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『海のまにまに』(YOASOBI)の音域

 こんにちは。今回はYOASOBIの『海のまにまに』(2022)を取り上げたいと思います。よろしくお願いします。今回はリクエストによる選曲です。


『海のまにまに』(YOASOBI)
『海のまにまに』(YOASOBI)の音域








【地声最低音】mid1G(G3) 

★流m2A[れ]る景色hiA裏[を]ひとり すhiB裏[わっ]て] 2A[見]ていた【Aメロ】
★不意に窓かm1G[ら]見えた景色m2A[が]暗闇に【2番Aメロ】
★月明かりのm2A[し]た 青白い[は]


【地声最高音】hiC(C5) ※ラストサビ等で計12回

★そのしゅhiA#hiC地[ん[かんこの手の先]で][が][じ]hiC[た]【ラストサビ[転調₊1]】
★思わずhiC地[点いたと二人で]揃えて叫んhiD#裏hIC地[で]た]


【裏声最高音】hiF(F5) ※ラストサビで登場

★すhiA#[る][い]C裏C#D#hiF^[と[が[ひ[び]い] C裏D#^[ひ[び]い]【ラストサビ[転調₊1]】


【補足】hiA#hiD#を含むフレーズ一覧

★よm2GhiA地[る[の] A[あ]い]まを縫うA[よ]うに【Aメロ】
★その最AhiB地[後の光を惜[し]む]よう[にhiD裏C#[目]で]追]いか[け]たのは
hiB裏hiA[今日]で]バイバイ だから
★あしhiAhiB地[た[を捨てる為に飛]び]出した[と][ひ]hiB[う]【1番サビ】
★波の音にただhiAhiB地[導かれる[よう]に]歩く【2番Aメロ】
★なんてhiA[考えていた]私の 前に突[然現れ]た君は
☆なかなhiAhiA#地m2G#[か[点かない花火に]火]を近[付][な]A#[ら]【ラストサビ[転調-1]】
hiD#裏[ねえ] D#裏C#C[よ]る]が]明けたら君C地[は]【ラスト】

※☆は途中で急に転調するので音程が難しい(慣れが必要)

 まず、『海のまにまに』についてです。この楽曲は、2022年に2人組音楽ユニットYOASOBIによりリリースされたシングル作品です。配信限定のシングルとしてシングルとしてリリースされた後に、2023年のEP作品『はじめての – EP』に初収録されました(同じ年に発表されたEP『THE BOOK 3』にも収録)。

 さて、『海のまにまに』は、辻村深月さんの小説「『ユーレイ』――はじめて家出したときに読む物語」を原作として書き下ろした作品です。
 同曲の歌メロはAメロサビと展開。2番以降はラップパートが主体となり、ラストサビへと向かいます。YOASOBIの作品としては全体的に歌メロがシンプルであり、私自身も耳に残りました。ラストサビでは通常サビより1つ低いキーに転調したのちに、2つ高いキーへと転調します(通常サビと比べて1つ高いキー)。作詞作曲編曲はコンポーザーのAyaseさんによりなされました。


 『海のまにまに』の音域的な特徴についてです。同曲は女性の音域としては高めのレンジ(体感的には明確に「高い」といってよいかも)で歌メロが作られています。低音域に余地があるため、一般的にはキーを下げた方が歌いやすいです。
 今回の楽曲は、地声最高音がhiC程度ですが、ラストサビで集中的に登場します。また、hiA~hiB辺りの登場回数が多いため、見た目の音域以上に高く感じやすい曲なのではないかと私は分析しました。ikuraさんの発声も柔らかであるため、その点でもより高音域が安定している必要がありそうです。サビ等を含め裏声が多用されているため、器用な発声も不可欠になります。一方、低音域についてはおおむね標準的ですが、「高音域が非常に得意な女性」などは若干キーを上げてもよいかもしれません。

 男性が同曲を歌唱する場合、通常はキーを下げた方が歌いやすいです。一つの目安ですが、原曲キーから5~6つ程度下げてみてください。「高音域が非常に得意な男性」についてもキーを下げた方が歌いやすいと思います。



 最後に『海のまにまに』の音域についてですが、【地声最低音】mid1G(G3)~【地声最高音】hiC(C5)~【裏声最高音】hiF(F5)で歌メロディーが構成されております。一般的な女性の音域と比べ、「高め~高い」です。以下、見ていきます。

 まず、地声最低音mid1Gは2番Aメロのラップパートで登場します。この辺りは女性の音域の範囲内です。今回は低音域としてはmid2A辺りが比較的よく見られます。大よそ標準的な女性の音域といえます。

 次に、地声最高音hiCはラストサビで計12回登場します。このhiCに次ぐ地声高音としては、hiBがピークとなる場面が全体で8回程度登場します。これは「女性の音域の範囲内」とされますが、今回はhiCやhiBが連続して登場し、発声も柔らかいです。hiD以上の裏声がよく見られる点なども考慮すると、女性の音域としては高く、通常は少しキーを下げた方が歌やすいのではないかと私は分析しました。一つの目安ですが、原曲キーから1~2つ程度下げてみてください。


 『海のまにまに』は低音域に若干の余地があり、キー下げは可能です。歌い慣れた人であればある程度自分が得意とするレンジに調整することができそうです。ただ、今回の楽曲は音域がそれなりに広いため、ビギナーなどは歌いにくい部分が出てきやすいと思います。
 今回の楽曲はメロディー自体は比較的わかりやすいです。ただ、音程については上の☆の転調(キーが1つ下がる)が音程を取りにくいですので、その点は慣れが必要です。また、YOASOBIの楽曲ではありがちなのですが、メロとメロの間隔が短く、息継ぎなどがしにくそうな場面が多い点も注意してください。メロやリズム自体は分かりやすいですが、歌い慣れた人向けの楽曲です。

 『海のまにまに』を原曲キーで歌唱する場合、hiA~hiC(裏声はhiFまで)といった中高音域がしっかり歌いこなせることが求められます。今回はhiA~hiB辺りが比較的多く、地声感のあるhiCはラストサビで集中的に登場します。また、hiB~hiFといった裏声も要所で見られ、器用な発声が不可欠になります。低音は大よそ標準的です。
 こうした点を考慮すると、「ある程度~非常に高音域が得意な女性」などが原曲キーに合いやすいと私は判断しました。


【まとめ】

①サビが高いが、ABメロもやや中高音寄り(低音は標準的)
②原キーだと「ある程度~非常に高音域が得意な女性」に合いそう
③裏声が要所で登場するため、器用な発声が不可欠
④メロは分かりやすいが、ラストサビ(☆の部分)は音程がムズイので注意
⑤メロとメロの間隔が短いため、意識的に息継ぎを入れたい

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