カテゴリー

『Katharsis』(TK from 凛として時雨)の音域

こんにちは。今回はTK from 凛として時雨の『Katharsis』(2018)を取り上げたいと思います。よろしくお願いします。
 なお、今回はシャウトの場面が多く、その部分はやや正確性を欠くかもしれません(ちなみに、通信カラオケのDAMではシャウトは測定対象外となっており、裏声のhiG#が最高音となっております)。その辺りも踏まえて、ご拝読ください。


『Katharsis』(TK from 凛として時雨)
『Katharsis』(TK from 凛として時雨)の音域






【地声最低音】mid1G#(G#3) 

★いつか君と見ていたこのけしm1G#[き]【Aメロ】


【地声最高音】hihiA(A5)  ※シャウト部分で2回

★罰を僕にあhiG#G[たえ]よ]hihiA[たえ]hiG#[よ]【2番サビ】
hiD[僕を刺し]hiG#hihiA[ナイフ[さえ]も]【ラストサビ2】


【裏声最高音】hiG#(G#5) ※ラストのサビで登場

★(君はまだ)僕を愛hiChiC#[し[て]はくれ]hiG#G[る]の]【ラストサビ1】
hiC[僕]hiG[じゃな]hiG#[きゃ] hiC#[ぼ]hiD#[く]C#C[じゃ][メ]だ]


【補足】hiChiG#を含むフレーズ一覧

★m2G#[例ええば目が]覚めて [すべては幻]hiA#[だっ]hiC裏[て]【Aメロ】
★(奇跡めいた妄想を)かhiC地[な]hiA#[え]m2G#[て]欲しいんだ
hiC裏[Uh~] hiD#[僕]hiC#[がえ]hiC[がい]hiA#[たつ]みで hiC[Uh] uh

★さhiD#[さやくように]hiF地[刺し]【サビ】
★ひhiA#[かりに満]hiCC#[ち[たさ]よ]A#[な]らを
★I’ll hiF裏[miss] hiD#[you] I’ll hiC#[miss] C[you] 罪はC#C[いつ]か]滅び[る]
★(僕のせいで)こhiG裏[われたもの]hiD#地[だ]hiC#C[け]が] 
★うhiC#hiC[つ]る] 溢C#C[れ]る] かhiA#[なわない妄]

★いつのhiF裏[間に]hiD#[か] hiC#[と]D#[ら]C#C[わ][て]も]【ラストサビ1】
★(「僕じゃなきゃ」)hiG#[がループする]

hiD[罪も罰]hiC[も]D[く][も]D[君も 滅せ][ずに]hiD#[残され]D[てし]C[まっ]【ラストサビ2】
★(いつかきっと)ひhiG#hiF#[かり][射す][ら]

 まず、『Katharsis』(カタルシス)についてです。この楽曲は、2018年に男性シンガーソングライターのTK from 凛として時雨によりリリースされたシングル作品です。配信限定でリリースされたのちに、CDシングルとしても発売されました。アルバムとしては、2020年にリリースされたフルアルバム『彩脳』(さいのう)に収録されました。
 アルバム『彩脳』は、他者とのコラボレーションが多く含まれた作品であり、そうした意味も含めて「多彩な才能」という意味を込めてタイトルを命名されたそうです。BOBOさんなど従来のメンバーに加え、Salyuさん、ゲスの極み乙女。のキーボーディスト・ちゃんMARIさん、ヨルシカのボーカルsuis(スイ)さん、トオミヨウさんなどが作品に携わっております。また、作詞については、漫画家の石田スイさん、お笑い芸人で小説家のピース又吉さん(作詞監修)もかかわっております。


 さて、シングル『Katharsis』は石田スイさんの同名漫画を原作としたアニメ『東京喰種トーキョーグール:re』のために書き下ろされました。同漫画は、全世界での累計発行部数が4700万部を超えている人気作であります。TKさんは以前にもグールのために『unravel』(過去記事)を書き下ろしております。『Katharsis』は凛として時雨のYouTube公式チャンネルでMVが公開されており、2021年10月現在、2300万回を超える再生回数を記録しております。『unravel』同様に大きな人気を集めており、特に外国からのコメントが非常に多いのが印象的です。


 『Katharsis』はアップテンポのバンドナンバーであります。バイオリンなども演奏に加わっており、楽曲に彩りを与えております。ラストの部分(【ラストサビ2】と分類しております)では転調しており、盛り上がりが最高潮になります。全体としてテクニカルな演奏が印象的であります。また、TKさんらしくボーカルの音域が極めて高いです。


