『メリクリ』( BoA ) の 音域

　まず、『メリクリ』についてです。この楽曲は、２００４年に女性歌手のBoAさんによりリリースされたシングル作品です。アルバムとしては、翌年にリリースされたベストアルバム『BEST OF SOUL』（ベスト・オブ・ソウル）に初収録されました。同アルバムは初期からのBoAさんのヒット曲などが収められております。アルバムは、１００万枚を超えるヒットを記録し、日本レコード協会よりミリオン認定がなされました。

　さて、『メリクリ』は当時携帯電話のCMソングとしてタイアップが付きました。楽曲の質も相まって同曲はヒットし、先述のベストアルバムの売上に大きく貢献しました。また、２０１０年代には配信部門でも５０万ダウンロードを記録。更に、２０２０年代にはストリーミングでも５０００万再生を記録する等ロングヒットしました。BoAさんの代表的な作品の１つです。


　『メリクリ』はスローテンポのポップです。クリスマスらしいサウンドアレンジとなっており、歌メロも全体的にメロディアスです。歌メロはAメロBメロサビと展開し、親しみやすいです。作詞は康珍化さん、作曲・編曲は原一博さんによりなされました。原さんは倖田來未さん、BoAさん、EXILE、小柳ゆきさんなどと縁の深い作曲家です。

　『メリクリ』の音域的な特徴についてです。同曲は女性の音域としては高めのレンジで歌メロが作られております。また、低音域も低く、低音～高音まで広い音域が求められます。
　同曲は、Aメロでは中低音中心、サビでは中高音が多く登場します。高音では裏声が要所で用いられており、器用な地声と裏声の使い分けが不可欠となります。
　ちなみに、２００８年に発表された『メリクリ～New Best Album Ver～』はよりしっとりしたアレンジとなっており、原曲以上に裏声が多用されております。地声高音が高くない人は、こちらのアレンジも参考にしてみるとよいと思います。

　男声が同曲を歌唱する場合、通常はキーを下げた方が歌いやすいです。「高音域が非常に得意な男性」なども幾分かキーを下げた方が安定すると思います（原キーでも歌えなくはないかもしれません）。



　最後に『メリクリ』の音域についてですが、【地声最低音】mid1D#(D#3)～【地声最高音】hiD#(D#5)、【裏声最高音】hiD#(D#5)で歌メロディーが構成されております。一般的な女性の音域と比べ、高めです。以下、見ていきます。

　まず、地声最低音mid1D#はAメロで登場します。今回はmid1F#とコンボになっており、女性の音域としてはかなり低いです。「高音域が得意な女性」などはキーを上げるのも選択肢だと思います。

　次に、地声最高音hiD#はサビで登場します。このhiD#は女性の音域としては高めです。ただ、BoAさんは２００８年の『メリクリ～New Best Album Ver～』では、裏声を多用したアレンジとなっており、地声最高音がhiC#程度なっています。そのため、私個人としては、地声hiD#にあまりこだわらずに、裏声を多用してみるのもよいと考えました。


　『メリクリ』は低音域が低くキーを下げる余地はほとんどありません。今回の楽曲は音域自体がかなり広いため、キー調整に融通は利きにくいです。そのため、裏声を多用するとしても、しっかりとした練習が不可欠であり、歌い慣れた人向けの楽曲といえます。
　同曲はメロディーが分かりやすく、リズムなどもそこまで難しくはなさそうです。そのため、音域が合う人であれば練習曲には向きやすいと思います。

　『メリクリ』を原曲キーで歌唱する場合、hiA～hiD#（地声はhiC#程度）といった中高音域をしっかり歌いこなせることが求められます。今回はサビを中心にこれらの音階が頻出します。また、器用な裏声表現も不可欠です。
　こうしたことを踏まえると、「標準より高め～ある程度高音域が得意な女性」などが原曲キーにマッチしやすいと私は判断しました。「高音域が非常に得意な女性」などはキーを上げるのもよいと思います。


【まとめ】

①Aメロはかなり低い、サビは中高音中心（音域がかなり広い）
②原キーだと「標準より高め～ある程度高音域が得意な女性」などに合いそう
③サビでは器用な裏声発声が不可欠になる
④裏声を多く使った『メリクリ～New Best Album Ver～』という作品も参考になります
⑤メロディー自体は分かりやすく、音域が合うのであればカラオケ向き