『生命体』( 星野源 ) の 音域

　まず、『生命体』についてです。この楽曲は、２０２３年に男性シンガーソングライターの星野源さんによりリリースされたシングル作品です。最新シングルであるため、アルバムには未収録です。配信限定のシングルとしてリリースされております。

　さて、『生命体』はTBS系で放送される『世界陸上』および『アジア大会』のテーマソングとして書き下ろされました。『世界陸上』は既に放送され、多く耳にしているという方も多いかもしれません。ちなみに、『世界陸上』はこれまで織田裕二さんの『All my treasures』 がよく知られていました。
　私はテレビの方は視聴していないのですが、同曲を拝聴し、非常に素敵な作品だと感じたので、今回記事にしたいと思いました。


　『生命体』はアッパーなバンド曲で、ジャジーな趣きがあります。歌メロはAメロサビCメロで構成されます。シンプルな構成ですが、裏声が多用されるため、歌う際は少し取っ付きにくいかもしれません。
　同曲は１番終了後に40秒程の間奏が挟まれますが、そうした場面も個人的には非常に印象に残りました。演奏時間が3分程度の作品であり、密度が非常に濃い作品です。作詞作曲編曲は星野源さんによりなされました。

　『生命体』の音域的な特徴についてです。同曲は男性の音域の範囲内で歌メロが作られております。ただ、今回は全体的に中高音寄りであるため、一般的な男性は「キーを下げた方が歌いやすい」と思います。
　同曲は最低音がmid1Gであり、男性曲としては高いです。そのため、相対的にmid2D～mid2Fといった中高音域の登場頻度が高くなります。そのため、地声最高音mid2Gが2回程度ですが、体感的に高音感を感じやすいです。また、mid2G～hiC辺りの裏声もよく見られるため、器用な裏声発声が不可欠となります。

　『生命体』を女性が歌唱する場合、通常は少しキーを上げた方が歌いやすいと思います。ただ、今回は男性曲としては中高音寄りになっており、最低音がmid1Gと女性でも歌唱可能です。そのため、「標準より低い音域の女性」などはもしかしたら原曲キーがマッチする可能性もあります。



　最後に『生命体』の音域についてですが、【地声最低音】mid1G(G3)～【地声最高音】mid2G(G4)、【裏声最高音】hiC(C5)で歌メロディーが構成されております。一般的な男性の音域と比べ、やや高めのレンジで歌メロが作られております。以下、見ていきます。

　まず、地声最低音mid1GはAメロで登場します。この辺りは男性の音域の範囲内です。ただ、mid1Gが最低音となる男性曲は、高い確率で「一般的にな男性にとってはキーの高い楽曲（スタミナも不可欠）」となることが多いです。今回の『生命体』も地声高音こそそこまで高くないものの、男性にとっては体力的にしんどくなりやすそうです。

 　次に、地声最高音mid2GはCメロで登場します。登場回数は2回程度です。この最高音mid2Gに次ぐ高音としてはmid2Fが7回程度登場します。今回は最高音が滅茶苦茶に高いわけではなく、原曲キーで歌唱できる男性も多いかもしれません。ただ、mid2Eなどなどの頻度が高く、中高音寄りになっているため、高音感があり、一般的には少しキーを下げた方が歌いやすいのではないかと私は推測しました。一つの目安ですが、原曲キーから1つ程度下げてみてください。


　『生命体』は低音域に余地があり、キー下げはしやすいです。そのため、歌い慣れた人であれば、ある程度自分が得なレンジに調整することができると思います。また、ビギナー向けのキー調整も可能なのではないかと私は推測しました。
　一方で、今回は急激なメロの上昇などがあり、裏声も多用されております。そうした点で、ビギナーにはやや取っ付きにくい側面もあります。その点は留意しておいてください。

　『生命体』を原曲キーで歌唱する場合、mid2D～mid2Gといった中高音域をしっかり歌いこなせる力が求められます。今回はmid2D～mid2E辺りが非常に多いです。また、今回はmid2G～hiC辺りの裏声が多く、器用な裏声地声発声が不可欠です。全体的に中高音寄りですので、音域以上に高く感じやすいです。
　これらを踏まえると、「標準よりやや高め～高音域が得意な男性」などが原曲キーに合いやすいと思います。また、最低音が高い分、「標準より低い音域の女性」などもマッチする可能性があります。



【まとめ】

①最高音は高くないが、全体的に中高音寄り
②原キーだと「標準よりやや高め～高音域の得意な男性」などに合いそう
③「標準より低い音域の女性」などに合う可能性もある
④器用な裏声地声の使い分けは不可欠（女性は地声ベースの方が歌いやすいかもですが）