こんにちは。今回は椎名林檎さんの『歌舞伎町の女王』(1998)を取り上げたいと思います。よろしくお願いします。


『歌舞伎町の女王』(椎名林檎),Kabukicho no Joou


【地声最低音】mid2A#(A#3)  

★皺々の祖母の手を離れ 独りで訪れ[た]歓楽街(1番Aメロ)
★毎週金hiA[曜]日に来ていた[お]とこと暮らすの[だ]ろう(1番サビ)


【地声最高音】hiC(C5)  

★今夜からはhiB[此]の町で娘のあたhiB[し]hiC[女]hiD#裏[王](ラスト)



【裏声最高音】hiE(E5) 

★JR(hiA[あー]る)hiB[しん]じゅhiE裏[く]駅の東口を出たら(ラストサビ)


【補足】hiA,hiBの注意点

★蝉の声をhiA[聞]く度に(1番Aメロ)
★「一度栄えhiB[し]者でも必ずや衰えゆく」(転調後2番Aメロ)
★足を踏み入れたはかんhiA[ら]くがい
★消hiA[え]hiB[行っ]た女を憎めど夏は今hiA[ぁ]ぁ(2番サビ)

『歌舞伎町の女王』(椎名林檎)









 まず、『歌舞伎町の女王』についてです。この楽曲はシンガーソングライターの椎名林檎さんが1998年にリリースしたシングル作品です。翌年にリリースされたアルバム『無罪モラトリアム』にも収録されました。編曲は亀田誠治さんによりなされています。亀田誠治さんは椎名林檎さんのプロデュースにより名が広く知られるようになります。
 椎名林檎さんは歌詞を含め、独特な世界観が特徴的なミュージシャンですが、そのイメージを作り上げた楽曲がこの『歌舞伎町の女王』かもしれません。以前、椎名林檎さんが『ポップスは3分間のファンタジー』だと仰られたを記事を拝見したことがあります。
 『歌舞伎町の女王』は椎名林檎さんのYouTube公式チャンネルでMVが公開されており、2019年6月現在、1400万回もの再生回数を記録しております。椎名林檎さんの初期の作品では高い人気を誇る楽曲だと思います。

 『歌舞伎町の女王』の歌詞についてですが、「歌舞伎町の女王」と呼ばれていた母と、その後を継いで「あたし」が新しい「歌舞伎町の女王」となるという物語が描かれています。ちなみに歌舞伎町は東京都新宿区に実在する街であり、ラブホテル、居酒屋、ホストクラブ、キャバクラなどが立ち並ぶ有名な歓楽街です。非常にフィクション性が強い作品であり、共感的な歌詞というよりも物語を楽しむ楽曲だと思います。一方で、キャバクラなどの歓楽街で働く人の中には、歌詞に勇気づけられている人も居るかもしれません。
 個人的に好きなフレーズは「女に成ったあたしが売るのは自分だけで 同情を欲したときに全てを失うだろう」という部分です。また、サウンドも非常にかっこいいです。イントロのギターもかっこいいですが、アレンジャーの亀田誠治さんがベーシストということもあり、ベースラインも非常に耳に残ります。





 さて、『歌舞伎町の女王』の音域についてですが、【地声最低音】mid2A#(A#3) ~【地声最高音】hiC(C5) 、【裏声最高音】hiE(E5)でメロディーが構成されております。地声に関してはおおよそ一般的な女性の音域の範囲内であると思います。

 まず、『歌舞伎町の女王』は2番に入るとAメロから転調し、キーが2つ上がります。【補足】の部分で記述していますが、Aメロの同じフレーズ(「蝉の声をhiA[聞]く度に」と「一度栄えhiB[し]者でも」の箇所)で音階がhiAからhiBに変化しています。歌詞内容的には「母の物語」から「娘の物語」に移る場面でもあります。
 そこが一つの注意点ですが、基本的に地声はhiAやhiBといった音階が最高音になります。この辺りは一般的な女性の音階ですので、歌い慣れている人であれば、上手く歌いこなせると思います。一方で、椎名林檎さんの巻き舌などを交えた独特な歌唱を真似ると難易度が上がると思ってください。
 
 楽曲のラストで地声のhiCが登場します。「娘のあたhiB[し]hiC[女]hiD#裏[王]」の部分です。この場面は無理して地声で発声する必要は無いと思います。椎名さん自身はライブでは楽曲のアレンジ次第で地声や裏声で使い分けています。高い声が苦手な人はこの場面は裏声でもよいです。それでニュアンスが大きく崩れることは無いと思います。

 この『歌舞伎町の女王』は個性や物語性が強く、必ずしも多くの人の共感を集めるような楽曲ではありません。しかし、地声音域は広すぎず、またhiA,hiBといった音階が楽曲の中心で頻出します。歌謡的なメロディーでもありますので、練習曲には使いやすい楽曲の一つだと思います(椎名林檎さんの歌唱法までは真似しなくてもよい)。