こんにちは。今回はKing Gnuの『飛行艇』(2019)を取り上げたいと思います。よろしくお願いします。


『飛行艇』(King Gnu)、Hikoutei


【地声最低音】mid1E(E3)  

★正しさばかりに恐れおm1E[の]のかないで


【最高音】hF(F5)  ※転調後のサビで頻出

hiC[い]hiF[の]hiD[ち]hiA#[揺]hiC[ら]hiD[せ] hiD#[イ][ェイ] 


【補足】mid2F#hiD等の箇所

★どんなゆm2#F[め]を見に行こうか(Aメロ)
★大地震m2G[わ]m2F#[せ] [過]hiA[去][を]F#[え] (ラストサビ前)
mid2G[この時代に飛び]hiD[乗っ]hiC[て] mid2F[こ]G[ん]hiA#[や](転調後サビ)


『飛行艇』(King Gnu)









 まず、『飛行艇』についてです。この楽曲は2019年に4人組バンドKing Gnuによりリリースされた作品です。配信限定シングルとしてリリースされました。航空会社ANAのキャンペーンCMのタイアップが付き、私自身も時折耳にしました。
 『飛行艇』はKing GnuのYouTube公式チャンネルでMVが公開されております。公開からおよそ1週間になりますが、2019年8月現在、300万回ほどの再生回数を記録しています。非常に注目度が高い楽曲であると言えます。

 『飛行艇』のサウンドについてです。私自身King Gnuのすべての楽曲を把握しているわけではないですが、『飛行艇』これまでにないほどロックバンドとしての側面が強い作品であると思います。イントロのギターリフが非常に心地よいです。荒野や砂漠などを想起させるオリエンタルな音作りです。1番終了後に入るギターソロも耳に残ります。
 また、個人的に面白いと思った音色はイントロやサビで登場するシンセサイザーの音(だと思います)です。基本的に楽曲全体を通して同じフレーズが繰り返されているのですが、ベースギターとともに地を這い、地面から突き上げるような推進力を担っていると思います。どこか不気味な雰囲気も感じます。
 歌メロディーについてですが、ラストのサビで転調が行われ、キーが1つ(半音)上がります。King Gnuはサビを半音上げるなど移調を伴ったアレンジがよく見られる印象です。ただ、『飛行艇』では歌メロディーの構成がAメロサビといったシンプルな構成ですので、ラストの転調が入ってもあまり仰々しさを感じません。こうしたバランスの取り方も美しく感じます。ただ、カラオケなどで歌う際は、サビの転調は非常にしんどくなる場面だと想像できます。





 さて、最後に『飛行艇』の音域についてですが、【地声最低音】mid1E(E3) ~【最高音】hF(F5) でメロディーが構成されております。一般的な男性の音域よりも高いです。

 まず、以前より申しておりますが、King Gnuはツインボーカルです。中低音部(mid2G辺りまで)をフロントマンの常田さんが、高音部(hiA辺り~)を井口さんが担当しています。一般的にJ-POPででよく見る同性デュオはそれぞれ音域が被っており、ハーモニーを上手く利用して個性を出します。そうした点から考えると、King Gnuはやや特殊といえます。元々難易度の高い楽曲が散見される彼らですが、①ツインボーカルかつ②音域が被ってないという側面も楽曲の難易度を上げている一つの側面だと言えます。
 ちなみに当ブログで添付してある音域の図ですが、King Gnuについては常田さん+井口さんのパートが一緒に記載されています。1人1人が担当する音域はもっと狭いですが、例えば『飛行艇』を一人で歌唱する際はそれだけの音域が必要になります。


 こうしたことを踏まえた上で『飛行艇』の音域を見ていきます。まず、最低音はmid1Eです。大ヒット作の『白日』(最低音mid1A#)と比較すると、『飛行艇』の低音部分は少し余裕があります。例えば、一人でこの『飛行艇』を歌唱する際は、『白日』よりは余裕のある発声がしやすいと言えると思います。

 次に最高音hiFについてです。このhiFは裏声で発声されています。ただ、息漏れするファルセットではなく、息漏れのしない強さを伴った裏声です。井口さんはこうした発声を上手く利用し、高音域を歌いこなしています。こうした裏声はすぐに使いこなすのは時間がかかると思います。まずは、一般的な裏声に慣れ、少しずつ息漏れを減らし声の強さを上げていくような練習をしていくと良いと思います。


 King Gnuの高音パートを担当する井口さんは、他の曲などを分析していくと、大体hiB辺りまでは地声で歌唱し、それ以上を裏声で対応している印象です。この『飛行艇』についても大体hiA#辺りまでが地声です。『飛行艇』を歌唱する際は、理想を言えば、hiA#~hiB辺りまで地声で歌いこなせると、上手く歌いこなせる可能性が高くなると思います。

 ちなみに、King Gnuはツインボーカルですので、ボーカルを二人に分けて練習するというのも有効な選択肢だと思います。中低音域を担う常田さんが大体mid2G辺りまでを歌いこなしていますので、常田さんのパートを男性が担当し、井口さんの高音パートを女性(もしくは高音域が得意な男性)が担当するというのも良いです。