こんにちは。今回は米津玄師さんの『M八七』(2022)を取り上げたいと思います。よろしくお願いします。今回はリクエストによる選曲ですが、私自身もリストアップしていた曲です。
※当ブログでこれまで取り上げてきた米津さんの作品についてはこちらを参考下さい⇒米津玄師の作品音域一覧
『M八七』(米津玄師)、M87(Yonezu Kenshi)
【地声最低音】mid1C#(C#3) ※曲全体で1回
★遥か空m2D#[の]星が ひどく輝いて見えたm1D#[か]ら【Aメロ】
★いまに枯れる花が 最後に僕へm1C#[と]語りかm1D#[け]た【2番Aメロ】
【地声最高音】hiA(A4) ※曲全体で7回
★それは強くm2G#–hiA[こ[た]m2F#[え]て[く]G#[れ]るのだ【サビ】
★痛m2E[み]を知る hiA–m2G#[た]だ][ひ]m2F#[と]りであれ
★微かm2F#[に]笑え あのほhiA–m2G#[し]の][よ]うに【ラストサビ】
【裏声最高音】hiB(B4) ※各サビで複数回登場
★m2E[き]み[が]hiB裏[の][ぞむ]な[ら] (それは強く応えてくれるのだ)【サビ】
★今はhiB裏[す]べてにおm2G#–m2F#[そ]れ]るな
【補足】mdi2E(一部略)~hiA#を含むフレーズ一覧
★(僕は震えながら) m2F[そ]のm2G#[ひ]かりを追い[か]けた【Aメロ】
★(強くなりたかった) m2F[な]にm2G#[も]かもにあF–m2F#[こ[が]れ]ていた
★なm2D#–m2E[が[く]み]じ[かい]旅をゆく 遠い日のおもか[げ]【Bメロ】
★輝くほm2D#[し]は言う m2F–m2E[木]の]葉E[の]向こうから【Cメロ】
★m2F[み]ら[い]m2G[を]おhiA#裏–hiA[もい]な]G裏–A[が[ら]
★m2G–m2F[ぼ]く]ら[は]進む 何も知らずに
★何も知らずにm2E–m2D#[か]な]た[の]m2F#–m2F[ほう]へ]
※Cメロは転調が多く、音程を取りにくいです。
まず、『M八七』(エム・はちじゅうなな)についてです。この楽曲は、2022年に男性シンガーソングライターの米津玄師さんによりリリースされたシングル作品です。先行配信としてダウンロードやストリーミングで発売され、その後CDシングルとしてリリースされました。最新シングルですので、アルバムには未収録です。
『M八七』は庵野秀明さん企画・脚本、樋口真嗣さん監督の映画『シン・ウルトラマン』のために書き下ろされました。同映画は、まだ公開1週間程度ですが、既に大きな話題となっており、とりわけ特撮ファン、ウルトラマンのファンなどは特に反響が大きいのではないかと思います。タイトルの『M八七』は、ウルトラマンの故郷である「M78星雲」に由来しております(元々は「M87」だったそうですが、誤植で「M78」となってしまったそうです)。
私自身は、4~6歳頃にウルトラマンに異常にハマった時期があり、初代のウルトラマンについても、昔のテレビシリーズを視聴した記憶があります。今回の映画はまだ視聴していないのですが、映画のキャッチコピーや、SNSなどのコメントを見てると、劇場に足を運びたいという気持ちが強くなります。
さて、『M八七』はミドルテンポのポップナンバーです。シンセサイザーやストリングスなどが印象的な作品であります。私自身は、初聴の際は「近年の米津さんの作品群では取っ付きやすいメロ」だと感じていました。ただ、細かく見ていくと、特にCメロの転調が激しく、歌メロを歌うだけでも音程のキープが大変な楽曲だと分かりました。作詞作曲編曲は米津玄師さん、共同アレンジには坂東祐大さんが携わられております。
同曲の歌メロはAメロBメロサビといった形で作られております。その点では親しみやすい作品といえます。ただ、先述のように、Cメロの転調が激しく、音程が非常に取りにくいです。米津さんの過去作の多くに言えるのですが、リズムなどもやや取り辛く、音域以上に歌唱難易度が高いと思います。
『M八七』の音域的な特徴についてです。同曲は、男性の音域としては高めのレンジで歌メロが作られております。サビではmid2G#~hiA辺りが連続する場面がありますので、一般的な男性は、通常はキーを下げた方が歌いやすいといえます。低音域は滅茶苦茶には低くないので、キー下げは可能です。
