『心臓』( TOOBOE ) の 音域

　まず、『心臓』についてです。この楽曲は、２０２２年に男性シンガーソングライターのTOOBOEさんによりリリースされたシングル作品です。配信限定のシングルとしてリリースされました。この記事を執筆時点では、フィジカルでの収録はなく、アルバムにも未収録です。

　さて、『心臓』は大きなタイアップなどはありませんでした。ただ、楽曲の質、三次元の背景とアニメ調のキャラクターを組み合わせた魅力的なMVといった要素が組み合わさり、大きな話題となりました。公開されているMVは、２０２３年１２月現在で１５００万回に達しており、ストリーミングでも多くの再生回数を獲得しています。チェンソーマンのエンディングテーマとして話題になった『錠剤』(過去記事)とともに、TOOBOEさんの楽曲でも特に人気の高い１曲となっております。ちなみに、MVは擬態するメタさんが担当しました。


　『心臓』はアッパーなバンド曲です。気だるい印象のあるサウンドやメロでありながら、それでいてノリが良いです。この楽曲については書き下ろしではないですが、どことなくチェンソーマンと通じるような歌詞、世界観でもあり、そうした点がのちの『錠剤』のタイアップなどにつながったのかもしれません。作詞作曲編曲は、TOOBOEさんによりなされました。

　『心臓』の音域的な特徴についてです。同曲は大よそ一般的な男性の音域の範囲内で歌メロが作られております（体感的にはやや高めかも）。一般的な男性でも原曲キーの歌唱が可能ですが、場合によってはキーを調整するのもよいと思います。
　今回の楽曲は、サビが特に盛り上がるのですが、ABメロもそれなりに中高音が登場し、全体的に中高音寄りです。低音についてはBメロの一部mid1C#などが登場しますが、大よそ標準的です。そのため、標準的な音域の男性の中にはは少し高く感じる人もおられるかもしれません。サビでは裏声が多用されているため、器用な発声が不可欠になります。

　ちなみに、女性が同曲を歌唱する場合、通常はキーを上げた方が歌いやすいです。今回は最低音がmid1C#であるため、女性の音域としてはかなり低くなります。原曲キーから４～６つ程度上げると、より歌いやすくなるのではないかと私は判断しました。



　最後に『心臓』の音域についてですが、【地声最低音】mid1C#(C#3)～【地声最高音】mid2F#(F#4)、【裏声最高音】hiC#(C#5)で歌メロディーが構成されております。一般的な男性の音域の範囲内（体感的にはやや高めかも）です。以下、見ていきます。

　まず、地声最低音mid1C#はBメロで登場します。この場面は、mid1D#,mid1Fなどが多く見られる場面であり、少し低音感があります。「高音域が得意な男性」などは少しキーを上げるのもよいかもしれません。

　次に、地声最高音mid2F#はサビなどを中心に登場します。登場回数は２５回程度と多いです。このmid2F#は男性の音域の範囲内といわれることが多いです。ただ、mid2F#辺りは歌い慣れていないとスムーズな発声が損なわれやすいので、少しずつ練習を重ねてください。
　今回は地声最高音mid2F#の登場回数が多いため、人によっては高く感じやすいかもしれません。場合によってはキーを下げることも選択肢に入れてください。


　『心臓』は低音域に余地があり、キー下げは可能です。また、高音域にも余地があるため、高音域が得意な男性などはキーを上げることも可能そうです。そのため、歌い慣れた人であれば、ある程度自分が得意なレンジに調整することができるといえそうです。
　一方、今回の楽曲は裏声なども含めると、音域がかなり広いです。そのため、歌い慣れていないビギナーだと一部歌いにくい部分が出てくるかもしれません。

　『心臓』を原曲キーで歌唱する場合、mid2D#～mid2F#(裏声はmid2G#～hiC#)といった中高音域をしっかり歌いこなせる力が求められます。今回は低音がBメロ等で集中しますが、全体的に中高音寄りです。
　こうしたことを踏まえると、「標準的orある程度高音域が得意な男性」などが原曲キーに合いやすいと私は判断しました。


【まとめ】

①Bメロの一部低いが、全体的に中高音寄りの曲
②原キーだと「標準的～ある程度高音域が得意な男性」などに合いそう
③地声最高音の登場回数が多いので、人によってはキーが少し高く感じるかも
④サビを中心に裏声が登場するので、器用な発声が不可欠