『バンド』(クリープハイプ)の音域

　まず、『バンド』についてです。この楽曲は、２０１６年にロックバンド・クリープハイプによりリリースされたアルバム『世界観』に収録されています。同アルバムには、『愛の点滅』、『リバーシブルー』、『破花』、『鬼』といったシングルが収められました。

　『バンド』はアルバムの最後に収録されたシンプルなバンド曲です。フロントマンである尾崎世界観さんがクリープやバンドへの思いが描写されております。２０１９年には現体制になって１０周年ということでミュージックビデオも制作・公開されました（『バンド 二〇一九』名義）。
　２０２４年に発表されたクリープハイプのトリビュートアルバム『もしも生まれ変わったならそっとこんな声になって』で、back numberが『バンド』をカバーしております。同アルバムとしてはトリビュートとしては異例の人気となっており、ストリーミングランキングでも多くの曲がランクインし続けています。


　『バンド』の音域的な特徴についてです。同曲は男性の音域としては高い（もしくは「かなり高い」）レンジで歌メロが作られています。低音域に余地があるため、一般的にはキーを下げた方が歌いやすいと思います。
　同曲はhiAやhiBといった中高音が楽曲全体で多く登場します。低音域もmid2Aと男性曲としては高く、男性の音域としてはかなり高音に寄っています。音域的には女声域と近似するため、男性にとってはキーを下げた方が歌いやすそうです。

　女性が同曲を歌唱する場合、人によっては原キーがマッチする可能性があります。ただ、「低音域が得意な女性」などは若干キーを下げた方が合う可能性があるため、まずは原キーを試して各々微調整を加えてください。声域的には女性に近いため、女性の方が歌いやすそうです。




　最後に『バンド』の音域についてですが、【地声最低音】mid2A(A3)～【地声最高音】hiD(D5)で歌メロディーが構成されております。一般的な男性の音域と比べ、かなり高いです。以下、見ていきます。

　まず、地声最低音mid2AはAメロで登場します。この辺りは男性の音域の範囲内です。ただ、mid2Aが最低音となる男性曲は、ほぼ「一般的な男性にとってはキーが高い曲」となります。今回の『バンド』についても明確にこの傾向が当てはまります。

　次に、地声最高音hiDはサビ（もしくはBメロ）で登場します。登場回数は３回程度です。このhiDに次ぐ地声高音としては、hiBがピークとなる場面が全体で３４回程度とかなり多いです。こうしたことから、男性の音域としてはかなり高く、通常はキーを下げた方が歌いやすいといえそうです。一つの目安ですが、原曲キーから６つ程度下げてみてください。
　ちなみに、同曲はback numberがカバーしていますが、原キーよりも5つ低いキー（mid1E～hiA）で歌唱しております。この辺りもキー調整の参考にしてみてください。

　『バンド』は低音域に余地があり、キー下げはしやすいです。歌い慣れた人であればある程度自分が得意とするレンジに調整することができそうです。ただ、今回の楽曲は音域自体がそれなりに広いため、ビギナーだと一部歌いにくい部分が出てくるかもしれません。また、高音がかなり高いため、男性にとってはかなりキー調整がしにくい曲です。現在未配信のところが多いのですが、男性はback numberのカバーからキー調整してみるのもよいと思います。
　同曲のメロは分かりやすく、またリズムも取りやすそうです（伴奏が無い部分は少し慣れが必要かも）。音域がマッチするのであれば、練習曲にもよいと思います。

　『バンド』を原曲キーで歌唱する場合、mid2F#～hiDといった中高音域をしっかり歌いこなせる力が求められます。特にmid2F#～hiB辺りは全体的にかなり多いです。また、最低音もmid2Aと高いです。男声域としてはかなり高く、女声域と近似します。
　こうした点を考慮すると、「女性」や「高音域が非常に得意な男性」などが原曲キーに合いやすいと私は判断しました。女性については個人差がありますので、実際に歌って微調整を加えてください。「標準より低めの音域の女性」などはキーを下げた方が合いやすいと推測しています。

【まとめ】

①男性曲としてはかなり高い(女性の音域と近い)
②原キーだと「女性」や「高音域が非常に得意な男性」などに合いそう
③男性はback numberのカバー(原キー♭5)などを参考にしてみるのもよい
④メロはよい。リズムも取りやすく、音域が合う人ならば練習曲に向く