『忘れてやらない』( 結束バンド ) の 音域

　まず、『忘れてやらない』についてです。この楽曲は、２０２２年にアニメ『ぼっち・ざ・ろっく』に登場するのロックバンド【結束バンド】によりリリースされたシングル作品です。アルバムとしては同じ年に発表されたアルバム『結束バンド』に収録されました。
　アルバム『結束バンド』は『ギターと孤独と蒼い惑星』（過去記事）や『星座になれたら』(過去記事)といった人気曲が収録されており、アニメの人気も相まって大きなヒットを記録しました。２０２３年１月時点で出荷ベース１０万枚の売上を記録し、日本レコード協会よりゴールド認定がなされております。２０２３年上期を代表するヒットアルバムの1つです。


　さて、『忘れてやらない』はアッパーなロックチューンであり、アニメ『ぼっち・ざ・ろっく』の１２話挿入歌として初披露されました。アニメでは学園祭の中で披露された１曲ということもあり、視聴していた人は印象に残っておられるのではないかと思います。レーベルで公開されているリリックビデオは１２００万回を超えており、人気の高さがうかがえます（２０２３年７月時点）。
　同曲の作詞はZAQさん、作曲は吉岡大地さん、編曲は三井律郎さんによりなされました。ZAQさんは先述の『ギターと孤独と蒼い惑星』の作詞でもお馴染みだと思います。吉岡さんは、この他に結束バンドの『ひみつ基地』という楽曲の作曲に携わっております。また、堀江由衣さん、中川翔子さん、宮川愛李さんへの楽曲提供でも知られております。

　『忘れてやらない』の音域的な特徴についてです。同曲は、女性の音域としてやや高めのレンジで歌メロが作られております。低音域には余地があるため、一般的には少しキーを下げた方が歌いやすいと思います。
　同曲は最低音がmid2Bとやや高く、その分中高音域の登場頻度が高くなっております。そのため、最高音がhiC#ではありますが、体力的に少し辛くなりやすいのではないかと私は分析しました。

　ちなみに、同曲を男性が歌唱する場合は、一般的にはキーを下げた方が歌いやすいです。音域だけを見ると「高音域が非常に得意な男性」などは原キーがマッチしそうに見えますが、先述のようにhiB,hiC#などの中高音域の割合が高く、体力的に辛くなりやすいです。そのため、高音域が得意な男性もキーを下げた方がマッチしやすいのではないかと思います。



　最後に『忘れてやらない』の音域についてですが、【地声最低音】mid2B(B3)～【地声最高音】hiC#(C#5)、【裏声最高音】hiC#(C#5)で歌メロディーが構成されております。一般的な女性の音域としては、やや高め～高めです。以下、見ていきます。

　まず、地声最低音mid2BはAメロやサビで登場します。この辺りは女性の音域の範囲内です。ただ、最低音がmid2Bだと、相対的にhiA以上の音階が増えます。今回もそうした傾向が強く、hiB以上が多く登場します。最低音が高い分、高音域が得意な女性などには非常にマッチしやすいと思います。

　次に、地声最高音hiC#はBメロやサビで登場します。登場回数は１５回程度と多いです。このhiC#に次ぐ高音としてはhiBをピークとする場面も２０回程度登場します。そのため、全体的に中高音が多く、体力的に辛くなりやすいです。そのため、一般的にはキーを少し下げた方が歌いやすいです。一つの目安ですが、原曲キーから１～２つ程度下げてみてください（♭１～♭２程度）。


　『忘れてやらない』は低音域に余地があり、キー下げはしやすいです。同曲は音域自体もそこまで広くないため、キー調整の融通は利きやすいといえます。また、メロディーやリズムもそこまで難しい部分が多くなく、ビギナーの練習曲などにも使いやすいと私は感じました。

　『忘れてやらない』を原曲キーで歌唱する場合、mid2G#～hiC#といった中高音域をしっかり歌いこなせる力が求められます。先述のように、今回はhiB,hiC#といった音階が多いため、人によっては体力的に辛くなりやすいと思います。
　こうしたことを踏まえると、「標準より(やや)高め～高音域が得意な女性」などが原曲キーに合いやすいと私は判断しました。今回は相対的に高音域が得意な人の方がマッチしやすそうです。


　『忘れてやらない』はノリの良いバンド曲であり、カラオケなどでも歌いやすいと思います。興味を持たれた方はチャレンジしてみてください。