一方、同曲は低音域ではmid1D#などが登場し、とりわけmid1F辺りが多いです。そのため、女性にとってはかなり低いといえます。低音域が得意な女性であってもキーを上げた方が合いやすいのではないかと私自身は分析しました。
最後に『M八七』の音域についてですが、【地声最低音】mid1C#(C#3)~【地声最高音】hiA(A4)、【裏声最高音】hiB(B4)で歌メロディーが構成されております。一般的な男性の音域よりも高めです。以下、見ていきます。
まず、地声最低音mid1C#は2番Aメロで登場します。このmid1C#は原曲でもはっきり聞こえるのですが、登場回数は1回のみですので、音程が少しずれても違和感は大きくないと思います。ただ、低音域としてはmid1D#,mid1F辺りは最低限必要になるのではないかと私は分析しました。
mdi1D#辺りは男性はともかく、女性にとってはかなり低いレンジであります。よって、女性が歌唱する場合、通常はキーを上げた方がよいといえます。
次に、地声最高音hiAについてはサビを中心に登場します。登場回数は曲全体で7回であり、少なくはありません。また、同曲はAメロ辺りもmid2G#辺りが登場するなど男性曲としては高めの音階が盛られます。そのため、一般的な男性は通常はキーを少し下げた方が歌いやすいといえます。一つの目安ですが、原曲キーから1~2つ程度下げてみてください(♭1~♭2)。
『M八七』は低音域に若干の余地があり、キー下げは可能です。歌い慣れた人であれば、自分の得意なレンジに調整することが可能だと思います。一方で、音域自体が広めであり、音程が取りにくい部分もありますので、キー調整を行ったとしてもビギナーの練習曲としては向きにくいです。その点は留意しておいてください。
『M八七』は先述のように、Cメロの転調が目まぐるしく、その点で音程が非常に取りにくいです。楽曲をしっかり聴いて、慣れておくということも重要だと思います。楽器を保有されている方は、歌メロを鍵盤や弦などでなぞり、確かめながら歌うのもよいと思います。
『M八七』を原曲キーで歌唱する場合、hiA,mid2G#辺りを地声でしっかり歌いこなせる力が求められます。また、裏声の頻度が高く、器用な発声が求められます。よって、「標準より高めの音域の男性~ある程度高音域が得意な男性」などが合いやすいのではないかと思います。
今回の『M八七』のレンジは、当ブログでよく取り上げられる男性歌手でいえば、back numberやMr.Children、スキマスイッチ、マカロニえんぴつなどと音域が近似します(大まかに見てます)。こうしたミュージシャンの楽曲が歌いこなせる方にはチャンスが多いと思います。
『M八七』は音程が取りにくいなど難しい場面もあります。ただ、キー調整も含めると、歌い慣れた人にとってはチャレンジしやすい作品であると思います(難易度は高いです)。米津さんの歌唱表現、とりわけ裏声や音程のキープなどについても学びが多いです。私自身は、サビで繰り返される「痛みを知る ただ一人であれ」という歌詞も非常に耳に残ります。興味を持たれた方はチャレンジしてみてください。
※当ブログでこれまで取り上げてきた米津さんの作品についてはこちらを参考下さい⇒米津玄師の作品音域一覧
コメント
すみません今更なんですがBメロとCメロの音程一部間違ってます。
まずBメロの「長く短い旅をゆく」の部分は(なm2D#[が]m2E[く]m2D#[み]じかい旅をゆく)で、Cメロの「僕らは進む」と「彼方のほうへ」は(m2G[ぼ]m2F[く]m2D#[ら]m2F[は]進む)と(m2E[か]m2D#[な]m2C#[た]m2D#[の]m2F#[ほう]m2F[へ])です。
後ほど確認します。ミスがあれば速やかに修正します。
教えていただきありがとうございます。
(追記)
該当箇所をギターで弾いてみたのですが
やはり私の記述が間違っているようです。修正いたします。
修正が完了したのでお伝えします。
今回は教えていただきありがとうございました。
結構大きなミスでしたので、助かりました。