『花火』( aiko ) の音域

　まず、『花火』についてです。この楽曲は、１９９９年に女性シンガーソングライターのaikoさんによりリリースされたシングル作品です。アルバムとしては、２０００年にリリースされた『桜の木の下』に収録されております。同アルバムは、『カブトムシ』(過去記事)、『桜の時』といったシングル曲が収められております。アルバムは、１５０万枚近いCDセールスを記録し、日本レコード協会よりミリオン認定がなされました。

　さて、『花火』はaikoさんの３枚目のシングルであり、ロングヒットを記録しました。この楽曲をきっかけにaikoさんの知名度が大きく上昇しました。シングルは最終的に２０万枚を超えるヒットを記録し、日本レコード協会よりプラチナ認定がなされます。また、最近はストリーミングランキングでもチャートインするようになっており、世代を超えた人気曲となっていることがうかがえます。aikoさんの代表的な楽曲の１つです。


　『花火』はアップテンポのポップナンバーです。歌メロはAメロBメロサビといった展開をしており、全体的にノリの良い親しみやすいポップ曲です。一方で、同曲はジャズのニュアンスが多く見られ、そうした点がこの楽曲やaikoさん自身の個性になっております。作詞作曲はaikoさん、編曲は島田昌典さんによりなされました。島田さんはaikoさんとの縁が深く、これまでに多くのヒット曲を世に送り出していきました。

　『花火』の音域的な特徴についてです。同曲は、女性の音域としては高めの（一部は明確に「高い」）レンジで歌メロが作られております。低音域に余地があるため、一般的には少しキーを下げた方が歌いやすいと思います。
　同曲は曲全体を通してhiAが高頻度で登場し、hiC辺りも比較的多いです。この辺りを安定して歌えると形になりやすいです。サビの一部やDメロ、ラストサビではhiD～hiFが登場するため、後半は特に力量が求められそうです。
　同曲は、ジャジーなニュアンスを持った作品ということもあってか、一部音程が取りづらい部分があります。私自身も「花火　カラオケ」といったキーワードで検索すると、「難しい」と予測変換が出ましたが、音程やリズムを意識しないと違和感が出やすい曲です。

　ちなみに、男性が同曲を歌唱する場合、通常はキーを下げた方が歌いやすいと思います。高音域が非常に得意な人だと、原曲キーでも歌唱可能かもしれませんが、高いクオリティーを維持し続ける場合、キーを下げた方がより安定すると思います。



　最後に『花火』の音域についてですが、【地声最低音】mid2A(A3)～【地声最高音】hiF(F5)で歌メロディーが構成されております。一般的な女性の音域と比べ、「高め～高い」といったところです。以下、見ていきます。

　まず、地声最低音mid2AはBメロで登場します。この辺りは女性の音域の範囲内であり、高音域がある程度得意な人でもしっかり歌いこなせるレンジだと思います。

　次に、地声最高音hiFはラストサビで登場します。登場回数は１～２回程度です。hiFは女性の音域としてはかなり高いですが、回数が少ないため、ある程度高音域が得意であれば試してみるのもよさそうです。今回の楽曲では、hiC,hiD,hiEについて、それぞれピークとなる場面が１８回、５回（アウトロ除く）、１回となっております。これらを踏まえると、一般的にはキーを下げた方が歌いやすいと思います。一つの目安ですが、原曲キーから１～２つ程度下げてみてください。


　『花火』は低音域に余地があり、キー下げは可能です。ある程度歌い慣れた人であれば、自分の得意とするレンジに調整することができそうです。一方、同曲はサビの一部やDメロで高音域が要求されたり、音程を取りにくかったりする場面もあります。そのため、ビギナーの練習曲としては少し使いにくいのではないかと私は推測しました。

　『花火』を原曲キーで歌唱する場合、hiA～hiD(hiF)といった中高音域をしっかり歌いこなせる力が求められます。今回は全体的にhiA,hiC辺りが多く、体力も要求されそうです。こうしたことを踏まえると、「標準より高め～高音域が得意な女性」などが原曲キーに合いやすいと私は判断しました。今回の楽曲は全体的に中高音寄りであるため、高音域が得意な人が有利になりやすそうです。


　『花火』はノリの良いポップであり、今も色褪せない名曲だと思います。一方、ノリの良い楽曲とは裏腹に歌詞は失恋が歌われており、明るくも切ない作品となっております。興味を持たれた方はチャレンジしてみてください。