『アイムユアヒーロー』(After the Rain)の音域

　まず、『アイムユアヒーロー』についてです。この楽曲は、２０２３年に歌手のそらるさんとまふまふさんのユニットAfter the Rainによりリリースされたアルバム『アイムユアヒーロー』に収録されております。同アルバムには、『1・2・3 -2023 ver. -』、『アイスクリームコンプレックス』、『折り紙と百景』、『10数年前の僕たちへ』などの楽曲が収められております。
　その中で、楽曲『アイムユアヒーロー』はアルバムの表題曲であり、リード曲にあたります。公開されたミュージックビデオは、５００万回を超える再生回数を記録しており、ユニットの人気の高さがうかがえます（２０２４年１月現在）。

　『アイムユアヒーロー』はアップテンポのバンド曲です。全体的に親しみやすいサウンドで、多くの人に届きうる普遍性があります。歌メロについてもAメロBメロサビと展開します。作詞作曲編曲はまふまふさんによりなされました。


　『アイムユアヒーロー』の音域的な特徴についてです。同曲は、男性の音域としてはかなり高いレンジで歌メロが作られております。低音域には余地があるため、一般的にはキーを下げた方が歌いやすいです。
　同曲はAメロBメロサビと楽曲が盛り上がっていきます。Aメロの一部は低い場面がありますが、Bメロサビなどは男性の音域としては高く、全体として中高音域が非常に多いです。原曲と同じように、２人以上で歌唱するのもよいと思います。ただ、いずれのパートもhiB以上が含まれますので、「高音域が得意な男性」などに向きそうです。発声はいずれも地声ベースになっております。

　女性が同曲を歌唱する場合についてです。今回は音域がかなり広い楽曲であり、Aメロの低音域は女性にとってはかなり低いです。ただ、Bメロやサビなどは女性の方がマッチする可能性が高いです。そのため、男女のコンビで歌唱するのもよいと思います（もしくは低音パートを「低音域が非常に得意な女性」が歌うなど）。



　最後に『アイムユアヒーロー』の音域についてですが、【地声最低音】mid1C#(C#3)～【地声最高音】hiD(D5)で歌メロディーが構成されております。一般的な男性の音域と比べ、かなり高いです。以下、見ていきます。

　まず、地声最低音mid1C#はAメロで登場します。この辺りは男性の音域の範囲内です。「高音域が非常に得意な男性」だと若干低く感じられるかもしれませんが、今回は低音域の回数は少ないので、原キーで頑張ってみるのもよいと思います。

　次に、地声最高音hiDはサビで登場します。登場回数は３回程度です。このhiDに次ぐ地声高音としては、hiBがピークとなる場面が全体で１３回程度登場します（hiAも２０回超）。こうしたことから、男性の音域としてはかなり高く、通常はキーを下げた方が歌いやすいです。一つの目安ですが、原曲キーから４つ程度上げてみてください（これでも標準よりは高いですが）。


　『アイムユアヒーロー』は低音域に余地があり、キー下げは可能です。ただ、今回の楽曲は音域がかなり広いため、歌い慣れた人であっても一部歌いにくい部分が出てくるかもしれません。キー調整を考慮しても、ある程度高音域が得意な男性の方がチャレンジしやすいです。
　同曲はメロディー自体は分かりやすく、音域が合うのであれば練習曲などには向くと思います。ただ、音域面がハードルになるため、男性のビギナーなどには向きにくいと私は判断しております（低音は大変だが、女性は意外とマッチする場面が多い）。

　『アイムユアヒーロー』を原曲キーで歌唱する場合、mid2G#～hiDといった中高音域をしっかり歌いこなせることが求められます。今回はこれらがいずれも地声で登場し、頻度が非常に高いです。低音については回数は多くなく、全体的に中高音中心です。
　こうしたことを踏まえると、１人で歌う場合は「高音域が非常に得意な男性」が原曲キーにマッチしやすいと私は判断しました。原曲のように複数人で歌う場合でも、「（ある程度）高音域が得意な男性」同士で歌うのがよさそうです。２人以上の場合、高音パートを女性が担当するのもよいです。


【まとめ】

①Aメロの一部低音が登場するが、他の大部分は中高音中心（音域は広い）
②原キーだと「高音域が非常に得意な男性」に合いそう（ソロの場合）
③2人で歌う場合でも「（ある程度）高音域が得意な男性」に合う
④２人以上で歌う場合、高音パートを女性が歌うのもよさそう
⑤メロディー自体は分かりやすく、カラオケ向き