『KissHug』(aiko)の音域　映画『花より男子ファイナル』挿入歌

　まず、『KissHug』（キスハグ）についてです。この楽曲は、２００８年に女性シンガーソングライターのaikoさんによりリリースされたシングル作品です。アルバムとしては、２０１０年にリリースされた『BABY』に初収録されました。同アルバムには、『milk』、『嘆きのキス』、『戻れない明日』などのシングル曲が収録されており、２０万枚を超えるヒットを記録しました。日本レコード協会よりプラチナ認定がなされております。

　さて、『KissHug』は神尾葉子さんの漫画を原作とした映画『花より男子F（ファイナル）』の挿入歌としてタイアップが付きました。『花より男子』シリーズは漫画のみならず、実写ドラマなども大きなヒットを記録し、それに伴い多くのヒット曲も生み出されていきます。楽曲の質も相まって、『KissHug』はCDシングルとして１０万枚を超えるヒットをになりました（日本レコード協会よりゴールド認定がなされます）。また、２００８年末の紅白歌合戦でも同曲が披露されました。


　『KissHug』は切ないスローポップです。歌メロはAメロBメロサビと展開し、楽曲が進行するに従い盛り上がっていきます。全体的に親しみやすいaikoさんらしい楽曲だと思います。サビ及びその周辺ではロングトーンが多く、ボーカルの良さが活きやすいです。私自身はタイアップとなった映画は視聴していないのですが、楽曲がたまたま街で流れていて耳に留まり、よく聴いた記憶があります。作詞作曲はaikoさん、編曲は島田昌典さんによりなされました。島田さんは、aikoさんと長らく縁のあるプロデューサーです。

　『KissHug』の音域的な特徴についてです。同曲は、女性の音域の範囲内で歌メロが作られており、一般的な女性でも原曲キーでの歌唱が可能そうです。また、低音域にも余地があるため、高音域が得意でない女性はキーを下げてもよいと思います。
　同曲は、AメロBメロサビと盛り上がり、それに従い、ボーカルの声域も少しずつ高くなっていきます。AメロではhiAまで、BメロではhiB、サビでは地声でhiC(裏声はhiD#)が要求されます。J-POP女性曲の音域としてはそこまで高くないですが、メロディーが美しいですので、安定した歌唱に努めたいです。器用な裏声発声は不可欠です。

　ちなみに、男性が同曲を歌唱する場合、通常はキーを下げた方が歌唱しやすいです。「高音域が非常に得意な男性」だと、原曲キーでの歌唱も可能かもしれません。ただ、高音域が得意な人でも通常は少しキーを下げた方が安定しやすいと私は推測しております。



　最後に『KissHug』の音域についてですが、【地声最低音】mid2A(A3)～【地声最高音】hiC(C5)、【裏声最高音】hiD#(D#5)で歌メロディーが構成されております。一般的な女性の音域の範囲内です。以下、見ていきます。

　まず、地声最高音hiCはサビで登場します。登場回数は4回程度です。このhiC以外では、hiBなどがサビを中心に登場します。このhiB,hiC辺りは女性の音域の範囲内であり、一般的な音域の女性でも原曲キーでの歌唱が可能そうです。ただ、このhiB,hiC辺りは慣れていないとスムーズな発声が損なわれやすいですので、ビギナーなどはキーを下げて練習してもよいと思います。また、高音域が得意でない女性はキーを下げるのもよいです。
　同曲は、サビ等で裏声が用いられております。そのため、裏声と地声の器用な使い分けは不可欠です。その点にも留意しながら練習を重ねてください。


　『KissHug』は低音域に余地があり、キー下げは可能です。同曲は地声音域もそこまで広くないため、ビギナー向けの調整もある程度可能なのではないかと私は推測しました。ただ、サビなどで裏声が要求され、ロングトーンも多いため、ビギナーには少し難しい部分もあります。もし難しいと感じた場合は、他の易しめの楽曲と並行して練習してください。メロディー自体は親しみやすく、音域が合うならば、練習曲としては比較的使いやすいと思います。

　『KissHug』を原曲キーで歌唱する場合、m2G#～hiCといった中高音をしっかり歌いこなせる力が求められます。今回はhiA～hiC辺りの回数はそこまで多くはありません。ただ、先述のようにhiC#,hiD#などの裏声は不可欠になります。こうしたことを踏まえると、「標準よりやや低め～ある程度高音域が得意な女性」が原曲キーに合いやすいと私は判断しました。


　『KissHug』はスローなポップであり、ロングトーンなども多く、ボーカルの良さが活きやすいです。難易度自体は滅茶苦茶には高くないですが、歌いこなせると気持ちよさそうに私は感じました。興味を持たれた方はチャレンジしてみてください。