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『君を忘れない』( 松山千春 ) の 音域

 こんにちは。今回は松山千春さんの『君を忘れない』(1996)を取り上げたいと思います。よろしくお願いします。今回はリクエストによる選曲です。
 なお、同曲はアーティストおよびレーベルの公式チャンネルでMVが公開されておりません(ストリーミングでは配信中)。ただ、EXILEのATSUSHIさんがライブでカバーした公式動画公開されていますので、そちらを添付します(キーは同じ)。


『君を忘れない』(松山千春)
『君を忘れない』(松山千春)の音域






【地声最低音】mid1C(C3) ※Aメロで登場

★君は 砕け散った 夢のかm1F#[け]ら ひとつF#[ひ]m1E[つ]【Aメロ】
m1Em1D[ち[い]さな Dm1C[そ[の]手で集め


【地声最高音】mid2G(G4) ※サビで計12回(ロングトーン含む)

★答えm2E[を] m2GF#[い][ぐ][こF#[と]はなG[い]【サビ】
★やがてわかm2Em2G[る[から]


【補足】mid2Emid2F#を含むフレーズ一覧

★どうしm2E[て] [生m2F#[き]て]いるの? きm2F[み]は]僕に尋ねた[け]【Aメロ】

 まず、『君を忘れない』についてです。この楽曲は、1996年に男性シンガーソングライターの松山千春さんによりリリースされたシングル作品です。アルバムとしては、同じ年に発表された『TOUR』に初収録されました。同アルバムは、週間最高位9位にランクインし、10万枚以上のCDヒットを記録しました。

 さて、『君を忘れない』は、フジテレビ系のドラマ『みにくいアヒルの子』の主題歌となり注目を集めました。ドラマは平均視聴率17.2%を記録し、それに伴い、主題歌にも注目が集まります。楽曲の質も相まって、同曲は40万枚を超えるCDヒットを記録、日本レコード協会よりプラチナ認定(旧基準)がなされました。
 松山千春さんは、シングルのセールスとしては1970~1980年代を中心に大ヒットを記録します。その中で、『君を忘れない』は1990年以降の松山さんの作品としては最も大きなセールスを記録しました(2024年現在)。


 『君を忘れない』はスローなポップです。松山さんはフォークソングで知られた歌手ですが、同曲もフォーキーなニュアンスがある作品であり、そこにストリングスなどが加えられていきます。全体的に歌の良さが活きたアレンジであり、カラオケなどで歌うと映えそうです。作詞作曲は松山さん自身、編曲は飛澤宏元さんによりなされました。飛澤さんは、当ブログでも取り上げたクリスタルキングの『愛をとりもどせ!!』(過去記事)のアレンジでも知られております。


 『君を忘れない』の音域的な特徴についてです。同曲は男性の音域の範囲内で歌メロが作られておりますが、「体感的には高め」です。ただ、今回は最高音mid2Gの登場回数が多く、ロングトーンも含まれるため、一般的には少しキーを下げた方が歌いやすいのではないかと推測しました。
 同曲は「Aメロサビ」というシンプルな歌メロで作られております。Aメロは中低音中心で、サビは中高音が多く見られます。サビについてはmid2F#-mid2Gのコンボになり、またmid2Gのロングトーンが含まれます。そのため、「男性の音域の範囲内」でありながら、体感的にはそれなりに高音感があると推測しました。音域は低音~高音までそれなりに広いです。

 ちなみに、女性が同曲を歌唱する場合、通常はキーを上げた方が歌いやすいです。一つの目安ですが、原曲キーから5~7つ程度上げてみてください。全体的にメロがよい楽曲ですが、低音~高音まで音域が広いため、力量が求められます。



 最後に『君を忘れない』の音域についてですが、【地声最低音】mid1C(C3)~【地声最高音】mid2G(G4)で歌メロディーが構成されております。一般的な男性の音域の範囲内(体感的には「高め」)のレンジで歌メロが作られております。以下、見ていきます。

 まず、地声最低音mid1CはAメロで登場します。この辺りは男性の音域の範囲内であり、mid1Dとのコンボになっています。そのため、人によっては若干低音感を感じるかもしれません。「高音域が非常に得意な男性」などは少しキーを上げるのもよいと思います。

 次に、地声最高音mid2Gはサビで登場します。登場回数は12回程度です。このmid2Gは男性の音域の範囲内とされることが多いです。ただ、今回は①登場回数の多さと、②ロングトーンが含まれることを考慮すると、男性の音域としては少し高いのではないかと私は判断しました。一つの目安ですが、原曲キーから1~2つ程度下げてみてください。


 『君を忘れない』は低音域に余地があり、キー下げは可能です。歌い慣れた人であれば、ある程度自分の得意なレンジに調整することができそうです。ただ、今回の楽曲は音域が低音~高音までそれなりに広いです。そのため、ビギナーには一部歌いにくい部分が出てくるかもしれません。また、テンポがスローですので、その点でも慣れてない人には少し取っ付きにくい可能性があります。
 一方、同曲はメロディーが非常によいスロー曲で、歌の良さが活きやすいです。のど自慢やカラオケ選手権などでも歌われることが多い印象です。慣れた人の練習曲としては非常によいと感じました。

 『君を忘れない』を原曲キーで歌唱する場合、mid2E~mid2Gといった中高音域をしっかり歌いこなせることが求められます。mid2Gはサビを中心に登場回数が多く、ロングトーンを含みます。また、Aメロでは複数回mid1C~mid1E等が登場します。
 こうしたことを踏まえると、「標準より高め~高音域が得意な男性」などが原曲キーにマッチしやすいと私は判断しました。


【まとめ】

①Aメロは中低音中心、サビは中高音中心(音域は広い)
②各サビで最高音m2Gのロングトーン。見た目より高い印象
③原キーだと「標準より高め~高音域が得意な男性」などに合いそう
④メロがよく、歌の良さが活きやすい。カラオケ向きのスロー曲

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コメント

  1. 名無し より:

    リクエストした者です。ありがとうございます

    松山さんといえば高音のロングトーンですよね。松山さんの楽曲を歌ってるとmid2G、mid2G#辺りが最高音でも意外とロングトーンで頻発してこられると結構しんどいのだなと実感します。

    • もりっしー より:

      コメントありがとうございます。
      遅くなり申し訳ございません。
      調査自体は比較的早く終わっていたのですが
      30年近く前の旧譜かつ公式MVが無かったため
      記事にするタイミングを見計らってました

      松山さんはホントに発声が美しいですよね
      今回の曲も単純な音域だけを見ると男性の音域の範囲内なのですが
      サビの重要な場面でこれだけ美しいロングトーンが出てくるので
      「標準より高め~高音域が得意な男性」向けとしました
      高音域が得意だと歌って楽しい曲だと思います