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『僕と花』(サカナクション)の音域と感想

 こんにちは。今回はサカナクションの『僕と花』(2012)を取り上げたいと思います。よろしくお願いします。

『僕と花』(サカナクション),Boku to Hana(Sakanaction)


【地声最低音】   mid1D#(D#3)  

★ぼm1D#[く]の目 ひとつあげましょう だからあなたの目をください


【地声最高音】  mid2G#(G#4)  ※サビ場面

★夜がmid2G#[手]mid2G[を]mid]2F[伸][ば][し]そっと引っ[張っ]


【補足】つまずきやすいmid2F箇所

★積み2F[木]のように重ね[て]おいた悩み


『僕と花』(サカナクション)











 まず、『僕と花』についてです。この楽曲はサカナクションにより2012年にリリースされたシングル作品です。この楽曲はサカナクションとしては始めて、ドラマのために書き下ろされた作品です。フジテレビ系ドラマ『37歳で医者になった僕〜研修医純情物語〜』の主題歌として起用されました。
 
 作品としては、初のドラマタイアップということもあり、これまでのサカナクションのファン以外に向けてのサウンドが意識されております。ミディアムテンポの楽曲で、ギターサウンドもクリーンであります。メロディーも非常に耳馴染みが良いです。ただ、マス向けに完全に注力されたわけではなく、要所要所でサカナクションらしいアレンジも見られます。後述しますが、歌詞についても必ずしも多くの人に突き刺さるといった分かりやすいものではありません

 この楽曲を巡るエピソードとして面白いと思ったのは、ドラマの制作側がアップテンポの楽曲を提案していたのに、山口一郎さんは「ドラマの内容を考慮すると、ミディアムやスローのテンポの方が合うのではないか」と促し、結果、そうした方向で楽曲が制作されたことです。ただ言われるがままに制作するのではなく、自分の考えを相手に伝え、ドラマにも反映させるという点が非常に前進的だと思いました。


 歌詞については、ドラマの書き下ろしということもあり、ドラマを意識した作りになっているそうです。私自身はドラマを拝見していないのですが、『花』というのはヒロインの女性を指し、また、歌詞に象徴的に登場する「目」も「芽」と掛けられているようです。

 これらを踏まえると、「つまりは僕の目は花 探してた」というサビのフレーズは「成長や開花を目指す」といった意味があるのではないかと解釈します。ただ「花」にはヒロインという意味だけではなく、「見ているだけで前に進めない」「行動しても力が及ばないから逃げ出す」といった「動けない僕」といったニュアンスもあると思います。どうしようもない弱さの中に、少しだけ救われるフレーズ、前向きになれるフレーズをほのかに漂わせている辺りが、ドラマというものを意識しているのだと思います。

 個人的に好きなフレーズはサビで頻出する「夜が手を伸ばしそっと引っ張って また何か言おうとしてるから」という箇所です。夜になると、何となく今日の一日やこれまでを振り返り、自分の有り様やこれからなどを考えてしまいがちです。何となく不安になってしまうこともあるかもしれません。歌詞については、明確にこうであると示されているわけではないですが、私自身はそのように解釈し、非常に共感できました。




 さて、『僕の花』の音域についてですが、【地声最低音】mid1D#(D#3)~【地声最高音】mid2G#(G#4) でメロディーが構成されております。最高音が少し高いですが、大よそ一般的な男性の音域と言えると思います。

 まず、基本的な点としては、mid2Fやmid2Gの音階をこなせるように努力してください。特にmid2Fはある程度歌い慣れれば届くと思います。逆に歌い慣れていない人の場合、この箇所が曖昧になったり、音が外れたりしてしまいます。あまり注目されない音階かもしれませんが、ポップソングにおいては非常に重要な音階です。歌い慣れていない場合は、キーを下げて練習しても良いと思います。

 次に、最高音のmid2G#です。mid2G#は生まれつき声が低い人などは、もしかしたら努力してもきついかもしれません。ただ『僕と花』では、mid2G#はフレーズごとに1箇所だけの登場です。よって、ファルセット(裏声)で対応するのもアリだと思います。ただ比較的多くの人の場合は、「努力」をすれば地声で発声しうると思います。

 
 ちなみに『僕と花』は低音部があまり低くないので、女性が歌っても良いと思います。一般的な女性の場合キーを3程度上げる(#3)と良いと思います。当然個人差はありますので、#3をめどに、各々調整してください。

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