがあるわたしは高音域が非常に得意な女に該当しますかね·····( ˙-˙ )?
チルドレンレコードとかシネマ(初音ミクちゃんのキー)とかヘッドボイスありでも高くて原キーで歌えないのに(⸝⸝o̴̶̷᷄ ·̭ o̴̶̷̥᷅⸝⸝)
「アイドル」を1人でラストサビ前まで歌えるならば
高音域が得意な方になると思います
ゆうぴょんさんの歌声を聴いてみないと分かりませんが、
列挙されてる曲はどれも滅茶苦茶難しいですね
あの辺を原キーでチャレンジできるのであれば、「高音域が非常に得意」といえるかもしれません
ボカロ曲は「滅茶苦茶」が付くほど難しいものがあるので
「高音域が非常に得意な女性」でも難しいものが多いと思います