『半透明人間』(back number)の音域

　まず、『半透明人間』についてです。この楽曲は、２０１１年にロックバンドback numberによりリリースされたシングル『花束』のカップリング曲として初収録されました。アルバムとしては、同じ年の『スーパースター』にも収録されました。アルバムはロングヒットを続け、２０１５年に売上枚数が１０万枚を超え、日本レコード協会よりゴールド認定がなされました。


　『半透明人間』はアップテンポのバンド曲です。頭サビで歌メロが始まり、Aメロサビとシンプルに展開します。全体的にノリがよい力強いロックであり、ボーカルも力強い発声がなされています。作詞作曲はボーカル＆ギターの清水依与吏さん、編曲はback numberのセルフプロデュースです。
　ちなみに、同曲はバクナンのベストアルバム『アンコール』にも収録されているため、耳にしたことがあるという人も多いかもしません。


　『半透明人間』の音域的な特徴についてです。同曲は男性の音域としては高いレンジで歌メロが作られています。低音域に若干の余地があるため、一般的には少しキーを下げた方が歌いやすいと思います。
　同曲は全体的に中高音域が強調された楽曲であり、mid2D#～mid2F#といった中高音域が多く見られます。また、要所要所でmid2G#～hiA#などが登場し、男性の音域としては高いことが分かります。低音域についてはサビの一部でmid1C#が見られますが、全体でみるとそこまで低くないため、注意が必要です。サビはmid1C#～hiA#まで登場するため、低音と高音で上手く発声を切り替えることが重要になります。。発声は地声ベースであり、裏声は少ないです。

　女性が同曲を歌唱する場合、通常はキーを上げた方が歌いやすいと思います。今回は一部でmid1C#といった低音が登場するため、その辺りは女性には歌いにくいと想定されます。一つの目安ですが、原曲キーから２～４つ程度上げてみてください。今回は音域が広い楽曲であるため、その点で力量や適性が求められます。



　最後に『半透明人間』の音域についてですが、【地声最低音】mid1C#(C#3)～【地声最高音】hiA#(A#4)で歌メロディーが構成されております。一般的な男性の音域と比べ、高いです。以下、見ていきます。

　まず、地声最低音mid1C#はサビで登場します。この辺りは男性の音域の範囲内です。ただ、今回はサビでの最低音であるため、低音と高音の発声の切り替えを上手くしていきたいです。「高音域が非常に得意な男性」だと若干キーを上げてもよいかもしれません。

　次に、地声最高音hiA#はサビやＡメロなどで登場します。登場回数は１０回程度です。このhiA#に次ぐ地声高音としてはmid2G#がピークとなる場面が全体で１３回程度登場します。こうした点を考慮すると、男性の音域としては高く、通常はキーを下げた方が歌いやすいといえそうです。一つの目安ですが、原曲キーから２～４つ程度下げてみてください。


　『半透明人間』は低音域に余地があり、キー下げは可能です。ただ、今回の楽曲は音域が広めの作品であるため、人によっては一部歌いにくい部分が出てくるかもしれません。歌い慣れた人であっても低音～高音までしっかり力量が求められますが、頻度としては中高音が多い曲です。
　同曲はメロディー自体は比較的わかりやすく、リズムなども取りやすそうです。音域面でのハードルが克服できるのあればカラオケなどにもよいと思います。

　『半透明人間』を原曲キーで歌唱する場合、mid2F～hiA#といった中高音域がしっかり歌いこなせることが求められます。今回はAメロ等でも中高音の頻度が高く、全体的に中高音寄りです。一方、低音域としてはm1C#が登場します。低音域の回数は多くないのですが、サビで登場するため、低音と高音の切り替えが重要です。
　こうした点を考慮すると、「高音域が得意な男性」などが原曲キーに合いやすいと私は判断しました。

【まとめ】

①全体的に中高音寄りの曲（音域は広め）
②サビで最低音が登場。低音と高音の切り替えに気を付けたい
③原キーだと「高音域が得意な男性」などに合いそう
④メロ自体は分かりやすい。音域が合うのであればカラオケ向き