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『醒めない』(スピッツ)の音域と感想

 こんにちは。今回はスピッツの『醒めない』(2016)を取り上げたいと思います。よろしくお願いします。

『醒めない』(スピッツ)、Samenai(Spitz)



【地声最低音】mid1D#(D#3)  

[お]ぼえていてくれたのかい?(Aメロ)


【地声最高音】mid2G#(G#4)  

★まだまだ[醒め]mid2G[ない] mid2F[ア][タ][マん][な][か]で(サビ)
[運]命を突[き][や[ぶり] [もぎ取][れ](Cメロ)



【補足】その他、mid2F,mid2Gの注意点

★嬉しくてmid2F[う]mid]2G[えばっ][か]見ちゃうよ(Aメロ)
★ロック[大]陸の物語が(サビ)
★見知らぬ人が大[切な人]になり(Cメロ)


『醒めない』(スピッツ)










 まず、『醒めない』についてです。この楽曲は2016年にスピッツによってリリースされたアルバム『醒めない』の収録曲として発表されたナンバーで、1曲目に収録されています。アルバムは第58回日本レコード大賞「優秀アルバム賞」を受賞しております。

 さて、『醒めない』についてですが、スピッツ自身の「ロック熱、音楽熱がまだまだ醒めない」といった歌詞内容です。
 個人的に面白いと思ったフレーズはいくつかあるのですが、一つは「ギターはアンドロジナス」です。「アンドロジナス」とは「男女両性の特徴を持つファッション」といった意味を持ちます。音楽用語ではなく、ファッションなどで使われる用語です。

 スピッツというバンドの一つの特徴として、ギターの音色のクリーンな部分歪んだ部分を使い分ける点にあると思います。今ではそうしたバンドも増えていると思うのですが、スピッツがブレイクした頃は、ギターの三輪テツヤ氏の憂いを帯びたクリーンなギターサウンドは彼らを特徴づける一つのポイントでした。
一方で、ポップで美しいメロディーでありながらギターがやけに歪んでいるというのも彼らのもう一つの特徴です。「アンドロジナス」というフレーズには、そうした2つの要素を持ったギターサウンドという意味を持っているのではないかと私は解釈しております。『醒めない』のギターについては、英国のロックバンドThe Smithsを想起させるようなクリーン寄りのサウンドワークになっていると思います。

 また、両性的な要素を持つ草野さんのボーカル、スピッツのサウンドといった見方もできるかもしれません。スピッツの音域を分析する際に「女性が歌っても良い楽曲」だと私自身が分析することがあります。女性歌手がスピッツの楽曲をカバーしたり、女優の方がCMなどで歌ったりすることもありますが、彼らの楽曲が長く愛される理由の一つはそうした性差を超えた楽曲の特徴にもあるのかもしれません。
 ちなみに、女性歌手のあいみょんさんはこの『醒めない』に影響を受けて、『君はロックを聴かない』を製作したそうです。






 さて、『醒めない』の音域についてですが、【地声最低音】mid1D#(D#3) ~【地声最高音】mid2G#(G#4) でメロディーが構成されております。一般的な男性の音域よりは少し高いです。

 図にも示しておりますが、低音部には余裕があります。高い声域が得意でない方は、キーを少し下げることもアリだと思います。一般的な男性の音域の一つの基準として、mid2G#(hiA♭)辺りから地声の発声が難しくなり始めます(当然、hiAなどの高音域に届く人も居ます)。

 ただ一方で、普段歌い慣れていない人でも努力すれば、mid2F,mid2G辺りの音域には届く可能性が高いです。原曲キーから一つキーを下げる(♭1)と最高音がmid2Gになりますので、一つの目標としてみるのもいいかもしれません。

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