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『みなと』(スピッツ)の音域と感想

 こんにちは。今回はスピッツの『みなと』(2016)を取り上げたいと思います。よろしくお願いします。

『みなと』(スピッツ)、Minato(Spitz)



【地声最低音】mid1G#(G#3)

★船に[]るわけじゃなく だけど僕は港にいる 
★知らない人だらけの隙間で 5g11f[]ち[止まる]


【地声最高音】hiA(A4)

mid2G#[]みとhiA[もう][い]ちど会うために[つ]2G#[く]った歌さ



【補足】mid2F#mid2G#などつまづきやすい箇所

★汚れmid2F#[て]る野良猫2F#[に]も いつし[か]優しくなるユニバース
mid2G#[た][そ]が[れ]に


『みなと』(スピッツ)











 まず、『みなと』についてです。この楽曲は2016年にシングル曲としてリリースされ、同年発売されたアルバム『醒めない』にも収録されました。タイアップとしてはNTT東日本の企業CMのタイアップが付きました。先日プロ野球選手としての引退を表明したメジャーリーガーのイチロー選手が、当時出演していたCMで話題になりました。
 スピッツのYouTube公式チャンネルでは2019年現在、930万回もの再生回数を記録しております。近年のスピッツの作品の中では非常に高い再生回数です。

 『みなと』のサウンドについてですが、特筆すべき点は、エレキギター等の残響音が強調されているところだと思います。鳴らされた音そのものだけでなく、音そのものの響きが非常に生かされています。非常に立体的なものを感じます。スピッツの過去の作品で言えば、『水色の街』などもそうした傾向があります。
 メロディーについては、Bメロとサビが合体したような構成になっている点が非常に特徴的だと思います。それにより、冗長な表現が避けられています。必ずしもドラマティックな展開ではありませんが、スピッツらしい長く愛される作品なのではないかと思います。


 『みなと』の歌詞についてです。作詞を行う草野マサムネさんは楽曲の歌詞について語ることはほとんどありませんが、この『みなと』は東日本大震災をイメージして書かれた作品だと解釈されることが多いようです。一般的に、災害をきっかけに書かれた楽曲は前向きな歌詞になることが多いと思います。しかし、この楽曲は必ずしも「前へ前へ」といった歌詞ではありません。また、「傷付いた人を包み込む」といったものでもないと思います。しかし、「汚れてる野良猫にもいつしか優しくなるユニバース」など、どこか温かみのあるフレーズがちりばめられています。明確なメッセージがあるわけではないですが、非常に繊細な歌詞だと思います。




 

 さて、『みなと』の音域についてですが、地声最低音mid1G#(G#3)~地声最高音 hiA(A4)でメロディーが構成されております。

 図にも示しておりますが、一般的な男性の音域よりはやや高いです。歌い慣れていない人の場合は、「汚れてる野良猫にも~」辺りのフレーズでつまづく可能性があります。mid2F#やmid2G#の音階です。通常の男性ボーカルならば、この辺でサビが作られることも多いです。そうした点は留意しておいてください。
 努力の結果、『みなと』のBメロまでのフレーズが歌いこなせるレベルに達したならば、カラオケなどでかなり幅が広がると思います。

 歌い慣れていない人や、声が低い人はキーを下げるという選択肢も十分アリです。『みなと』は音域自体は広くないので、キーを下げて歌うと上手く行くことも多いと思います。原曲キーが重視されがちですが、「キーを下げると上手く歌える」ならば、それだけで十分すごいです。

 
 さて、『みなと』ですが、図に示したように、女性が歌うことも可能な楽曲です。むしろ、女性の方が歌いこなしやすいといえるかもしれません。「元々声も高くなく、女性ボーカルの曲の多くが歌えない」という女性は、スピッツの楽曲を選択肢に入れておくと良いと思います。

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