『永久 -トコシエ-』(MY FIRST STORY × HYDE)の音域

　『永久 -トコシエ-』は、吾峠呼世晴さんの同名漫画を原作としたアニメ『鬼滅の刃 柱稽古編』のエンディングテーマとして書き下ろされました。作詞作曲編曲は梶浦由記さんによりなされました。梶浦さんは鬼滅の主題歌のみならず、アニメの劇伴も手掛けております。
　同曲は、オープニングテーマの『夢幻』（過去記事）とともに両A面シングルとしてCDリリースもされました。『夢幻』は配信で10万ダウンロードを達成し、日本レコード協会よりゴールド認定がなされています（２０２４年９月現在）。


　『永久 -トコシエ-』の音域的な特徴についてです。男性の音域としては「高め」もしくは明確に「高い」レンジで歌メロが作られております。低音域に余地があるため、一般的には少しキーを下げた方が歌いやすいです（ただし低音もかなり低い）。
　今回の楽曲はAメロではmid1A#～mid1C#などが登場し、男性の音域としても低いです。反面、Bメロサビ辺りは中高音が多くなり、要所でhiA～hiB等が見られます。こうした傾向から、低音～高音まで音域が広く、力量が求められます。場合によっては原曲のように2人で歌唱するのもよいかもしれません。パート分けするときは、「低音が得意な男性」、「女性（or中高音が得意な男性）」といった組み合わせがよいと思います。

　女性が同曲を歌唱する場合、キーを上げた方が歌いやすいです。一つの目安ですが、原曲キーから５～６つ程度上げてみてください。今回の楽曲は音域がかなり広いため、歌える人が限定されるかもしれません。女性も男性同様に、「低音が得意な女性（or男性）」、「高音が得意な女性」のようにパート分けして歌うのもよいと思います。



　最後に『永久 -トコシエ-』の音域についてですが、【地声最低音】mid1A#(A#2)～【地声最高音】hiB(B4)、【裏声最高音】hiB(B4)で歌メロディーが構成されております。一般的な男性の音域と比べ、高いです。以下、見ていきます。

　まず、地声最低音mid1A#はAメロで登場します(いずれもHYDEパート)。この辺りはmid1Bやmid1C#ともコンボになっており、それなりに低音感があります。「高音域が非常に得意な男性」などは歌いにくい可能性があります。
　ちなみに、高音パートのHiroさんはmid2A#が最低音となります。高音パートについては、「高音が得意な男性」だけでなく、「女性」もマッチする可能性があります

　次に、地声最高音hiBは２番AメロやDメロで登場します。登場回数は４回程度でいずれもHiroさんが担当しています。このhiBに次ぐ地声高音としては、hiA#がピークとなる場面が全体で３回、hiAが２回、mid2Gが１７回登場します。こうしたことから、男性の音域としては高く、通常は少しキーを下げた方が歌いやすいです。
　ちなみに、HYDEさんの地声最高音はmid2Gです。この辺りは男性の音域の範囲内ですが、標準よりやや高い方が余裕を持ちやすいと思います（ただし、「高音域が非常に得意な男性」だと低音が辛い）。


　『永久 -トコシエ-』は低音域に若干の余地があり、キー下げは可能です。ただ、今回の楽曲は音域自体がかなり広いため、歌い慣れた人であっても一部歌いにくい部分が出てくるかもしれません。その点で、音域面でのハードルが高い曲です。
　同曲はメロディー自体もそれなりに癖があり、転調なども多いです。そのため、慣れないうちは音程を取るのが難しいかもしれません。原曲をしっかり聴き込んでおきたいです（楽器などを弾いて音程を確認してもよい）。今回は１人でも歌えなくはないですが、２人の方が余裕を持ちやすいと思います。

　『永久 -トコシエ-』を原曲キーで歌唱する場合、mid2E～hiBといった中高音域をしっかり歌いこなせる力が求められます。今回はBメロやサビなどで中高音が多いです。反面、低音域ではmid1A#などが見られ、それなりに低いです。
　こうした点を考慮すると、ソロの場合は「（ある程度）高音域が得意な男性」などが原曲キーに合いやすいと私は分析しました。２人で歌唱する際は、①低音が得意な男性と②女性（or中高音が得意な男性）でコンビにするとよいと思います。


【まとめ】

①Aメロは中低音中心、Bメロサビは中高音中心（音域がかなり広い）
②原キーだと「（ある程度）高音域が得意な男性」に合いそう（ソロの場合）
③２人で歌うとより歌いやすい（①低音が得意な男性と②女性（or中高音が得意な男性））
④メロは音程が取りにくいかも（しっかり聴き込んでおきたい）