『君は天然色』(大滝詠一)、Kimi ha Tennenshoku(Eiichi Ohtaki)
【地声最低音】mid1D(D3)
★くちびるつんととがらm1D[せ]て 何かたくらむひょうじょ[う]m1E[は]【Aメロ】
【地声最高音】mid2G(G4) ※曲全体で12回
★別れの気配をポケットm2E[に]m2F#–m2G[か[く]して][い]たF#–E[か]ぁ[ら]ぁ]【Aメロ】
★過ぎ去ったときしゃくだけm2E[ど]m2F#–m2G[い[ま]よ]り眩[し]ぃ[い]ぃ
★想い出m2E[は]m2F#–m2G[モ[ノ]ク]ロー[ム] 色をF#[点][け]て[く]ぅ[れ]F#[え][ぇ]ぇ【サビ】
まず、大滝詠一(おおたき えいいち)さんについて少し説明します。大滝詠一さんは、1969年に細野晴臣さん、松本隆さん、鈴木茂さんとともにロックバンドはっぴいえんどを結成します。はっぴいえんどは商業的な成功は果たせませんでしたが、サイケデリックなサウンドや、文学的な日本語による歌詞など後の日本のロックに大きな影響を与えました。
大滝詠一さんは、1972年に男性シンガーソングライターとしてソロでも活動を開始します。とりわけ、1981年3月にリリースしたアルバム『A LONG VACATION』が大きなヒットを記録、今もなお名盤として語り継がれております。また、作詞を担当する松本隆さんとともに楽曲提供なども行っており、松田聖子さんの『風立ちぬ』といった大ヒット作を世に送り出しております。1990年代には、ドラマ主題歌として、『幸せな結末』がミリオンヒットするなどしました。
大滝詠一さんは、山下達郎さんや竹内まりやさんなどとともにシティ・ポップといわれる音楽ジャンルの確立に貢献したソングライターの一人であります。今もなお、多くのアーティストに影響を与える日本を代表するソングライターの一人といえると思います。
さて、『君は天然色』(きみはてんねんしょく)についてです。この楽曲は、1981年に男性シンガーソングライターの大滝詠一さんによりリリースされたシングル作品です。アルバムとしては、同時発売された『A LONG VACATION』(ア・ロング・バケイション)に収められました。
『A LONG VACATION』は大滝詠一のアルバム作品としては最大のヒット作となります。それまでは知名度の低かった大滝詠一さんを世に知らしめた作品といえます。同アルバムは、リリースしたその年にミリオンヒットを記録、その後、2020年時点で200万枚を超えるセールスを記録しております。
私自身、「日本を代表する邦楽(J-POP)の名盤」などの特集をされる際は、このアルバムが大抵上位に列挙されている印象があります。私自身も、リアルタイムではありませんが、視聴して印象に残った作品であります。個人的には『カナリア諸島にて』という作品が好きです。
その中で、『君は天然色』はアルバムの1曲目として収録されております。イントロのピアノのフレーズなどはこれまでCMソングとして何度もタイアップされており、どこかで耳にしたことがある人も多いのではないかと思います。また、最近では藤原さくらさんや川崎鷹也さんがカバーされております。また、アニメ『かくしごと』のエンディングテーマとしても起用されました。リリースから40年が経ちますが、今もなお愛され続ける名曲です。
『君は天然色』はアップテンポのバンドナンバーです。ピアノによるイントロの3連符が非常に印象的であり、これまでCMなどでも何度も使われております。アルバムのタイトル『A LONG VACATION』とあるように、夏の長い休みなどを想起させる爽やかなサウンドであります。
同曲の歌メロについては、Aメロサビといった形で作られており、それが3回続く構成となっております。作詞は松本隆さん、作曲編曲は大滝詠一さんによりなされております。
『君は天然色』の音域的な特徴についてです。この楽曲は、おおよそ一般的な男性の声域の範囲内(もしくはやや高い)で歌メロが作られております。ただ、mid2E~mid2G辺りの中高音域でロングトーンが多く、その点で高く感じられる方もおられるかもしれません。場合によっては少しキーを下げてもよいと思います。また、女性の場合は、キーを上げた方が歌いやすいです。
最後に『君は天然色』の音域についてですが、【地声最低音】mid1D(D3)~【地声最高音】mid2G(G4)で歌メロディーが構成されております。一般的な男性の音域の範囲内(もしくは若干高い)といったところです。以下、見ていきます。
まず、地声最低音mid1DについてはAメロで登場します。この辺りは、男性の声域の範囲内といえますが、人によってはは少し歌いにくいかもしれません。高音域が非常に得意な方は、キーを上げてもよいです。また、mid1D辺りは女性にとっては相当低い音階となります。そのため、女性の場合は、キーを上げた方が歌いやすいです。
一方、地声最高音mid2GについてはAメロサビで登場します。歌メロの割合から考えると、かなり多いのではないかと思います(曲全体で12回)。この辺りは一般亭な男性の音域の範囲内でありますが、全体的にロングトーンが多く、またmid2F#などとコンボになっております。
そのため、一般的な男性であってもキーを下げた方がよいのではないかと私は分析しました。その辺りは実際に歌唱してみて、各々調整してください。私なりのイメージとしては、【想い出m2E[は]m2F#–m2G[モ[ノ]ク]ロー[ム] 色をF#[点][け]て[く]ぅ[れ]F#[え][ぇ]ぇ】のように中高音が頻出するので、「地声最高音mid2Gの男性曲」としてはややしんどいのではないかと考えております。
『君は天然色』は低音部分に若干の余地があり、キー調整は可能です。歌い慣れた人であれば、自分の得意なレンジに合わせることもできると言えます。歌い慣れていない人向けの調整も可能だと思いますが、もしかしたら一部歌いにくい部分が出てくるかもしれません。
同曲は歌メロ自体はシンプルなのですが、若干リズムが取りにくい部分などがあります。そのため、原曲の音や歌詞などをある程度覚えておいた方がよいです。
『君は天然色』を原曲キーで歌唱する場合、mid2E~mid2G辺りをしっかり歌いこなせる力が求められます。この辺りは男性の音域の範囲内でありますが、先にも述べたようにロングトーンが多いので、「地声最高音mid2Gの男性曲」としてはやや骨がある印象です。ただ、こうしたフレーズでもしっかり歌いこなせると、カラオケなどで歌える曲が増えやすいです。また、最近のJ-POPの男性曲と比べると、音域面ではアプローチしやすいと思います。
『君は天然色』は今もなお愛される作品であります。カラオケなどの話題からは逸れますが、曲の作り方などでもよく挙げられる作品であり、作曲面などでお参考になることが多いです。興味を持たれた方はチャレンジしてみてください。
コメント
ありがとうございました。やけに歌いづらいなと思ってたんですが、なるほどロングトーンが多いからなんですね。こういう解説は助かります。
あとめっちゃ細かい話なんですが、大瀧さんて自身の歌手活動ではアーティスト名を「大滝詠一」という表記にしていたはずです。確認してみてください。
コメントありがとうございます。
この曲私も好きですが、サビとか少し歌いにくいですよね。
確認しました。確かにソロの名義だと大滝詠一になってますね。
今は外出先ですので、後で全て修正しておきます。名義の旨についても記述しておきましょう。