『恋する惑星「アナタ」』(冨岡愛)の音域

　まず、『恋する惑星「アナタ」』についてです。この楽曲は、２０２４年に女性シンガーソングライターの冨岡愛さんによりリリースされたシングル作品です。配信限定のシングルとして発表されました。この記事を執筆時点でアルバムには未収録です。

　冨岡愛（とみおか あい）さんは、２０２１年よりTik Tokで音楽活動を開始。２０２２年には優里さんが審査員を務めた「ネクストブレイクシンガー発掘オーディション」で優勝を果たしました。２０２３年に発表された『グッバイバイ』は日本のみならず、韓国などアジア各国でも注目を集め、多くの再生回数を獲得しました。今後の益々の活躍が期待されるシンガーソングライターです。


　『恋する惑星「アナタ」』はNetflixで放送されたドラマ『恋愛バトルロワイヤル』の挿入歌としてタイアップが付きました。楽曲の質も相まって、ストリーミングなどでも高い人気を獲得しています。冨岡さんのYouTube公式チャンネルで公開されたMVも３５０万回のも再生回数を達成しており、活動間もない歌手としては異例の人気になっています。作詞作曲は冨岡愛さん、編曲はMEGさんによりなされました。


　『恋する惑星「アナタ」』の音域的な特徴についてです。同曲は女性の音域の範囲内で歌メロが作られています。多くの女性が原キーでの歌唱が可能そうですが、人によっては少しキーを上げてもよいかもしれません。
　同曲は中高音域としてmid2E～hiA辺りでメロが展開されます。この辺りはJ-POPの女性曲としては控えめな中高音レンジであり、冨岡さんの発声もしっとりしています。低音域についてはmid1Gやmid2Aなどが登場します。こうした点から、「標準より低めの音域の女性」などでも原曲キーでの歌唱が合いうると私は推測しています。反面、「高音域が得意な女性」などはキーを上げた方がより声質が活きやすい可能性があります。その辺りは実際に歌唱して微調整を加えてください。

　男性が同曲を歌唱する場合、通常はキーを下げた方が歌いやすいといえます。一つの目安ですが、原曲キーから２～３つ程度下げてみてください。今回は中高音の中心がmid2E～hiA程度でありますが、男性曲と異なりしっとりした曲です。こうしたことから、「高音域が非常に得意な男性」などの中には原キーがマッチする可能性があるものの、割合としては限定されると私は想定しています。



　最後に『恋する惑星「アナタ」』の音域についてですが、【地声最低音】mid1G(G3)～【地声最高音】hiA(A4)で歌メロディーが構成されております。一般的な女性の音域の範囲内（「標準より低め～やや低め」）です。以下、見ていきます。

　まず、地声最低音mid1GはAメロで登場します。この辺りは女性の音域の範囲内です。「高音域が得意な女性」などはいくらかキーを上げた方がより歌いやすい可能性があります。

　次に、地声最高音hiAはサビを中心に４回登場します。このhiAに次ぐ地声高音としては、mid2G#がピークとなる場面が全体で６回程度登場します。こうしたことから、大よそ女性の音域の範囲内といえます。J-POPの女性曲としては高音域が控えられた穏やかな曲になっています（タイトルから想起され鵜ように浮遊感がある）。そのため、多くの女性が原曲キーで歌唱可能そうです。ただ、優しいニュアンスの曲であるため、高音がキンキンになりそうであれば、少しキーを下げるのもよいと思います（高音域が苦手な女性などを想定）。


　『恋する惑星「アナタ」』は音域が滅茶苦茶には広くないため、キー調整しやすいです。今回はJ-POPの女性曲としてはやや中低音寄りですので、人によっては少しキーを上げた方が歌いやすい可能性があります。「ある程度～非常に高音域が得意な女性」などはキーを上げることも選択肢に入れてみてください。
　今回の楽曲は歌メロ自体は分かりやすく、リズムなども取りやすそうです。音域がマッチするのであれば練習曲に向きやすい楽曲だと思います。楽曲はしっとりしたニュアンスですので、その辺りもしっかり歌唱表現したいです。

　『恋する惑星「アナタ」』を原曲キーで歌唱する場合、mid2E～hiAといった中高音域がしっかり歌いこなせることが求められます。今回は全体的にmid2E～mid2G辺りが多く、要所でmid2G#やhiAが登場します。一方、低音域としてはmid1Gが登場し、mid2Aなどはよく見られます。
　こうした点を考慮すると、「標準より低め～標準より高めの音域の女性」などが原曲キーに合いやすいと私は判断しました。個人差はありますが、「ある程度～非常に高音域が得意な女性」などは少しキーを上げてもよいと思います。


【まとめ】

①J-POP女性曲としては高音がやや控えめのしっとりした曲
②原キーだと「標準より低め～標準より高めの音域の女性」などに合いそう
③男性だと「高音域が非常に得意な男性」に合うかも（通常はキー下げ推奨）
④メロがよく、リズムも分かりやすい。練習曲向き
⑤落ち着いた曲なので、声を張りすぎないように注意したい