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『ラブレター』(YOASOBI)の音域

こんにちは。今回はYOASOBIの『ラブレター』(2021)を取り上げたいと思います。よろしくお願いします。今回はリクエストによる選曲です。なお、同曲は裏声と地声の区別が若干難しい部分があります。その辺りも踏まえて、ご拝読ください。歌唱する際は、各々の声域などを加味して、地声裏声を切り分けるとよいと思います。


『ラブレター』(YOASOBI)、Love Letter(YOASOBI)
『ラブレター』(YOASOBI)の音域







【地声最低音】mid1F#(F#3) 

★どんな時もあなたの m1F#[こ]m1G[と]ば、F#[こ]G[え]を聴いているだけで【Bメロ】


【地声最高音】hiC#(C#5)  ※終盤で登場

★どうか1000年先hiC[も]どうか鳴り止hiA#[ま]hiC[な]hiC#[い][で]【ラスト】


【裏声最高音】hiF(F5) ※ラストサビ[転調+1]で登場

★(歩いていくんだ)hiF裏[いつ]hiA#hiC[い[つ]ま]でも【ラストサビ[転調+1]】
★(辛い暗い痛いことも)たhiF裏[く]hiD#[さん]hiC#[る]hiC[け]
hiF[Ah] hiD#[Ah] hiC[い]A#[つ]も本当にありがとう【ラスト】

※①1番サビではhiEが最高音。②☆の[Ah Ah]は歌詞表記無し

【補足】hiBhiEを含むフレーズ一覧

★初めまして大好きな音楽へ ずっと考えhiA[て]たこと【Aメロ】
★ちょっと照れ臭いけれど ずっとおhiA#[もっ]ていたこと

★救われたんだ支えらhiA[れ]hiB[て]hiC[き]たんだ (心が動かされるんです)【Cメロ】
★ねえもっと触れhiBhiA[て][た]い]よ ずっとそばにいA[て]ほしいよ
hiB[い]hiC[つ]hiD[ま]hiE[で]も だBCDE[い][す][き][な]hiE[あ]B[たが]
hiB[ひ]hiA[び]いていますhiC[よう]B[に]

★きっと届いてくれたよね 全部私の素直なhiBhiA[こ][ば]だから【ラストサビ前Aメロ】
★もしもあなたに出会えhiAhiB[て[な]かっ]たらなんて

★さあ わhiA#[らっ][泣い]hiD#裏[そん]A#hiC[ま[い]にち]【ラストサビ[転調+1]】
★そんhiC[な]hiA#[と]きもきっとあhiD#裏[な]hiC#[た]C[が]いて[くれ] れば

hiC[こん]hiA#[な][持][に]C[な][る]のは【ラスト】
hiC[こん]な想いがでhiD#[き]るのは

 まず、『ラブレター』についてです。この楽曲は、2021年に2人組音楽ユニットYOASOBI(ヨアソビ)によりリリースされたシングル作品です。配信限定のシングルであり、また最新曲であるため、アルバムなどには未収録であります。
 YOASOBIは小説などを原作に楽曲を制作するスタイルを取っております。今作の『ラブレター』はラジオのリスナーから募集した手紙から楽曲を制作する「レターソングプロジェクト」が企画されました(日本郵便がスポンサーとなっております)。その中で、はつねさんによる手紙「音楽さんへ」を原作として、制作されております。

 『ラブレター』はミディアムテンポのポップナンバーです。ホーンアレンジなどが用いられておりますが、大阪桐蔭高等学校の吹奏楽部が演奏に加わっているそうです。作詞作曲アレンジはAyaseさんによりなされておりますが、ブラスアレンジとして郷間幹男さんが加わっております。
 歌メロはAメロBメロサビといった形で作られておりますが、2番以降はそれが踏襲されずに、Cメロなどを挟んでラストのサビへと展開します。そのため、演奏時間が3分半程度と非常にコンパクトになっております。ラストのサビでは転調が行われ、キーが1つ上がります(#1)。転調アレンジは、YOASOBIなどではお馴染みです。

 J-POPの楽曲の構成はよく「AメロBメロサビ」などといわれますが、私自身は時代ごとに意外と特徴があるように感じております。J-POP以前に日本の音楽が「歌謡曲」などと括られれていた時代は「Aメロサビ(orBメロ)」の構成になっているものが非常に多かったイメージです。
 最近は、90年代頃からよく見られていた「AメロBメロサビ」の形が少しずつ崩れているようにも感じます。今回の『ラブレター』も1番ではAメロBメロサビのような形ですが、2番以降はそれが繰り返されておらず、その分演奏時間も短くなっております。

 『ラブレター』の音域的な特徴についてです。同曲は女性としては音域がかなり広く、とりわけ裏声の登場回数が多いです。地声音域はおおよそ一般的な女性の声域の範囲内とも言えますが、裏声と地声の往来が激しく、器用な発声が求められます。また、「裏声」1つをとっても微妙に変化を加えられており、ボーカルikuraさんの歌唱力の高さがうかがえます。


 最後に『ラブレター』の音域についてですが、【地声最低音】mid1F#(F#3)~【地声最高音】hiC#(C#5)、【裏声最高音】hiF(F5)で歌メロディーが構成されております。一般的な女性の声域よりもやや高めで、音域が広いです。以下、見ていきます。

 まず、地声最高音hiC#についてはラストのサビ等で登場します。この辺りは一般的な女性の声域の範囲内といえます。ただ、同曲は、サビやCメロなどの割合が大きく、これらのパートでは高い音域が多く使われます。裏声と地声の行き来が多いです。また裏声も息漏れの多いファルセットや、息漏れの少ない「地声のような裏声」など微妙な使い分けが要求されます。
 こうした曲はキーを下げるのもよいですが、声の微妙な使い分けが重要になります。『ラブレター』は歌メロがやや速いですので、少し曲のテンポを落として、声の微妙な使い分けを練習してもよいと思います。
 最近は、男声曲も女声曲も当たり前のように、地声や裏声が激しく変化する作品が増えているように感じます。また、歌メロのテンポ自体が非常に速いものが多いですので、キーだけでなく、テンポを下げて練習するというのもよいのではないかと思います。

 『ラブレター』は低音部分に若干の余裕があり、キー調整は可能です。場面自体は少ないですが、低音域は意外と低いですので、下げ過ぎるとその部分が辛くなるかもしれません。キーを下げる際は、たとえば、「Bメロの【どんな時もあなたの m1F#[こ]m1G[と]ば、F#[こ]G[え]を聴いているだけで】の部分は少し曖昧になってもいい。その分サビはちゃんと歌う」というように強弱を付けてもよいと思います。
 同曲は地声部分はそこまで高くないですが、裏声の微妙な声色の使い分けなどを考えると、歌い慣れた人向けの楽曲です。歌メロ自体は非常に親しみやすいのですが、難易度は高いのではないかと私は分析しました。

 『ラブレター』は歌唱するのが難しい楽曲ですが、メロやアレンジなどは非常に耳に残ります。演奏時間が短くまとまっているのもよいです。興味を持たれた方はチャレンジしてみてください。

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コメント

  1. かたおか より:

    いつもながら裏声と地声の素早い切り替えが難しいですよね

  2. もりっしー より:

    かたおかさんコメントありがとうございます。
    ホントに裏声地声の切り替えが素晴らしいです。
    記事にも書いておりますが
    少しテンポを下げて練習してもよいと思います。

    かたおかさんのリクエスト曲について、近々一曲アップする予定です。
    遅くなって申し訳ない。