『It’s a small world』(King Gnu)の音域

　まず、『It’s a small world』についてです。この楽曲は、２０１９年にロックバンドKing Gnuによりリリースされたアルバム『Sympa』（シンパ）に収録されております。同アルバムには、『Prayer X』(過去記事)、『Flash!!!』(過去記事)といったシングル曲が収められております。

　さて、『It’s a small world』は非シングル曲ですが、アルバムの発売に先立ちミュージックビデオが制作・公開されました。公開されたMVは２０２３年８月時点で約２１００万回の再生回数を記録しております。私個人としては、同曲は必ずしも多くの人にヒットするような作品ではないと考えております。その中で、同曲に多くの再生回数が集まっていることに、バンドの底力・人気の高さを再確認させられました。


　『It’s a small world』はチルな趣のあるバンド曲です。元々はアコースティックなセッションで披露されていた曲だったそうです。歌メロはAメロBメロサビという形が一応ありますが、J-POPでみられるような形ではなく、全体として落ち着いたニュアンスのあるラブソングとなっています。作詞作曲は常田大希さん、編曲はKing Gnuによりなされました。

　『It’s a small world』の音域的な特徴についてです。同曲は男性の音域の範囲内で歌メロが作られております。歌い慣れている人であれば、原曲キーでも歌唱することができそうです。
　同曲の低音域はmid1C#,mid1D#辺りであり、登場回数も多いです。高音域が得意な男性だと若干歌いにくいかもしれません。また、サビなどで裏声が求められます。この辺りはKing Gnuの作品としてはお馴染みだと思います。音域的には標準的ですが、低音～高音まで安定した歌唱が求められます。

　ちなみに、同曲を女性が歌唱する場合、通常はキーを上げた方が歌いやすいです。今回の低音はmic1C#辺りですので、女性にとっては原曲キーでの歌唱が困難です。女性の得意な声域などを考慮すると、低音域が得意な人でも、幾ばくかキーを上げた方がより歌いやすそうだと私は推測しています。



　最後に『It’s a small world』の音域についてですが、【地声最低音】lowG#(G#2)～【地声最高音】mid2F#(F#4)、【裏声最高音】hiC#(C#5)で歌メロディーが構成されております。一般的な男性の音域の範囲内です。以下、見ていきます。

　まず、地声最低音lowG#はAメロで登場します。この最低音lowG#については、歌い出しの瞬間的な音であるため、厳密な音程にこだわる必要性は低いと私は判断しました。このlowG#を除くと、低音域としてはmid1C#,mid1D#辺りが多く登場します。そのため、高音域が得意な男性だと若干歌いにくいかもしれません（場合によってはキーを上げてください）。

　次に、地声最高音mid2F#はAメロやサビで登場します。登場回数は５回程度で、いずれもmid2Fとコンボになっています。このmid2F#は一般的な男性の音域の範囲内ですが、慣れていないとスムーズな発声が損なわれやすいです。ただ、一般的な音域の男性も比較的克服しやすい音階ですので、少しずつ練習を重ねてみてください。


　『It’s a small world』は低音域に若干の余地があり、キー下げは可能です。歌い慣れた人であれば、ある程度自分が得意なレンジに調整することができると思います。一方、同曲はメロの音程が取りにくい場面があるなど、ビギナーには取っつきにくい側面もあります。キー調整などを考慮しても歌い慣れた人向けの楽曲だと私は考えました。
　同曲は、Aメロで音程が取りにくい場面があります。そのため、楽曲をよく聴き込んで音程をしっかり体にしみこませておきたいところです。

　『It’s a small world』を原曲キーで歌唱する場合、mid2D#～mid2F#といった中高音域をしっかり歌いこなせる力が求められます。また、低音域ではmid1C#,mid1D#辺りが連続して登場します。lowG#などにこだわる必要性は少ないですが、Aメロ等は低音感があると思います。裏声の高音も含め、低音域～まで安定した歌唱が求められます。
　こうしたことを踏まえると、「標準的な音域の男性～ある程度高音域が得意な男性」などが原曲キーに合いやすいと私は判断しました。逆に、高音域が得意すぎると、逆に低音域などは歌いにくいのではないかと私は推測しております。



【まとめ】

①歌い慣れた人向けだが、「標準的な音域の男性」も歌唱可能
②低音～高音まで広め（ただ、最低音にはこだわらなくてよい）
③人によってはAメロは若干音程が取りにくいかも