こんにちは。今回はスピッツの『青い車』(1994)を取り上げたいと思います。よろしくお願いします。


『青い車』(スピッツ)、Aoi Kuruma(Spitz)


【地声最低音】mid1F#(F#3)  ※Cメロで登場



【地声最高音】hiB(B4)  ※サビで登場

hiA[い]mid2G#[ま] mid2F#[変][わ][ーっ]hiB[て][い][く]hiA[ーよ](サビ)


【補足】mid2F#hiAの注意箇所

★君のmid2F#[青い車で海へ行]mid2G#[こう] (サビ)
★おmid2G#[いてきた何かを見]mid2F#に]G#[行]hiA[こう]
hiA[し]2G#[お]mid2F#[の]においがしみこんmid1F#[だ](Cメロ) ※最低音箇所

『青い車』(スピッツ)









 まず、『青い車』についてです。この楽曲は1994年にスピッツによりリリースされたシングル作品です。大体、この頃からスピッツが世間から注目され始めます。その後、リリースされたアルバム『空の飛び方』にも収録されました。編曲はスピッツと土方隆行さんによりなされました。土方さんはギタリストとしても活躍されています。
 『青い車』はスピッツのYouTube公式チャンネルでもMVが公開されており、2019年8月現在、約500万回もの再生回数を記録しています。シングルコレクションなどにも収録されているため、比較的知名度の高い楽曲であると思います。

 青い車のサウンドについてです。夏らしい疾走感のあるギターロックです。イントロの象徴的なギターストロークはボーカルの草野マサムネさんが演奏しています。一方、ギタリストの三輪テツヤさんは、アルペジオを中心とした爽やかなギターサウンドを奏でます。このギターの音色もスピッツらしさの一つと言えると思います。ベースも縦横無尽に音色を奏でており、非常に耳に残ります。元々、B面として収録される予定でしたが、疾走感のあるアレンジで完成度が高まったために、A面に繰り上がりました。今聴いても色褪せない夏らしいアレンジだと思います。

 歌メロについてはAメロとサビとCメロで構成されています。非常にシンプルです。一方で、サビのキーは高めです。このキーを歌いながら、象徴的なギターストロークを演奏する草野さんは非常に大変だと思います。

 歌詞についてです。非常に賛否両論ある歌詞だと思いますが、個人的には非常に好きです。否として挙げられる点が、サビの「輪廻の果てへ飛び下りよう 終わりなき夢に落ちて行こう」だと思います。「君の青い車で海へいこう」からこのフレーズに続くため、身投げや無理心中などを想起させると言われています。個人的にはこのフレーズが無ければ、自動車会社のCMソングとしてタイアップが付いてもおかしくない爽やかな楽曲だと思います。
 スピッツの歌詞は爽やかなラブソングだと言われることが多いですが、一方で作詞者の草野マサムネさんは歌詞のテーマとしてバンド結成当初は「性と死」を掲げていました(「生と死」ではありません)。シングル曲の多くではこれらの描写が薄められていますが、この『青い車』では死の部分がとりわけ色濃く描き出されています。
 仏教的には「輪廻の果て」というのは「苦しみからの解放」を意味するそうです。しかし、私達一般人には「輪廻」と聞くと、「現世の終わり」すなわち「死」を連想してしまします。スピッツの歌詞は、爽やかさの中に陰が垣間見えるのが特徴の一つだと言えます。
  
 


 最後に、『青い車』の音域についてですが、【地声最低音】mid1F#(F#3) ~【地声最高音】hiB(B4) でメロディーが構成されております。一般的な男性の音域よりも高いです。

 まず、地声最高音のhiBです。私は高音部の対処法として「裏声」を挙げることが多いです。しかし、『青い車』のアレンジなどを考えると、裏声で歌うのは難しいと思います。疾走感のあるギターサウンドでボーカルが爽やかでクリアなハイトーンであるため、裏声だとニュアンスが崩れてしまいます。また、高音部の位置などを考えると、このhiBの箇所だけ裏声で歌うのも非常に難しいです。故に、「裏声で対処する」という方法は今回は使えません。

 一般的な音域の男性の場合は、素直にキーを下げるのが吉だと思います。原曲キーから3程度下げると歌いやすくなると思います。この場合だと、最高音がmid2G#に設定されます。

 スピッツの楽曲は音域自体は広いわけではないので、キー調整がしやすく、歌の練習にも使いやすいです。最近はキーを下げるアプリなどもあるようなので試してみると良いかもしれません。
 ちなみに、普段歌い慣れていない人は原曲-3の音階であっても高音部がスムーズに発声できないと思います。その際は思い切って、もっとキーを下げても良いと思います。スピッツは男性の音域と比べると低音部に大きく余裕があるので、キーを思い切り下げても大丈夫な楽曲が多いです。

 逆に、『青い車』は女性の方が歌いやすいキーかもしれません。一般的な音域の女性の場合は、やや低音部がキツイと思いますので、少しキーを上げると良いと思います。歌詞内容的にもスピッツの楽曲は性差を限定しないので、女性でも歌いやすい楽曲だと思います。