『New World』(L’Arc-en-Ciel)の音域 [2005年の作品]

　まず、『New World』(ニュー・ワールド)についてです。この楽曲は、2005年に4人組ロックバンドL’Arc-en-Ciel（ラルクアンシエル）によりリリースされたシングル作品です。アルバムとしては、同じ年の『AWAKE』（アウェイク）に収められました。また、ベストアルバムなどにも収録されており、バンドの公式チャンネルではミュージックビデオも公開されております。
　アルバム『AWAKE』には、『叙情詩』、『自由への招待』、『Killing Me』といったシングルが収められております。また、リード曲となった『LOST HEAVEN』は、『劇場版 鋼の錬金術師 シャンバラを征く者』のエンディングテーマに起用されました。


　さて、『New World』はアップテンポのバンドナンバーです。同曲は、当時大ブレイクしたASIAN KUNG-FU GENERATIONの影響を受けて、制作されました。歌メロはAメロBメロがやや低めであり、サビで大きく爆発します。
　L’Arc-en-Cielのシングル曲は、作詞のほぼ全てをボーカルのhydeさんが担当しております。ただ、『New World』に関しては作詞作曲をドラム担当のyukihiroさんが担当しており、その点で異例な作品といえます(作曲はhydeとの共作)。ラルクはメンバー全員が作曲に携わっており、歌メロだけをみてもバンドの振れ幅の広さというものを感じます。

　『New World』の音域的な特徴についてです。同曲は、サビでhiC#が登場するなど、男性としては高いレンジで歌メロが作られております。一般的な男性の場合は、キーを下げた方が歌いやすいです。
　低音域については、最低音mid1F#の登場頻度が意外と高いです。そのため、女性にとっては低音が少し歌いにくいかもしれません。高音域が得意な女性はキーを下げてもよいと思います。

　ラルクの楽曲は、hydeさんの艶っぽい裏声表現なども魅力的でありますが、今作はロック色が強く、歌唱にも力強さが求められます。その点で、ロックナンバーと相性の良い方にお奨めの楽曲といえます。


　　最後に『New World』の音域についてですが、【地声最低音】mid1F#(F#3)～【地声最高音】hiC#(C#5)で歌メロディーが構成されております。一般的な男性の音域と比べ高いです。以下、見ていきます。

　まず、地声最低音mid1F#はAメロBメロで登場します。このmid1F#は一般的な男性の音域で、発声自体はそこまで大変ではないと思います。
　一方、mid1F#は女性にとってはやや低めのレンジであり、登場頻度なども考えると、Bメロ等は少し歌いにくいかもしれません。その辺りを留意して、キー調整などを行ってください。私なりの印象では、声が低めな女性の場合は、原曲キーでも合いやすい曲です（歌い慣れておく必要はあります）。

　一方、地声最高音hiC#については、サビで登場します。登場回数は4回ですが、いずれもhiB、hiA#とのコンボになっております。また、同曲は、サビでmid2G#～hiB辺りが超頻出であります。そのため、通常はキーを下げた方が歌いやすいです。


　『New World』は低音域に余地があり、キー下げなどはしやすいです。歌い慣れた人であれば、自分の得意なレンジに合わせることができます。ただ、同曲は、ラルクの作品でも特に地声レンジの高い楽曲であり、hydeさんのハイトーンが活きた作品です。そのため、キー調整するにしても、あまり下げ過ぎない方が原曲の魅力を生かしやすいです。その点で、歌い慣れた人向けの楽曲であります。

　『New World』を原曲キーで歌唱する場合、地声でhiC#,hiBなどをしっかり歌いこなせる力が求められます。先述のように、同曲はストレートなロックナンバーですので、力強い歌声が必要になります。そのため、「高音域が得意な男性」、「低音域も安定した標準～やや低めの女性」などが合いやすいです。また、終盤はサビが2回繰り返されますので、スタミナも一定以上は求められます。

　『New World』は男性にとってはかなり高い楽曲ですが、カラオケなどでも盛り上がりやすいナンバーであります。高音域が得意な男性は歌いこなしたい衝動に駆られる楽曲ではないかと私自身は感じました。興味を持たれた方はチャレンジしてみてください。