『Broken Heart of Gold』(ONE OK ROCK)の音域

　まず、『Broken Heart of Gold』についてです。この楽曲は、２０２１年にロックバンドONE OK ROCKによりリリースされたシングル作品です。配信限定のシングルとして発売されました。アルバムとしては、翌年に発表された『Luxury Disease』の日本盤に初収録されました（国際盤の方は未収録です）。アルバムには、『Wonder』(過去記事)、『Renegades』(過去記事)、『Save Yourself』(過去記事)などのシングル曲が収録されています。アルバムは10万枚を超えるCDセールスを記録し、日本レコード協会よりゴールド認定がなされました（ランキングデータブログBillion Hitsより引用）。

　さて、『Broken Heart of Gold』は、和月伸宏さんの漫画を原作とした映画『るろうに剣心 最終章 The Beginning』の主題歌として書き下ろされました。ワンオクは実写のるろ剣シリーズとは縁が深く、これまでに『The Beginning』(過去記事)、『Mighty Long Fall』(過去記事)、『Heartache』(過去記事)など多くのの主題歌を担当しております。


　『Broken Heart of Gold』の音域的な特徴についてです。同曲は、男性の音域としては高め～高いのレンジで歌メロが作られております。低音域に余地があるため、一般的にはキーを下げた方が歌いやすいです。
　同曲は、中高音としてはmid2F～hiA#辺りの音階がよく登場します。一方、低音域としてはmid1G#～mid2A#辺りが基本となっており、男性曲の低音としては高いです。こうした点を考慮すると、「中高音域が得意な男性」にマッチしやすい曲といえます。発声は地声ベースです。

　女性が同曲を歌唱する場合、通常は少しキーを上げた方が歌いやすそうです。今回は最高音がhiA#程度であるため、女性の得意な声域を考えると少しキーを上げた方が歌いやすいのではないかと私は分析しています。ただ、「標準より低めの音域の女性」などは原キーがマッチする可能性もあるので、実際に歌唱して微調整を加えてください。



　最後に『Broken Heart of Gold』の音域についてですが、【地声最低音】mid1D#(D#3)～【地声最高音】hiA#(A#4)で歌メロディーが構成されております。一般的な男性の音域と比べ、高め～高いです。以下、見ていきます。

　まず、地声最低音mid1D#はサビで登場します。このmid1D#は歌い出しの瞬間的な音であり、かなり聞き取りにくいです（一般的にはほとんど気にならない）。今回は低音域としてはmid1G#辺りがしっかり歌えると形になりやすいです。こうしたことから、男性曲の音域としては高く、相対的に中高音域が多く登場する楽曲であることが分かります。

　次に、地声最高音hiA#はサビやCメロで登場します。登場回数は７回程度です。このhiA#に次ぐ地声高音としては、mid2G#がピークとなる場面が全体で８回程度登場します。低音域の高さなどを考慮しても男性の音域としては高く、通常はキーを下げた方が歌いやすいです。一つの目安ですが、原曲キーから２～３つ程度下げてみてください。


　『Broken Heart of Gold』は低音域に余地があり、キー下げはしやすいです。今回の楽曲は基本的なメロがmid1G#～hiA#で作られており、見た目よりも音域は広くないです。そのため、キー調整に融通は利きやすく、歌い慣れた人であれば、ある程度自分が得意とするレンジに調整することができそうです。ビギナー向けの調整も可能ですが、キーを調整しただけでボーカルのTakaさんのような歌唱が出来るわけではないので、弛まぬ練習を続けてください。
　今回の楽曲はメロは分かりやすく、リズムなども比較的取りやすいです。音域がマッチするのであれば、練習曲としてはよいと思います。Takaさんはロック色の強い発声をしていますので、そうした曲に慣れている人の方が合いやすいです。しっとりしたバンド曲であるため、表現力が問われます

　『Broken Heart of Gold』を原曲キーで歌唱する場合、mid2F～hiA#といった中高音域をしっかり歌いこなせる力が求められます。今回はAメロではmid2F辺り、サビではmid2G#～hiA#辺りがよく見られます。一方、低音域はmid1G#～mid2A#であり、男性の音域としては高いです。
　こうした点を考慮すると、「ある程度～非常に高音域が得意な男性」などが原曲キーに合いやすいと私は判断しました。また、「標準より低めの音域の女性」なども原キーがマッチする可能性があります。


【まとめ】

①Aメロ⇒サビと盛り上がる。Aメロも含め、全体的に中高音寄りの曲
②原キーだと「「ある程度～非常に高音域が得意な男性」に合いそう
③「標準より低めの音域の女性」などにも合いうる（女性は通常はキー上げ推奨）
④メロやリズムなどは分かりやすい
⑤しっとりした曲であるため、表現力などの力量が問われる