 『Katharsis』の声域的な特徴についてです。同曲は、上述のように男声としては極めて高いレンジで作られておりシャウトの部分を除いてもhiD#やhiFといった地声音域、hiG,hiG#辺りの裏声音域が要求されます。原曲キーでの歌唱が極めて困難であり、ただただ圧倒されてしまします。
 『東京喰種』自体は私も原作漫画を読んでいたのですが、作品の狂気的な側面は、テクニカルな演奏やTKさんのシャウトなどの歌唱表現に反映されているのではないかと感じます。こうした安定した高音域の表現ができればいいなぁと私も強く思いました。


 最後に『Katharsis』の音域についてですが、【地声最低音】mid1G#(G#3)~【地声最高音】hihiA(A5)、【裏声最高音】hiG#(G#5)で歌メロディーが構成されております。一般的な男性の音域よりも極めて高い(女性の声域でも高い方)です。以下、見ていきます。

 まず、地声最低音mid1G#についてはAメロで登場します。回数自体は多くなく、男性だとそこまで難しくない音階だと思います。
 ただ、このmid1G#辺りが男声曲の最低音となる場合は、「キーの高い男性曲」に分類されやすいです(本作は「キーが高い」では収まらない高音域ですが)。


 一方、地声最高音hihiA(A5)は2番サビとラストのサビで登場します。シャウトの場面ですが、実はこれらのフレーズについては、通信カラオケのDAMでは分析の対象外となっておりました。そのため、『Katharsis』の他の音域分析サイトなどとは最高音も異なるかもしれません。
 実際に歌唱する際、このhihiAについてはそこまで厳密にこだわる必要性はないと思います。音程は原曲に沿えるに越したことはないですが、シャウトのような声色が表現できることが特に重要です。曲全体で多く登場するシャウトについてはhiG以上が多く登場し、非常に高いです。

 このhihiAなどのシャウト場面を除くと、地声最高音としてはhiFが複数回登場します。ここはサビ頭の部分であり、TKさんはサラッと歌唱されております。この辺りは一般的な男性の声域としては極めて高いですので、キーを下げた方が歌いやすいです。


 『Katharsis』は低音部分に余裕があり、キー調整は可能です。ただ、同曲は、元々男性の声域としては極めて高く、一般的な声域に合わせたとしても原曲のような表現にはなりにくいのではないかと思います。キーを調整するにしても高音域が得意な人向けであり、ハイトーンがしっかりコントロールされる必要があります。

 『Katharsis』を原曲キーで歌唱する場合、hiF以上の高音域が裏声地声ともにしっかりコントロールされる必要があります。無理矢理に高音域を出すことも可能かもしれませんが、それをしっかりと「歌唱表現」として昇華するためには力量が要求されます。全体として極めて高いハードルですが、それらを踏まえて練習に励んでください。女性が歌うにしても声質などの面で大変かもしれませんが、声域的には声の高い女性の方が合いやすいです。

 『Katharsis』は全体として難易度が高いですが、歌いこなせると非常にカッコイイと思いますし、YouTubeなどで公開されると話題になるのではないかと思います。私自身は到底歌いなせないですが、ラストのサビのシャウトなどは表現の参考できればいいなとも感じました。興味を持たれた方はチャレンジしてみてください。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

コメント

  1. 齋藤 より:

    投稿お疲れ様です
    いつも楽しく拝見させてもらってます!
    TKさん喋り声はそんなに高いわけではないのにこんな驚異的な音域で歌われてるのは本当にすごいし、これをギター弾きながら歌ってるのはもう意味わかりませんねw

    • もりっしー より:

      コメントありがとうございます。

      そうですね。ホントに凄いです。
      あと、TKさん身長も結構高い方ですよね。
      高音が得意な方は大体小柄な方が多いはずなんですが。

  2. 齋藤 より:

    TKさんはこれでリードギターできてライブも安定してるのはえぐいですw
    TKさんや川上洋平さんとか秦基博さんとか見てるとやはり身長じゃなくてトレーニングなんだな〜と思いますね
    個人的にギタボで1番コピー難しいのはTKさんだと思ってます

    • もりっしー より:

      TKさんはギターも大変ですよね。
      確かに高身長でもハイトーンといえば、川上さんや秦基博さん思い浮かびますね。