『レクイエム (feat. 星街すいせい) 』(Kanaria)の音域

　まず、『レクイエム (feat. 星街すいせい)』についてです（以下、『レクイエム』）。この楽曲は、２０２３年にボカロPのKanariaさんによりリリースされたシングル作品です。配信限定のシングルであり、現在はフィジカルによるリリースはありません。

　『レクイエム』はタイトルにもあるように、バーチャルYouTuber、バーチャルシンガーの星街すいせいさんがボーカルに迎えられました。また、ボカロPの作品ということもあり、初音ミクによるボカロ曲としてもリリースされております。星街すいせいさんバージョンのミュージックビデオは、リリースから３週間で６００万回を超える再生回数を記録し、既に大きな話題となっております。
　Kanariaさんは『KING』(過去記事)、『酔いどれ知らず』(過去記事)などで知られる人気のボカロPであり、星街さんも最近は知名度が拡大しております。楽曲の質とともに、両者のコラボという点も大きなサプライズだと私には感じました。


　『レクイエム』の音域的な特徴についてです。同曲は、大よそ女性の音域の範囲内、もしくはやや高めのレンジで歌メロが作られております。低音域が得意な女性などは、少しキーを下げてもよいと思います。
　同曲は、地声高音でhiC以上が登場する場面は５回程度です。そのため、地声レンジはそこまで高いわけではないですが、器用な裏声と地声の使い分けが不可欠になります。地声高音はhiA辺りの頻度が高いため、人によっては少し体力を消耗しやすいかもしれません。
　同曲はKanariaさん自身もボーカルを担当しております。Kanariaさんの担当する主旋律については、大よそ一般的な男性の音域の範囲内で歌唱されております。そのため、男性パートはmid2F,mid2G（裏声hiA#）辺りが歌えると形になりやすいです。

　ちなみに、同曲を男性が一人で歌う場合、通常はキーを下げた方が歌いやすいです。高音域が非常に得意な男性だと原曲キーでの歌唱もかなうかもしれませんが、星街さんの歌唱ニュアンスに近づける場合、やはり少しキーを下げた方がマッチしやすいと思います。



　最後に『レクイエム (feat. 星街すいせい)』の音域についてですが、【地声最低音】mid1F(F3)～【地声最高音】hiC#(C#5)、【裏声最高音】hiF(F5)で歌メロディーが構成されております。一般的な女性の音域の範囲内、もしくは高めです。以下、見ていきます。

　まず、地声最低音mid1Fはサビと2番Aメロで登場します。この辺りは女性の音域の範囲内としては低いレンジになります。そのため、人によっては発声がしづらいかもしません。「高音域が得意な女性」などは少しキーを上げるのも選択肢だと思います。

　次に、地声最高音hiC#はBメロで登場します。サビの直前の場面であり、登場回数は2回程度です。このhiC#辺りは女性の音域の範囲内、もしくは少し高いです。そのため、低音域が得意な女性はキーを下げるか、もしくは裏声などどぉ上手く使っても良いかもしれません。今回は裏声が多用される楽曲であるため、地声hiC#を「裏声」で歌っても原曲のニュアンスを残しやすいのではないかと私は考えました。


　『レクイエム』は低音域がmid1Fと低いため、キー下げは行いにくいです。そのため、女性がキー調整をする場合、通常はキーを上げる方向になるのではないかと推測されます。同曲は地声高音はhiC#とそこまで高くないのですが、裏声が多いため、器用な発声が求められます。その点で一定の難易度のある楽曲といえます。ただ、ボカロ関連の作品としては比較的取っつきやすいのではないかと私は推測しました（音域が広いので、ビギナー向けではないですが）。

　『レクイエム』を原曲キーで歌唱する場合、mid2G～hiC#といった地声レンジをしっかり歌いこなせる力が求められます(hiC#辺りは裏声でも良いかも)。また、サビなどを中心にhiC#～hiF辺りの裏声も見られるため、裏声の発声は不可欠になります。反面、低音域はmid1Fと低めです。
　これらを踏まえると、「標準的～標準より高め」の音域の女性などが原曲キーに合いやすいと私は判断しました。裏声を器用に使いこなせるのであれば、「標準より低めの女性」などでもチャレンジ可能かもしれません。この辺りは各々、実際に試してみてください。


　『レクイエム』は最近特に人気の高い楽曲の1つであり、カラオケなどでも歌いやすいと思います。また、ボカロ関連作品としてはメロもゆったり目であり、その点でも取っつきやすいかもしれません。興味を持たれた方はチャレンジしてみてください。