『宝物』( WANIMA ) の音域

　まず、『宝物』についてです。この楽曲は、2019年に3人組ロックバンドWANIMAによりリリースされたアルバム『COMINATCHA!!』（カミナッチャ）に収められております。同アルバムには、『夏のどこかへ』(過去記事)、『GONG』(過去記事)、『アゲイン』(過去記事)等のシングル曲が収録されております。『COMINATCHA』はCD、およびダウンロードでそれぞれ10万枚（10万ダウンロード）を記録し、フィジカルとデジタルの両方でゴールド認定がなされております。


　さて、『宝物』はアコースティックギターなどが基調となったミドルテンポのバンド曲です。WANIMAらしい陽気さの中に「切なさ」が強調されており、私としては夏の夕暮れや夜などが思い起こさせられます。また、WANIMAとしては珍しく、ラストでは裏声が用いられる等、ボーカルの表現でもシングル曲とは違った側面が見られます。

　『宝物』の音域的な特徴についてです。同曲は、男性としてはかなり高いレンジで歌メロが作られております。低音域には余地がありますので、通常はキーを下げた方が歌いやすいです。
　ちなみに、同曲は音域的には女性が原曲キーで歌唱することも可能です（一部低音が歌いにくい部分があるかもですが）。高音域が得意な女性などは少しキーを上げたも良いかもしれません。男性よりもむしろ女性の音域と近い楽曲と言えます。



　最後に『宝物』の音域についてですが、【地声最低音】mid1F#(F#3)～【地声最高音】hiD(D5)、【裏声最高音】hiE(E5)で歌メロディーが構成されております。一般的な男性の音域と比べ、高い（もしくはかなり高い）です。以下、見ていきます。

　まず、地声最低音mid1F#は2番のAメロで登場します。この辺りは男性の音域の範囲内です。また、若干低いですが、女性が原曲キーで歌唱することも可能です。人によっては少しキーを上げた方がより歌いやすいかもしれません。

　次に、地声最高音hiDについては、ラストの大サビで登場します。登場回数は1回程度です。このhiD以外の場面ではhiC#がサビを中心に10回以上登場します。このhiD,hiC#辺りは男性としてはかなり高いですので、通常はキーを下げた方が歌いやすいです。


　『宝物』は低音域に余地があり、キー下げはしやすいです。一方、同曲は音域が広めです。歌い慣れた人はともかく、ビギナーには難しい作品といえるかもしれません。キー調整をするにしても、ある程度歌い慣れた人向けです（歌い慣れた人の場合も、大きなキー下げが求められる）。その点で、ハードルがありそうです。

　『宝物』を原曲キーで歌唱する場合、私なりの目安としては、hiC#辺りをしっかり地声で歌いこなせることが不可欠だと感じます。また、サビを中心にhiB辺りも超頻出です。そのため、「高音域が非常に得意な男性」、「やや低め～標準的な女性」など原曲キーがマッチしやすそうです。
　同曲は、『ともに』(過去記事)、『シグナル』(過去記事)といった人気曲と比べると、AメロBメロがそこまで高くありません。その点で、WANIMAの難曲と比べると、少し負担が軽いのではないかと私は分析しました（それでも、原キーでは非常に難しいです）。

　『宝物』は心地の良いバンド曲であり、カラオケなどでも歌いやすいと思います。メロディーも親しみやすく、覚えやすそうです。興味を持たれた方はチャレンジしてみてください