『Departure!』(小野正利)の音域 / アニメ『HUNTER×HUNTER』OP曲

　こんにちは。今回は小野正利さんの『Departure!』(2011)を取り上げたいと思います。よろしくお願いします。今回はリクエストによる選曲です。当ブログで、ソロとしての小野正利さんの作品を取り上げるのは今回が初となります(小野さんがボーカルを務めるロックバンドGALNERYUSについては『RAISE MY SWORD』(過去記事)という楽曲を以前に取り上げました)。

　なお、『Departure!』は小野正利さんのYouTube公式チャンネルでは、オリジナルアレンジで小野さん自身が歌唱する動画が公開されております。当ブログでも、その動画を添付いたします。

『Departure!』(小野正利)、Departure!(Masatoshi Ono)

【地声最低音】mid1G#(G#3) 　

★m2F[孤]m1G#[独]F[で]も [ひ]とりじゃないさ【Aメロ】

★生まれてきたm1G#[こ]とに必ず意味m2F[が]ある

【地声最高音】hiC(C5) 　※曲全体で10回程度

★はhiA–hiA#[じ[ま]り[は]い]hiC[つ]A#–A[で]も[お]そ]くなC–hiB[い]さ]【サビ】

★飛び出そm2G[うあ]hiA#[し]hiC[た]【2番・ラストサビ】

【補足】mid2F#～hiA#を含むフレーズ一覧

★優しさに満ち溢れてる青い地球m2F#–m2F[に]あ]りがとう【Aメロ】
★You can m2G#–hiA#[smile [a]gain] m2F#-m2F[た]い]よう浴び[て]【Bメロ】
★(You can fly away) 世界は君のかm2F[が]やF–m2F#[き[を]待っ[て]る]

★m2F[だ]いちを[踏みし]め[て] [き]みは[目]m2F#[覚めて]い[く]【サビ】
★m2F#[て]んし[の]m2G[微笑]み{で] 連G–G#–hiA#[れ[出[して!]
★何度m2G[で]hiA#–hiA[も立ち]上[がれ!]

　まず、小野正利（おのまさとし）さんについて少し説明します。小野正利さんは、1992年にメジャーデビューした男性シンガーです。同じ年にリリースしたシングル『You’re the Only…』がミリオンヒットを記録、その年の紅白歌合戦にも出場しました。今もなおカラオケなどで多く歌われる人気曲です。

　小野さんは広い音域のハイトーンボーカルを特徴としており、ハードロックやヘヴィメタルなどと非常に相性が良い声質を有しております。2009年には、メタルバンドGALNERYUSのボーカルとして加入し、海外のフェスなどにも参加されております。2000年代以降は、バンド、ソロとしてもアニメの主題歌なども担当するようになり、関連作品を視聴している方にはお馴染みかもしれません。
　

　さて、『Departure!』（デパーチャー）についてです。この楽曲は、2011年に男性歌手の小野正利さんによりリリースされたシングル作品で、冨樫義博さんの同名漫画を原作としたアニメ『HUNTER×HUNTER』のオープニングテーマに起用されました。作詞作曲を羽場仁志さん、編曲を新屋豊さんが担当されております。

　『Departure!』はアップテンポのバンドナンバーです。小野さんは、先述のようにハードロックやメタルなどの影響を受けた歌手ですが、楽曲自体は比較的ポップ色が強めといえます。歌メロは頭サビで始まり、AメロBメロサビと展開します。アニメの主題歌ということもあり、歌メロ自体も全体的に元気がいいです。
　ちなみに、私自身音域調査をしていて感じたのですが、サビメロは意外と音程が取りにくいです。カラオケなどの際は注意したいところです。

　『Departure!』の音域的な特徴についてです。同曲は、小野正利さんの楽曲ということもあり、一般的な男性の音域としては高いです。そのため、通常はキーを下げた方が歌いやすいといえます。
　同曲は、音域だけを見ると女性の声域と近似します。そのため、どちらかといえば女性の方が原曲キーでのチャレンジがしやすいと思います。ちなみに、『HUNTER×HUNTER』のキャラソンアルバムでは、主要キャラを演じた声優の潘めぐみさん、伊瀬茉莉也さんがそれぞれ『Departure!』をカバーしております（両者とも原曲よりも1つ低いキー）。この辺りもキー調整の参考になるのではないかと思います。

　最後に『Departure!』の音域についてですが、【地声最低音】mid1G#(G#3)～【地声最高音】hiC(C5)で歌メロディーが構成されております。一般的な男性の音域と比べて高いです。以下、見ていきます。

　まず、地声最低音mid1G#についてはAメロで登場します。この辺りは一般的男性の音域の範囲内であり、発声自体もそこまで難しくないと思います。一方で、地声最低音mid1G#辺りの男性曲は、ほぼ「男性曲としては高く、スタミナが求められる傾向が強い」といってよいと思います。今回の『Departure!』についてもそうした傾向が如実に表れております。
　反面、地声最低音が男声曲としては高めということもあり、女性が原曲キーで歌唱することも可能であるといえます。ただ、歌い慣れていない女性や、高音域が特印でない女性はキーを下げてもよいと思います。その辺りは、各自試してみてください。

　次に、地声最高音hiCはサビを中心に登場します。登場回数は10回程度と多いです。また、hiC自体が男声曲としてはかなり高く、通常はキーを下げた方が歌いやすいといえます。一つの目安ですが、原曲キーから３～４つ程度を目安に下げてみてください（♭３～♭４）。

　『Departure!』は音域自体が滅茶苦茶に広くなく、キー調整の融通は利きやすいです。歌い慣れた人であれば、自分の得意なレンジに調整することができるといえます。ただ、原曲の地声最高音がhiCなので、一般的な男性が歌いやすいレンジに合わせるためには、大きなキー調整が必要になります。そのため、かえって歌いにくく感じる人も多いかもしれません。キーを調整するにしても、ある程度高音域が得意な人の方が合いそうです。

　『Departure!』を原曲キーで歌唱する場合、hiC,hiA#といった高音階をしっかり歌いこなせる力が求められます。この辺りは男性の音域としては非常に高いです。そのため、「高音域が（非常に）得意な男性」などが合いやすいです。また、「標準的な音域の女性」なども形になりやすいと思います。
　小野さんは、ハードロックやメタルなどで多く用いられるような発声を得意としております。この『Departure!』ではハードロックやヘヴィメタル系の発声を学ぶ上でもよいのではないかと私自身は分析しました。

　『Departure!』はアニメのオープニング曲らしい元気なバンド曲です。興味を持たれた方はチャレンジしてみてください。